不動産トピックス
今週の一冊
2017.06.19 11:07
「駅」でわかるエリアの魅力
駅格差 首都圏鉄道駅の知られざる通信簿
著者:首都圏鉄道路線研究会
発行:2017年5月15日
出版:SBクリエイティブ
価格:820円(税別)
オフィスビルの稼働率を左右する2大条件は「立地・賃料」。この時の立地は「最寄り駅の利便性」を評価することが多い。オフィス仲介業者から「テナントに評価されるのはJR山手線沿線、地下鉄なら銀座線や丸ノ内線。複数路線が使えるのが理想」との回答がなされるように、企業のビル選びの基準として「立地=最寄り駅」が大きな比重を占めていることがわかる。
本書も同様の考え方といえるだろう。鉄道網が発達した東京ではエリアの価値を決めるのは「駅」の魅力と指摘する。そうしたスタンスの下、前半部はテーマ別に駅が持つ魅力をランキングにまとめており、定量的に駅の実力が分かるのがおもしろい。乗降人員数ランキングは定番だが、乗り換え利便性ベスト10駅・ワースト10駅、さらにトイレの利便性が高い駅など、多角的な観点で駅の実力を評価する。
後半は巷間話題の「住みたい街ランキング」をベースにした「駅格差」に焦点を当てる。吉祥寺が「住みたい街ランキング」で長期間トップの座に君臨していたが、果たして本当に「住みやすい街」だったのか。地元オーナーは「実際に住めないから憧れる」と喝破するが、人気が高い街(駅)に対するギャップを紐解いていく。
ちなみに筆者の居住地の最寄り駅はまったく出てこなかった。マイナー駅ゆえ仕方ないが、少し残念ではある。