不動産トピックス

今週の一冊

2017.08.21 17:06

街の「不都合な部分」を浮き彫りに 独断と偏見から生まれた街の新・評価軸

「東京Deep案内」が選ぶ 首都圏住みたくない街
著者:逢阪まさよし+DEEP案内編集部
発行日:2017年6月22日
発行所:駒草出版
価格:2200円(税別)

 「住みたい街ランキング」とは180度異なる「住みたくない街」を紹介する本書は街の評価軸に新たな視点をもたらしてくれる。500頁を越えるボリューム、大手書店では特設コーナーが設けられ、発行から1カ月後で3刷を重ねる。紫色の毒々しい表紙は「怖いもの見たさ」で手を伸ばさずにいられない。
 本書はウェブサイト「東京Deep案内」を書籍化したもので、首都圏の住みたくない街を著者独自の街歩きの視点でランキングした。独断と偏見、差別に満ちた内容だが、まえがきにある「触れられたくない『不都合の部分』」を深堀りしている。筆者の居住地も上位に名を連ねる。実際に居を構える筆者の感想は「必要以上に不安を煽る記述もあるが、概ね的を得ている」のが正直なところ。
 ただ、著者も言及しているが街の評価基準は人によって異なり、あくまで一面を切り取ったものとして読むべきだろう。毎年「住みたい街ランキング」に登場する吉祥寺を本書では「住みたくない街」とするが、その理由は「人が多すぎる」、「休日の交通渋滞」等を挙げ、「大勢が集まる人気の街」と表裏一体でもある。本書を参考に留め、自らの眼で見て、歩き、街の評価を下してほしい。




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