不動産トピックス
クローズアップ 空き家活用編
2017.05.01 13:41
日本社会で課題となっている空き家。が、「ピンチはチャンス」とばかりに空き家が大きな市場可能性を持つとみなし、大手・中小問わず不動産事業者がこの分野に参入してきている。行政側でも空き家の存在は見逃せない。日常的にも防犯上、衛生上問題となることも多く、年月が経過すれば倒壊が懸念される「特定空家」となる危険性も強まる。官民一体となって取り組まれる空き家の課題解決。ここではその最新ソリューションに焦点を当てる。新規事業の参照にもなるだろう。
空き家活用 空き家活用を検討する事業者に強い味方 築いたノウハウを基に物件情報の入口に
全国で800万戸以上と言われている空き家。「空き家問題」がメディアを通じて放置が衛生上・防犯上問題となることが広まることによって、所有者側にも活用を検討する動きが強くなっている。
「一方で所有者とソリューションを提供する事業者の結びつきはまだ弱く、所有者にとってはどのようなソリューションがあるか想像できず、事業者は物件数があるにも関わらず仕入れる機会が少ない」と指摘するのは空き家活用(東京都港区)代表取締役社長の和田貴充氏。そこで同社では空き家物件の仕入れをサポートし、事業者の業務をサポートするとともに、所有者との接点を増やすことで活用機会を増やしていく。
和田氏は大阪で住宅売買仲介や賃貸仲介、住宅新築分譲などを行っているオールピース(大阪市淀川区)の代表を務めているが、そこでは自らや社員を中心にして空き家物件の情報収集を行っていたという。「そのときに空き家や未活用不動産が大きな収益につながることを知りました」とのこと。
現在、このような認識は不動産事業者に認識されている。空き家数が膨らむなかで、解決すべき社会課題であるとともに、大きなマーケットでもあるわけだ。事業者にとって空き家は「負動産」ではなく、活用可能性の高い価値ある「ストック」であるのだ。
「今では業界内では空き家は大きなマーケットと認識されています。が、空き家情報の入手から仕入れまでノウハウが必ずしもあるわけではありません。当社は大阪・名古屋のエリアで仕入れから活用までの経験を積むなかで、ノウハウを築いていきました。当社が情報の入口となることで、様々なソリューションを提供している空き家事業者を横で結んでいきたいと考えています」(和田氏)
同社では事業者向けのセミナーを開催している。空き家所有者との接点に苦労している事業者はこのようなサービスを活用していきたいところだ。
HOUSE―ZOO 空き家活用に新たなメニュー 「ペット共生型シェアハウス」とは
「ペット共生型シェアハウス」を専門に企画運営を手掛ける、HOUSE―ZOO(東京都渋谷区)は今月1日「HOUSE―ZOO和光」をオープンした。このシェアハウスは空き家をリノベーションし、シェアハウスに転用したものとなる。
同社では空き家などをペット共生シェアハウスに転用し、ペットとの共生可能な住環境の提供に取り組んでいる。初期費用や家賃の軽減など入居者にメリットも多く、また社会的にも空き家の有効活用や飼い主のいないペットの減少、いわゆる「殺処分ゼロ」に向けた取り組みとしても貢献する。
今回の「HOUSE―ZOO和光」では倒壊や衛生上などの懸念が特に強い「特定空家」手前の状態での改装。オーナー側も土地活用や、今回の事例のように空き家となった物件の活用も可能となっている。
これまで空き家の活用には様々な提案がされてきたが、流行しているシェアハウスとペット可能を組み込んだ活用は、大きな人気が出そうだ。
広島県 空き家活用事例をウェブで紹介
広島県は3月28日に県内の空き家情報をひとつにまとめた、ひろしま空き家バンクウェブサイト「みんと。」を開設した。
このサイトでは市町別、売買・賃貸の別、購入金額といった条件により空き家を検索できる機能のほか、空き家の活用事例や「囲炉裏付きの古民家」、「面白い間取りの住宅」、「きれいな夕日をみることのできる住宅」といった隠れた魅力をブログ形式で紹介するページ等、一般的な空き家バンクのウェブサイトでは入手できないようなコンテンツを充実させている。
県では高まりつつある地方移住の機運を取り込むため、引き続き、移住希望者のニーズに対応した情報発信を行っていく。
エーエルジー不動産 空き家借り上げで宿泊施設に 今後3年で500棟を目標
アヴァンス行政書士法人(大阪市中央区)を中心とした「アヴァンス・グループ」の企業であるエーエルジー不動産(大阪市中央区)は先月24日より大阪市内で物件オーナーや不動産管理会社が保有・運営する不動産で、条件に合う空き物件があれば旅行者の宿泊施設として借り上げるサービスを提供、物件の募集を開始した。今後3年を目途に500室の借り上げ(運営)を目標としている。
昨今金融機関が積極的にマンション建設費の融資を行っていることもあり、マンションの建設ラッシュとなっている。大阪市内でもマンション・アパートが供給過剰に陥りつつあり、新築マンションでも全戸が埋まらない、賃料相場が上がらないというような問題が発生している。同社ではそのような問題を抱えているマンションやアパートを旅行客の宿泊施設として借り上げることにより、オーナー、不動産管理会社の課題を解決していく。
借り上げ後の宿泊施設運営はアヴァンス行政書士法人において全件、大阪市より許認可を取得して、運営を行うとのことだ。