不動産トピックス

クローズアップ 賃貸管理編

2017.10.16 13:29

 所有者に代わり、不動産の経営を行うプロパティマネジメント(PM)。PM業務には運営・管理に関するあらゆる知識と、様々な場面にも柔軟に対処できる対応力が求められる。特に近年はホテル・物流・ヘルスケアと、アセットタイプも多様化しており、PM業務の重要性が増している。

伊藤忠アーバンコミュニティ オフィスから商業・ホテル・物流など多様なアセットのPMで全国をカバー
 伊藤忠商事グループの一員で、ビル・マンション管理やプロパティマネジメント業務などを手掛けている伊藤忠アーバンコミュニティ(東京都中央区)。オフィスビルをはじめとして商業施設、近年はホテルや物流施設、高齢者福祉施設など、多様な用途の施設運営を幅広く展開している。商業施設はロードサイド型の店舗から駅前立地の複合施設まで、施設形態や業態は様々で、同社のビルマネジメントグループ長補佐・松原信明氏によれば、駅前立地の大型複合施設のプロパティマネジメントの受託に近年は注力しているとのことだ。
 「昨年は大阪湾岸部に位置する『弁天町』駅前の大型複合施設『ORC200』、今年に入り香川県の『高松』駅の駅ビル『瓦町FLAG』のPM業務を受託しました。当社では北は札幌から南は福岡まで、全国の主要都市でPM業務を受託しており、全国をカバーする対応力が強みとなっています」(松原氏)
 これまで同社ではプロパティマネジメントの担当部署を東京の本社事務所のみに設けていたが、今年4月より西日本エリアの総合的な窓口として大阪市内の同社西日本支社に担当部署を新設。東京・大阪の2拠点体制を敷くことにより、これまで以上に西日本エリアでの引き合いが増していると松原氏は述べる。
 また、プロパティマネジメントの業務は運営管理全般に関わることから、豊富な知識とノウハウを必要とする場面に直面することが多い。このため人材育成が大きな課題となってくるが、同社では新卒社員向けの教育サポートにも力を入れており、入社1~2年の間は宅建免許など業務上必要となる資格取得のための講習会を行い、現場で活躍できるプロパティマネジャーの育成に取り組んでいるという。
 「現在当社がPM業務を受託しているのは全国で約150棟です。今後もPMのスペシャリストの育成に力を注ぎながら、受託物件数200棟を目指していきたいと考えています」(松原氏)

次世代物流センター構築へ シーアールイーがPALと共同開発
 物流不動産開発やテナントリーシング、竣工後のアセットマネジメント・プロパティマネジメントを手掛けているシーアールイー(東京都港区)は、PAL(大阪市西区)との共同でロボティクスやIoTプラットフォームの利用を前提とした次世代に対応する新たな物流センターの構築に向けた開発に着手した。
 物流現場は多くの労働者に支えられ日々稼働しているが、労働人口の低下ならびに通販市場の拡大などにより、大きな変革期に差し掛かっている。そのため、人とロボットが協同し重労働・単純労働などの苦役はオートメーション化やAI(人工知能)がサポートし、アナログ管理からデジタル連携へ切り替わっていく次世代に対応した物流センターへの変化が求められている。しかし、現行の物流センターではロボティクスの導入が困難な仕様であったり、オートメーション化を前提に設計されていなかったりと、施設自体の対応も求められている。
 そこで物流不動産の豊富な開発実績を有するシーアールイーと、物流現場への先端テクノロジーの導入・運営を軸に生産性向上に取り組むPALが、次世代物流センターの共同開発に着手。物流センター内の通信インフラなどについては東日本電信電話(東京都新宿区)も参画し、共同で検討が進められている。
 共同開発テーマは、「荷主を交えた次世代物流センターの企画・設計・開発」、「次世代物流センターの生産性を向上させる先端ロボティクスの導入検証・運用」、「次世代物流センターの省人化のための計画実行システムの構築・運用」、「次世代物流センター内の電気・通信インフラの整備・運用」、「物流センター内のデジタル化に向けたIoTプラットフォームの構築・運用」の5項目。シーアールイーでは様々なテック企業、地域や業種の壁を超えた物流プラットフォームの構築を目指すとしている。


秋葉原に新感覚カプセルホテル マリモが開発・PM業務を担当
 マリモ(広島市西区)は、千代田区外神田4丁目にて取得した収益不動産用地にカプセルホテルを建設し、バグース(東京都港区)のカプセルホテル1号店「GLANSIT AKIHABARA~COMFORT CAPSULE HOTEL~」を誘致した。同ホテルは今月17日にオープンする。
 同物件は、同社の秋葉原エリアに最初の収益不動産開発案件となる。また、誘致したカプセルホテルはアミューズメント開発を手掛けるバグースが、洗練された空間演出と装置産業へのノウハウを生かしてホテル業態に進出した第1号案件であり、多くの有名プロジェクトに携わっているデザイン会社・グラマラス(東京都港区)が内装を担当。新たなコンセプトを擁したワンランク上のカプセルホテルを目指す。同物件の開発を行ったマリモの投資マネジメント事業部は、開発後もプロパティマネジメント業務を通じて同物件のサポートを行う。
 マリモでは京都や広島など、インバウンド需要が高いエリアでホテル開発を進めており、今後もホテルオペレーター各社と協力して同様の展開を進める考えである。




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