不動産トピックス
クローズアップ デジタルサイネージ編
2017.10.23 12:04
参入社数も多く厳しい競争が続くデジタルサイネージ業界。高い広告効果が見込まれニーズは各所からあり、これまでとは異なるクライアントからの受注もある。一方、ビルへの導入はまだ少ない。しかし、活用次第でオーナーにとっても妙味のある投資であるということが浮かび上がってきた。
電縁 コンテンツ製作を利点に伸びるデジタルサイネージ事業
銀行や店舗、商業施設などでしばしば見かけるデジタルサイネージ。サービスに関わる最新情報などを一目でわかりやすく表示し、合間に最新のニュースや天気予報、交通情報などを流し飽きさせない工夫をしているため、広告効果が高い。
最近ではビルのエントランスやエレベーターホールなどに設置する動きも加速している。コンテンツ製作力の高さを武器に業界で一角の地位を築く電縁(東京都品川区)セールスマネージャーの篠康文氏は現在のデジタルサイネージの動向について「デジタルサイネージ事業で大きな売り上げを占めているのは店舗。業界内では不動産仲介店舗への導入も多く、チェーン店から地場の事業者への導入も進んでいます」と話す。
ウェブシステム開発を主軸事業に据える同社ではそれぞれの店舗や場所のニーズに沿ったデジタルサイネージのシステム構築を得意としている。篠氏も「価格競争が激しいデジタルサイネージ業界ですが、一定の支持を得ている背景にはワンストップでできる技術力があるからでは」と自信を見せる。
不動産業界でも導入は進んでいて、その大きな割合を握るのが不動産仲介店舗だ。
「店頭などに表示することによって部屋などを探すお客さんが立ち止まる機会となっている。当社のデジタルサイネージではプリントアウト機能を組み込んでいるため、お店のなかに誘導する仕掛けとしても最適だ」(篠氏)
またビルや商業施設、マンションでも導入が進む。だが、マンションの場合は特有の難しさがある。管理会社が許可しても、住人を主体とする管理組合がコスト増加を望まず、総会で否決されることも多いという。
「設備改修や管理組合からのお知らせ、地域の情報などを見ることができる。管理会社にとっても住民側にとってもデジタルサイネージ導入の効果が大きいことが理解して頂ければ、より多くの導入が進んでいくのではないか」(篠氏)
導入場所を年々増やしているデジタルサイネージだが、同社の最近の導入事例では建設現場での導入も増えてきているという。工事の案内等を掲示することが義務となっているが、従来は手書きで行っていた。その案内をデジタルサイネージに切り替えることで、複数の掲示板が1画面に収まり、すっきりとした見やすい案内に変えることが可能となる。
「引き続き、店舗への導入支援を進めていくとともに、これまで導入されていなかった場所への営業も進めていきたい」(篠氏)
まだ導入が進んでいない穴場は多い。その一角にはビルオーナーも入ってくるだろう。
コストは気になるところだが、それを上回るメリットはないか。高いアンテナを張っておくべきだろう。
クラウドポイント ショールームを開設 ビルのバリューアップや新たな収益源にも
クラウドポイント(東京都渋谷区)が今月10日、渋谷本社にLEDビジョンやデジタルサイネージを体感・体験できるショールームをオープンさせた。
同社は機器販売から施工、コンテンツ作成までデジタルサイネージ導入に必要なステップをワンストップで対応できるのが魅力だ。これまで多くの導入を行ってきたが、「今までは商品の説明に際して、実物を見せながら、という機会は限られていた」という。「実物を見ながら説明できればクライアントもイメージしやすいのではないか」、そのような思いから今回のショールーム開設に至った。
同社執行役員第1営業ディビジョン長の田中孝弥氏は「商業ビル共用部やエントランスへの導入案件が増えている」と話す。その背景にはワンストップ対応できることや、近年需要の増えているサイネージの屋外設置案件に柔軟に対応できることが大きい。同社は「屋外型電子看板Viviny(ヴィヴィニー)」など、幅広い製品を扱っている。
そのため、大手メーカーと協業して、納入を進めることも多い。
加えて、デジタルサイネージやLEDビジョンが運用次第ではオーナーにとって妙味の高い初期投資となることが大きい。
「たとえば当社案件で『心斎橋』駅近くの『コクミン心斎橋ビル』には壁面にLEDビジョンが導入されています。このビルは御堂筋と長堀通りの交差点、心斎橋筋北商店街の入口にも立地しています。このような壁面に広告映像を映すビジョンを導入できれば、オーナーにとっては大きな利益を得ることができます」
このデジタルサイネージやLEDビジョンによる広告収入は想定以上のもので、ロケーションによっては初期費用を2~3年で回収することも可能だという。
「インターネット検索から当社のサイトに訪問いただき、当社の製品・サービス問合せにつながるケースが近年増加している。ショールームを開設したことで、クライアントがさらに体感・体験できるような場所にしたい」(田中氏)
デジタルサイネージ・LEDビジョン導入で新しいビルの運用方法について考えてみたい。
インテロール 「Connoba(R) Vision」多様な言語対応・利用者に適した情報発信が可能に
インテロール(東京都渋谷区)はデジタルサイネージの表示情報を多様な言語に柔軟に切り替え、利便性の向上を図るとともに利用者に適した情報配信ができるデジタルサイネージソフト「ConnobaR Vision(コノーバ・ビジョン)」の受注を9月27日より開始した。訪日観光客が増えるなかで、気軽に利用できる環境を構築する。