不動産トピックス
今週の一冊
2017.04.10 17:47
急成長の背景にある経営者の思い
ヒューリックドリーム
企業の成長と社員のやりがい、トップは会社を変えられる
著者:西浦三郎
出版:日経BP社
発行:2017年4月3日
価格:1600円(税別)
2007年、みずほ銀行系の不動産会社・日本橋興業が社名を変更し誕生したヒューリック(東京都中央区)。2008年11月の東証一部上場から10年弱で、時価総額は三井不動産・三菱地所・住友不動産に次ぐ4番手に位置するまでに成長した。この急成長の先頭で指揮を執ってきたのが、本書の著者である西浦三郎氏である。
西浦氏が日本橋興業の社長に就任したのは2006年のことだ。まず同氏が取り組んだことは、将来的な企業の成長ストーリー。そして組み立てられたストーリーに沿って、西浦氏は「変革とスピード」をモットーに様々な戦略を実行してきた。
例えば、物件取得に関する決裁は、大半が即決によるという。決裁が必要な日の2日前までに物件情報が西浦氏のもとに提出され、2日の間で西浦氏自らが現地へ赴き、購入の是非の判断を下す。このスピード感のある決裁を実現しているのが電子稟議システムの採用で、大幅な業務効率の改善に貢献していると西浦氏は話す。こうした取り組みの背景には、西浦氏自身も銀行出身者であり、待たされる人の気持ちを考えた配慮が見える。上場から10年以内で時価総額10倍、従業員の年収2倍の達成には、明確な経営ビジョンと社員が誇りを持てる企業風土づくりが根底にあるようだ。