不動産トピックス

今週の一冊

2017.07.03 16:48

安易なアパマン事業参入に警鐘 業界構造の裏側を「言い過ぎ」なほど解説

知っていなければ助からない不動産投資の落とし穴
著 者:牛島浩二
発行日:2017年6月15日
発行所:現代書林
価 格:1300円(税別)

 久しぶりに田舎に帰省して驚いた。田園風景が一変、木造アパートが次々と建設されており、虫食い状態になっていた。事情通の叔母に確認したところ「相続対策でアパート経営を始めるケースが増えている」とのこと。都心のビルでも簡単に稼働率が上がらない昨今「こんな田舎にアパートをバンバン建てて本当に大丈夫か?」と疑問に感じた。
 本書はこうした状況に対するアンチテーゼだ。帯には「上場企業なので安心です」や「30年一括借り上げ」を建前とし「貴方は業者のウソ、ちゃんと見抜けていますか?」の言葉が並ぶ。マンション・アパートを建てる際の業者側の「本音」を見積書等を元に丁寧に解説しており、事業主のパートナーを気取る営業マンの姿勢を鋭く糾弾する内容だ。 
 著者のあとがきに「『ここまで買いて本当によかったのだろうか』と自問自答しています」とあるが、アパマン開発を提案する業者・金融機関の「頭の中」が透けて見えるような内容であり、幾分「言い過ぎでは」と感じながらも、莫大なコストを負担して不動産経営に乗り出すのなら、本書に記載された「デメリット」を一旦解消した上で参入すべきだとも思う。リスクのない投資はない。




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