不動産トピックス
ビル業界ミニトピックス
2017.09.04 15:26
■施設内のコミュニティが崩壊する。こうした状態を「コワーキングスペースの質低下問題」と言うそうだ。東京・春日で貸スペース「東京ENGAWA」を運営するITベンチャーのバウンダリースパナー(東京都新宿区)の山田浩司氏によると「ITベンチャーの間では知られた話」とのことで、定量的データはないものの利用者の実体験として問題が顕在化しているという。
開業当初のコワーキングスペースは運営サイドが利用者を厳選するが、優秀な利用者はすぐに事業を拡大し、拡張移転(卒業)していく。これを何回か繰り返していくとだんだんと入居者の質が低下し、コミュニティが崩壊していき、管理が行き届かず、さらに利用者離れを起こすことになる。「5年ほどでこうした状態に陥るコワーキングスペースは少なくない」(山田氏)というのだ。特に成功を収めた「カリスマ」が入居している、もしくは巣立っていった施設には「ミーハーな利用者」が集まりやすく、質低下を引き起こす可能性が高いとの穿った見方もあるそうだ。また運営担当者が入れ替わるたびに、施設運営に対するモチベーション低下や既存利用者との関係性を再構築しなくてはならず、これを怠るとゴミが放置されたままの「荒れ果てた」施設も存在するという。安易に参入する施設も多く、その実態は玉石混淆だ。 ダメ施設からは利用者はすぐ離れる。淘汰の時代は近いのかもしれない。
■柴又帝釈天の和菓子屋「高木屋老舗」は貸スペース事業を行う不動産会社と組んで、外国人観光客向けに「和菓子作り体験」を提供しているが、思わね需要で多くの参加者が集まっているという。ズバリ「婚活イベント」だ。
「未婚の男女が料理を楽しむ婚活イベントが人気を博していますが、その波が和菓子作り体験にも及んだようです」(高木屋老舗 石川 幾生氏)
当初は練り切りと団子づくりのみの体験メニューだったが、保存性も加味して、新たに「どら焼きづくり体験」を追加した。めったにない和菓子作り体験が男女の出会いの場になる。一石二鳥とはこのことか。
■経済雑誌等で不動産投資市場の過熱ぶりについて「バブル」の懸念が取りざたされるようになってきた。果たして現状はいかに。不動産投資セミナーを主宰する不動産鑑定士の浅井佐知子氏に聞いたところ「昭和末期のバブルやリーマンショックのような惨状にはならないのでは」との認識だ。
「かつては地価の値上がり益を見込んで無理な投資をしていましたが、現在は利回り重視で取得する投資家がほとんど。そのため思ったほどの暴落はないのでは」(浅井氏)
そうした中、価格高騰が叫ばれる不動産市場にあっても「まだまだ魅力的な投資先は少なくない」と浅井氏。例えば、地主が管理会社に売却を一任するケースでは早期売却のため、管理会社が値付けを抑える事例もあるという。こまめに投資物件を探していれば、いつか「お宝」に巡りあえるかも。