不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2017.09.18 11:25

ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ 新ブランドでロードサイド型ホテル年2棟出店
 ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(東京都港区)は、「HOTEL the M」、「アンドルームス」、「ロワジール」、「チサン」などのブランドを有し、ホテル数47軒、総客室数約7万310室の運営、フランチャイズ、アセットマネジメントをしているホテルグループ。同社は新たに「ハタゴイン」ブランドのホテルを2店舗出店させる計画だ。

来年に静岡・大阪 安定経営を見込む
 「ハタゴイン」1号店は12月15日に「ハタゴイン静岡吉田インター」(静岡県島田市)、2号店は2018年春に「ハタゴイン関西空港」(大阪府泉佐野市)を計画している。
 「ハタゴイン」ブランドは、欧米ではポピュラーな車での旅行、ビジネスに便利な高速道路、主要幹線道路沿いに建つロードサイドの立地に、日本の伝統的な旅籠(はたご)の情緒性を融合させたというコンセプトに基づく。
 コミックを中心に書籍を約1万冊揃えたカフェ・ライブラリーを共用部に設置したほか、男女別の大浴場を設けるなど、ロードサイドという立地上、ホテル内でより有意義に過ごせるよう工夫を施した。
 「ハタゴイン静岡吉田インター」は、東名高速道路「吉田IC」より車で2分に位置。敷地面積3315・30㎡、延床面積2827・68㎡、鉄骨造地上6階建て、施工は大和ハウス工業。客室数は、110室。 
 一方、「ハタゴイン関西空港」は、JR「りんくうタウン」駅徒歩6分。敷地面積4544・88㎡、延床面積3054・82㎡、鉄骨造地上6階建て、施工はイチケン。客室はシングルからユニバーサルルームまで合計100室。
 2ホテルともに、客層は車を利用した国内旅行客、ビジネス客を主として想定しており、ともに空港が近いことからインバウンド客も想定しているという。特に「ハタゴイン関西空港」のカフェ・ライブラリーには、訪日外国人に向けて英語版のコミックなども用意する予定。
 また、国内の客層では、車だけでなく自転車での利用も見込み、自転車を部屋に持ち込める客室タイプも提供する予定だ。 
平日はビジネスマン週末はファミリー層
 ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツは2004年以来、ロードサイド型宿泊主体ホテル「チサンイン ロードサイド」を全国21カ所で運営している。「ハタゴイン」は、同スタイルのホテル運営、マーケット、集客等、これまでの実績や経験を生かしたもので、「泊まるだけでない、機能性と情緒性を持ち合わせた新しいロードサイド型ホテルを目指しています。『ハタゴイン』はいわば進化形になります。実際建築コストは『チサンイン』の3割増しになります」(同社)。 
 同社によればロードサイド型ホテルは、工業団地、インターチェンジの近くなど立地によっては、「平日は車で移動するビジネスマン、週末はファミリーで安定的な需要があります。決して大きな利益は見込めませんが、大きな波もありません」(井上理社長)という。
 同社は今後も同ブランドを年2軒を目途に出店していく計画。原則として最低敷地面積は600坪、平置き駐車場が前提で、飲食店の近くの立地。客室の目安は110室。
 3号店となる「ハタゴイン福島広野(仮称)」は、福島県広野町が、経済産業省、福島県の支援のもと、町やその周辺地域の震災復興、宿泊需要を整えることを目的に民間事業者を公募したプロジェクト「広野駅東側ホテル整備事業」として進めていくもの。ひろのプログレス合同会社(福島県双葉郡)と共同で2018年秋に開業する。同施設は、JR常磐線「広野」駅より徒歩1分、常磐自動車道「広野IC」より車で8分に位置、敷地面積は6219・4㎡、延床面積は4926・02㎡。重量鉄骨造地上7階建て、総客室数222室、収容人数256名。
「ザ・エム」は最高級 「アンドルームス」は都心
 このほか同社は最高級ブランドとして「ホテル・ザ・エム」、都心型ホテルブランド「ホテル・アンドルームス」も積極的に出店していく。
 「ホテル・ザ・エム」は、完全ローカライズした施設で、観光などエリアに特徴のある場所に出店していく。第1号店は東京・赤坂に「ホテル・ザ・エム インソムニア 赤坂」(東京都港区)。2号店として、「ホテル・ザ・エム金沢雨庵」を石川県金沢市に出店する。開業は今年12月1日の予定だ。
 「ホテル・アンドルームス」は、「部屋プラス何か」をコンセプトにしているもので、都心型ホテルになる。第1号として4月27日に「ホテル・アンドルームス大阪本町」(大阪府大阪市)がオープン。今後も名古屋に2店舗、新大阪に出店していく計画だ。
 「どちらのブランドも、施主の方に実際に既存施設を見学いただいて、特名で指名していただくケースが増えています」(井上社長)。このため他社との金額競争にはならないという。

