不動産トピックス

クローズアップ 蓄電システム編

2017.08.28 16:49

 求められるBCP対策の一助として徐々に普及し始めている蓄電システム。近年では製品の金額も下がってきており行政機関や大規模物件だけでなく、中小規模ビルでの導入も耳にする。今回は最新の蓄電システムを紹介する。

エリーパワー 世界トップレベルの安全性を確保 大容量の汎用型蓄電システム
 蓄電池を製造するエリーパワー(東京都品川区)では大容量蓄電地「Power Storager 10(パワーストレージャー・テン)」を販売している。
 近年、高まるBCP対策、電力消費量が増加する夏場・冬場の電力供給不足の対策として求められる蓄電システムの中でも同製品は内蔵した蓄電池に電力を貯めて使用することができる製品となっている。これにより平常時は電力消費量のピーク抑制に貢献でき、非常時には電源の確保と安定した電力供給が可能となる。
 同製品は蓄電容量15~60kWhクラスをラインアップ。オフィス、商業施設、学校、工場など導入施設の規模に応じた最適なシステムを選択することが可能。汎用型蓄電システムとしてはトップクラスの10kVAもの出力を実現。15kWhクラスではコンビニ1店舗分の照明やレジなどの電力をまかうことができる。
 また「バックアップモード」と深夜電力を貯めて昼間に使用する「ピークシフトモード」の2つのモードを備えているほか、太陽光発電システムからの充電もできるのも強みだ。
 営業企画部長の伊藤仁人氏は「当製品が内蔵するリチウムイオン電池セルは世界的第三者試験・認証機関のテュフラインランドの安全基準認証を取得しています。釘を刺しても発煙、発火しないなど世界トップレベルの安全性を実現しています」と話す。v

京セラ 業界最小・最軽量コンパクトな蓄電システム
 京セラ(京都市伏見区)は業界最小・最軽量クラスを実現した3・2kWh蓄電システムを販売している。
 同蓄電システムは同容量として業界最小・最軽量クラスであり、高い設置性・施工性が特徴となっている。同社従来品(7・2kWhタイプ)は主に戸建住宅向けであったが、同蓄電システムはコンパクトな設計により集合住宅など多様な設置条件に対応。また、屋内にも設置できるため塩害地域やオフィスなど屋外設置が困難な場所でも導入が可能。本体重量は約54kgと軽量でブロック基礎による簡易施工でも設置ができるので施工時の作業負担の軽減にも貢献する。
 ほかにも充電時、放電時ともに95・5%の高い電力変換効率により電力損失を低減し、太陽光発電で創った電気を無駄なく有効に活用もできる点や太陽光発電システムで創った電気を売電優先にする「通常モード」、蓄電優先にする「グリーンモード」の2つのモードから顧客のニーズに合わせた設定が可能となっている。希望小売価格は税別で150万円。

GSユアサ エネルギーマネジメントシステムへも対応 中規模クラスの単相連系蓄電システム
 GSユアサ(京都市南区)は新たに定格出力10kVAの単相連系蓄電システム「ラインバックマイスター(以下、マイスター)」を販売している。
 「マイスター」は中規模の単相連系蓄電システムとして従来からニーズの高い防災対応システムやピークカットシステムにとどまらず、より高度な自家消費システムやエネルギーマネジメントシステム(EMS)への対応も可能となっている。「マイスター」をEMSと連携させることにより面的にエネルギー活用可能なシステムを構築することができ、地域レベルでの経済効果や環境対策への貢献を可能とする。
 「マイスター」は他にも電力変換システムに「フルSiC―FET(電力ロスの少ないスイッチングデバイス)」することで業界最高効率の最大電力変換効率96・5%を達成している点やスイッチング周波数を可聴域を超える領域で設計しているため優れた静粛性能を実現している点、太陽電池の発電力のみをリチウムイオン電池に充電することができるため最大限にエネルギーを活用できる点などが挙げられる。




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