不動産トピックス
今週の一冊
2017.04.17 16:50
不動産業界における取り組みを紹介
日本一働きたい会社のつくりかた
著者:羽田幸広
出版:PHP研究所
発行:2017年4月21日
価格:1500円(税別)
高度経済成長期から持続的な安定成長に日本全体が向いている。人口減少、労働人口の減少が続くなかで、「一億総活躍社会」とは何か、そしてその実現に向けて働く場はどのようにあるべきかが問われている。
そのなかで羽田幸弘氏の『日本一働きたい会社のつくりかた』は不動産業界から「働き方改革」についての1つの発信と言える。同氏はLIFULL(東京都千代田区、旧社名…ネクスト)の人事本部長。2005年に入社し一貫して人事畑を歩んできた。
LIFULLへの働く場としての評価は高い。3月にはリンクアンドモチベーション(東京都中央区)主催で、モチベーションの高い企業を表彰する「ベストモチベーションカンパニーアワード」の1位を獲得。昨今の「働きやすさ」のニーズにいち早く対応してきた企業と言える。
同社社長・井上高志氏が入社した当初は、80人規模の会社で未上場。井上氏は自身の採用面接を思い起こして、そこで得た社への印象を「痛みを伴う成長期」と表現する。同氏の入社後、様々な挑戦と失敗を繰り返し、それが今に実を結んだ。その物語を描いたのが本書となっている。
会社組織には規模の大小によって、メリット・デメリットがある。大企業であれば「安定している」という安心感は得られがちだが、一方で個々人は歯車と化しやすい。一方、ベンチャーであれば個々人が主体的に動くことが必要不可欠となるが、他方ひとりひとりに業務が集中し、「健康」とは程遠いこともしばしば。同社はすでに1000人以上を抱える大企業だが、その一方で、ひとりの社員の声でも理にかなっていれば会社全体の行動となる。今後、働き方へのニーズは常に変化していくことが予想される。欲求が多様化する時代において、現在のLIFULLの方法が時を経ても選ばれる方法ではない。中長期的に、どのような変化を遂げていくのかも気になるところだ。