不動産トピックス
クローズアップ レンタルオフィス編
2017.06.26 12:59
施設数が増しているレンタルオフィス。そのなかで運営事業者は入居者を取り込んでいくための仕掛け作りが求められている。最新レンタルオフィス事業者の取り組みを探った。
あきない総合研究所 起業家支援に特化したレンタルオフィス
起業家やベンチャー企業の支援を主な業務としているあきない総合研究所(大阪市中央区)は、起業家向けレンタルオフィス「katanaオフィス」の運営も行っている。
「katanaオフィス」は起業家支援プロジェクト「katana」やスタートアップ企業向け投資ファンド「katanaファンド」などとともに同社が提供するベンチャーサポート事業の一つに位置付けられており、現在関東では汐留・渋谷・六本木・船橋、大阪では淀屋橋・谷町の全6拠点で展開している。
katanaオフィスのレンタルオフィスとしての特長は、1時間300円の従量課金制と月額制の固定ブースを併せて用意することで事業の成長に合わせた様々な使い方ができるところ。また、あきない総合研究所が提供している豊富なベンチャー支援のメニューを利用することができるため起業がしやすい環境が整っている。今年1月からはさらに基本月会費の無料化によって、ターゲットとしているベンチャー企業や起業家が利用しやすいようにすることで更なる利用者の拡大に努めている。
また、六本木、船橋、谷町の3拠点はビルの空室活用という側面もあり、これらはフランチャイズ運営の形式となっている。「起業家やベンチャー企業などのスタートアップの段階にある企業は必ずしも建物のスペックを重視しているわけではありません。築古の物件であっても立地や周辺環境によっては通常のリーシングを行うよりも、サービス内容を充実させた起業家向けのレンタルオフィスとする方が空室対策に適している場合もあります」と細野氏は語る。 同社は今後、さらに政令指定都市を中心とした地方都市への展開を進めていきたいと考えている。レンタルオフィスという業態が普及してきたとはいえ、地方都市では人口に比してまだ数が少なく新規で開設することにチャンスがあるという。空室解消のための一方策として、検討してみる価値はある。
ソーシャルワイヤー 人型ロボットを受付に配置する実証実験を実施
ソーシャルワイヤー(東京都新宿区)のグループ会社でシンガポールにて日系最大のレンタルオフィスを運営するCROSSCOOP SINGAPORE PTE LTDは5月29日、日本事務器(東京都渋谷区)のシンガポール駐在員事務所と共同で、SoftBank Telecom Singapore Pte. Ltdから提供を受けた人型ロボットNAOをレンタルオフィスの受付に導入し、2017年3月27日~5月26日までの2カ月間、受付業務の6%省力化に向けた実証実験を実施した結果、目標を上回る7・5%の受付業務の削減を達成したことを発表した。
同社の運営するレンタルオフィスは今年3月時点で95%という高い稼働率となっており、それに付随する多岐にわたる受付業務の煩雑化とサービス水準の標準化が課題となっていた。 そこで、課題解決の第一歩としてNAOの導入による受付業務の6%省力化を目標とした実証実験に参加した。
実験の具体的な内容は、これまで社内に蓄積された利用者から高頻度で聞かれる質問をNAOにインストールすることで受付業務の繁忙期でも利用者がいつでも知りたい情報をリアルタイムで聞くことを可能にするというもの。また、オフィスを探している見込客がオフィスの見学に来た際も、スタッフが資料の準備や飲み物の準備をしている間にNAOがレンタルオフィスの運営時間やサービス内容等の基本的な情報提供を代替することで業務効率化を図ると共に、情報提供業務の品質向上と標準化の実現に取り組んだ。
実証実験の結果、NAOが受付業務の一部を代替したことでスタッフ一人あたりの月間労働時間の約12時間に相当する受付業務の削減を実現。これは月間労働時間の約7・5%にあたるもので、当初の目標としていた数値を僅かに上回るものとなった。
今後は今回の2カ月間におよぶ実証実験の結果を踏まえたうえで、ソフトウェアのアップデートにより、さらなる受付業務の効率化や情報提供の範囲・方法を拡大させる方針となっている。また、受付スタッフがダイレクトにWebに登録した情報を、随時、必要なタイミングでNAOがお客様へ提供できるようにアップデートしていく予定となっている。
タスクール レンタルオフィスにトレーニング施設を併設
タスクール(名古屋市千種区)は5月8日、スーツや革靴でもトレーニングができる運動と仕事の融合スペース「TASFITNRSS」を自社が運営するコワーキングスペース・レンタルオフィス「タスクール」の1階下のフロアに開設した。
TASFITNESSは、運動しながら会議やPC作業が出来るように、机や椅子、パソコンが取り付けられたサイクルマシン等のフィットネス器具を常設した日本で初めての仕事をしながらフィットネスが出来る「運動と仕事の融合スペース」。毎日利用が出来るよう24時間オープン(24時最終入館)となっており、入退室管理にITを導入することで月額4000円(タスクール会員は2000円)と利用しやすい価格を実現している。