不動産トピックス
今週の一冊
2017.09.25 17:41
東京東部・下町の魅力再評価の動き
23区大逆転
著者:池田 利道
出版:NHK出版
発行:2017年9月10日
価格:820円(税別)
日本全体で見れば人口は減少傾向に転じているが、東京、とりわけ23区は現在も人口の増加が続いている。本書の著者も2015年の著書「23区格差」の中で、「まちが常に新陳代謝を繰り返している」ことを東京の魅力として論じている。
人口増加が著しい都心や人気の住宅街を多く抱える西部山の手地区が東京23区の中でも居住地としての支持を集めている一方で、23区の中で比較的人気薄とみられていたエリアでも「新陳代謝」が起き、その価値が見直される傾向が現れてきた。本書では最新の東京23区における様々な視点から見た人口動態の様子を紹介。子育て・育児、働く環境、老後の生活といったあらゆる着目点で23区の特徴と今を解説する。
その上で、将来的の発展性や課題を各区ごとに論じている。例えば足立区は、所得水準が23区内でも低いとされている。これは子どもの体力づくりにも影響を及ぼしており、小学5年生の体力総合評価は荒川区に次いでワースト2位となっている。これに対し足立区では健康な食生活の実現に向け「あだちベジタベライフ」という活動を展開。区内で野菜たっぷりのメニューを提供する飲食店舗は増加傾向にあるという。直面している課題は区によってそれぞれ異なる。その課題を克服できるかどうかで、著者が言う「大逆転」が現実のものとなるのかもしれない。