不動産トピックス

クローズアップ リノベーション編

2017.09.04 15:16

 収益性の下がった既存物件を救う手立てとして、リノベーションが住宅だけではなくオフィスにおいてもブームとなっている。オリジナリティを持たせた空間をつくることで、多様化する需要に対応するほか、働き方改革への順応も実現するのだ。

ハプティック 定額制のオフィスリノベを提案 坪10万円から工事が可能
 ハプティック(東京都渋谷区)では、賃貸住宅のリノベーションの企画・施工から入居者募集のサポートまでを一貫して提供。これまで数多くの実績を残してきた。同社の特色は内装に無垢材を活用した温かみのあるデザインで、設計から入居者付けまでをパッケージ化することでコストダウンに成功している点である。リノベーションを手掛けた物件は同社が運営する仲介サイト「goodroom」で紹介され、同社の平尾菜氏は「工事中の段階で募集情報を公開するため、工事中の入居申し込みが約60%と高い成約率を達成しています」と話す。
 同社では7月より、賃貸住宅で蓄積してきたノウハウをもとにオフィス分野にも事業領域を拡大。オフィスの空室活用の一環として新サービス「定額制オフィスリノベーションパッケージ」の提供を開始した。これは、近年特に話題となっている「働き方改革」にも対応したサービスで、賃貸住宅と同様に無垢の床材をふんだんに使用したナチュラルな内装デザインが特徴。内装の解体から無垢フローリングの施工など、一連の工事内容をパッケージ化することで、坪当たり10万円(税別)という低価格でのリノベーション工事を請け負うことが可能になった。リノベーション事業部の澤井博芳氏によれば、「天井抜き工事やLED照明の設置といった追加工事を、オフィスイメージに応じてオプションサービスとして任意で選択することができます。企業によって異なる『居心地の良いオフィス』を値ごろな価格で実現し、入居者募集までをワンストップで当社が担当します」とのこと。これに合わせ、同社ではリノベーションオフィスの物件情報を提供する専門サイト「goodoffice」を今年6月に開設した。空室の長期化に悩むビルオーナーにとっては、新しいトレンドを取り入れ、差別化を実現するための心強い味方となるはずだ。

ステップ 自社完結型でこだわりのリノベ
 不動産の賃貸管理やコンサルティングを行っているステップ(東京都品川区)では、既存のビルやマンションのバリューアップを目的としたリノベーションを数多く手掛けている。同社の最大の特徴は設計関連のエンジニアを擁する部門を自社内に持ち、企画・設計段階から工事、その後のメンテナンスまで一貫したサービス提供を実現している点である。これにより施主側の要望等に対して即座に対応することができるとともに、現在のニーズにマッチする建物のバリューアップをトータルプロデュースすることができるという。
 「特にこだわっているのがキッチンやトイレといった水まわりです。直近で行った工事では、都内に建つ築30年のマンションでキッチンにバーカウンターを設置し、家族のコミュニケーションの拠点をイメージした空間を創りました。施主の要望を汲み取りながら入居者に喜ばれるリノベーションを行うのが当社の目標です」と、同社の鈴木陽社長は意気込みを述べている。


リノベる 再販事業者向けサービス開始
 中古マンションのリノベーションサービス「リノベる。」を運営するリノベる(東京都渋谷区)は今月1日より、居住用不動産の買取再販を行う事業者向けの住宅リノベーションサービスの提供を開始した。
 同社では、これまで得た流通しやすい物件や内装のノウハウを生かし、リノベーション工事を提供。リノベーションに興味を持つエンドユーザーを多く集客していることから、改装前の物件とエンドユーザーのマッチングも行う。同社によれば、再販事業者が持つ売却に苦労していた物件の内装を請け負ったところ、わずか16日で売却できたという事例があり、その後もトライアルを重ね同様の実績が続いたため、再販事業者からの要望によって事業化したとのこと。これまでのトライアルでの受注実績は11件、平均販売期間は47・75日となっている。


東急リバブル 物流ルート変更で実績増加目指す
 リノベーションブランド「Lideas(リディアス)」を展開している東急リバブル(東京都渋谷区)では、ブランドの品質を保持し量産体制を整えるために物流ルートを統一。今年度の販売戸数の倍増を目指す。
 同社によると、これまで各工事業者が複数の取引問屋を通じて複数のルートから資材や設備の調達・配送を行ってきた。しかし今回、資材調達の物流ルートを統一し、効率化とコスト削減を実現。埼玉県八潮市の倉庫に建築資材の在庫確保をすることにより、工事現場への納期短縮とオリジナル建材の大量生産による製造コストの削減が見込めるとしている。さらに、建築資材や設備機器の調達から室内までの搬入を一元管理することで、工事業者の人的コストも抑えられることになる。




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