ワールドリゾートオペレーション 「ゆとりろ洞爺湖」リブランド
 ワールドリゾートオペレーションの100%出資会社で、リゾートホテル・旅館の運営・管理会社であるWRO北海道(東京都新宿区)が、運営するホテル「洞爺山水ホテル和風(かふう)」(北海道洞爺虻田郡)は、10月1日から、宿名を「ゆとりろ洞爺湖」としてリブランドオープンする。
 同ホテルは、JR「洞爺」駅より道南バスで約20分に位置、部屋数全61室、大浴場、露天風呂、エステティックサロン、宴会場などを設置。
 2016年12月1日からWRO北海道が前オーナーから事業譲渡し、新しく運営を開始していた。今回、ワールドリゾートオペレーションが全国展開する「ゆとりろ(YU-TO-RELO)」という独自ブランディングによって、新ホテル名にてスタートすることとなった。  「ゆとりろ(YU-TO-RELO)」グループとは、2013年から箱根を皮切りに西伊豆、熱海、軽井沢の4エリアにグループ展開を図り、北海道洞爺湖が5エリア目の拠点となる。「当グループは、地域創生の願いを込め、地域の特性を活かしたコンセプトの違う宿で構成しています。地域の特徴を活かすためには、コンセプトは統一する必要がないと考えるからです。お客様に、日本各地にある『ゆとりろ』の宿を訪れ、宿毎のコンセプトと温泉で疲れを癒し、そのご当地の魅力に出逢い、人生を豊かにする大切な時間にしていただき、日本の素晴らしさを再認識して頂ける宿創りを目指しています」(同社)。
 今後は、九州、山陰、四国など、全国に同ブランドを拡大していく計画だ。

ホスピタリティオペレーションズ 「スマイルホテルプレミアム」1号店開業
 「スマイルホテル」ブランドを展開しているホスピタリティオペレーションズ(東京都千代田区)は、新たにホテルを開業させる。全41箇所にあるスマイルホテルチェーンの新ブランド「スマイルホテルプレミアム」の第1号店として「スマイルホテルプレミアム 大阪本町」(大阪府大阪市)を12月15日にオープンさせる。
 同ホテルは地下鉄堺筋線「長堀橋」駅徒歩約6分に位置、客室はスタンダードダブル、スタンダードツイン、コーナーツイン、デラックスツインの4タイプで全296室。全室無料Wi-Fi・有線LAN完備、ランドリーコーナー、飲料自動販売機、駐車場などを完備する。
 「スマイルホテルプレミアム」ブランドは、スマイルホテルのアッパーブランドとして、シックで落ち着いた色合いの内装に、使い心地や機能性にこだわった備品と上質なアメニティを取揃える。
 同社は全国でホテルをはじめ、スキー場、ゴルフ場などのホスピタリティ事業を展開。近年、ホテル事業を積極的に拡大させており、8月には「スマイルホテル川口」(埼玉県川口市)、10月には「スマイルホテル奈良」(奈良県奈良市)をリブランドオープンさせる。  また、グループ会社の独立系ホテルネットワークから「スマイルホテル」FCへの転換も増えており、昨年12月には「弘前国際ホテル」が「スマイルホテル弘前」に、「ホテルSLOW水前寺」が「スマイルホテル熊本水前寺」にリブランドオープンさせている。

近鉄グループがホテルプロジェクト
 近鉄・都ホテルズ(大阪府大阪市)は、近鉄グループ外の企業が同社仕様で新たに建設・所有する建物を賃借して新規出店するスキームを採用する。今後、新規プロジェクトの迅速な事業化に向けて、同様のスキームによる出店計画も進めていく計画だ。
 このほど、東京都港区と大阪市中央区に新たに宿泊主体型ホテルを出店する。両ホテルは、ツインルーム・ダブルルーム主体の客室構成で、客室に洗い場付浴室を設けるなど、快適性を追求したアッパーグレードの宿泊主体型ホテルになるという。 
 両ホテルは、今回の出店により、都ホテルズ&リゾーツが運営するホテル・旅館は、建替え中のものも含めて26施設、約7000室の規模となる。
 同社では、「近鉄グループ経営計画」に基づき、収益力強化策の一環として新規ホテルの開発に取り組んでいる。




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