不動産トピックス
クローズアップ 不動産小口証券化編
2017.08.07 13:42
不動産小口化商品に人気が集まっている。近年では相続対策などで投資家からの人気が集まっている。加えて、京都ではインバウンド観光需要の増加から京町家の小口化商品が国内外から人気を集めているようだ。現在の不動産小口化の状況を商品動向から探るとともに、人気の京町家の最新動向についても追う。
K-PARTNERS 京町家を軸に小口証券化~投資需要を取り込み京の宿泊状況を改善~
インバウンド需要に湧く日本列島だが、かねてからの観光都市の古都・京都もその影響はすさまじい。そうしたなかで不動産業界の話題となっているのが、ホテル・宿泊物件の売買だ。
京都では古くからの旅館などが多い一方で、建築規制との兼ね合いからホテルの大規模供給は難しい。宿泊需要の受け皿となっている民泊も、京都では行政の厳しい対応で、観光・宿泊の基盤とはなりづらい。このような背景から現在、注目を浴びているのが町家だ。
ただ、町家の物件は現在非常に高額となっていて投資家が買いづらい状況にある。そこでK-PARTNERS(京都市中京区)は国内外の投資家に向けて、先月1日に京町家や老朽化したホテル等を購入・改装して運営を行うための小規模ファンド準備に入った。購入は、1口200万円から可能。
代表取締役の西村和真氏は現在の訪日観光客需要について「関西、特に京都・大阪ではこれまで以上に観光客が増えている。最近では奈良など周辺各県にも訪日観光客が訪れている」と話す。そのなかで投資として着目を浴びているのが京町家だ。
実はこの京町家、未活用となっている物件も多い。5万軒近い京町家が現存していると言われているが、そのうち1割程度は空き家となっているといわれている。
「いわゆる『空き家問題』のなかにはこのような京町家も含まれ、これは日本の不動産にとって空洞化だと考えています。現在の訪日観光客数の急増、ホテルインフラの不足、そして『モノ消費』から『コト消費』への変化は京町家を宿泊施設として再生を図っていく上では好機となります」(西村氏)
先述の通り、不動産売買市場では京町家物件は高騰している。西村氏によれば「5年前と現在を比較すると、平均2~3倍、高騰時には4~5倍の値段をつけているケースもある」という。物件の仕入れはもとより利回りの低下も懸念されるが「地場の不動産業者とのつながりを生かして、価格は市場よりも割安で仕入れることができる」と地元事業者ならではの強みを生かす。運営面でも着付けや京都ならでは体験を宿泊とセットにすることによる付加価値向上などのプランを練る。
「これらの取り組みで利回り6%ほどを目指したいと思います。この数字は十分に投資家のニーズに応えられる数字だと考えています」(西村氏)
ホテルの急激な供給も難しく、民泊に対しても視線が厳しい京都。ファンドは果たして、京町家が投資家と観光客双方からの需要に応える「切り札」になるだろうか。注目して見守りたい。
インテリックス 「アセットシェアリング渋谷青山」第二期販売開始 地方からの需要が大きく
中古マンション再生流通事業を手掛けるインテリックス(東京都渋谷区)は不動産特定共同事業法に基づく不動産小口化商品「アセットシェアリング渋谷青山」第二販売開始の募集を今月1日より開始した。
「アセットシェアリング渋谷青山」は都心の中古オフィスビル「青山ルカビル1.」を同社が培ってきたリノベーションのノウハウを生かして商品化したもの。第一期は販売を終了し、6月1日より運用を開始している。「渋谷」、「青山」という全国的に知名度のあるいエリア・立地の良さから、地方からの購入者が約3割を占めている。この数字は他の商品と比べて高い数字となっているという。またこれまでと同様、相続・贈与対策としての重要もあるという。
募集期間は10月10日までで、1口100万円単位で最低出資額は5口以上、分配予定利回りは2・8%となっている。同社では商品概要を説明するセミナーも開催予定で、直近では9日18時30分~20時、23日18時30分~20時、双方ともにインテリックス本社、「東建インターナショナルビル」11階で開催予定で参加費は無料となっている。申込みは同社公式サイト、セミナー情報一覧より行える。
JITホールディングス 三田証券と協力して4月から京町家の不動産小口化商品スタート
JITホールディングス(東京都千代田区)は増加する京都インバウンド需要から注目される「京町家旅館」において三田証券(東京都中央区)と協力し、4月より不動産小口化商品の提供をスタートしている。
対象不動産となる「京町家」は地元京都で100年を超える老舗工務店の施工により再生したのち、一棟貸しの宿として運用することで、日本の重要な文化遺産である京町家の保存と再生を行いながらも、高い利回りを生むホテルのような「インバウンド収益不動産」へと蘇らせる。
一般的なビルではなく、京町家のような築70年を超える不動産を蘇らせ、小口商品化することは一般投資家が小口で投資できる機会を提供するとともに、相続対策としても活用することができるという。