不動産トピックス

第19回不動産ソリューションフェアセミナー・パネルディスカッション再現

2017.11.27 11:55

第19回不動産ソリューションフェアセミナー・パネルディスカッション再現

女性投資家パネルディスカッション「不動産投資は女性の時代!女性投資家ならではの投資戦略」
子育て・仕事と不動産投資を両立 物件選びも女性の感性が生かされる
駅から遠くても高利回り、投資家の「アリ」な戦略
融資額・エリア選別に厳しさ増す 銀行の融資に対する姿勢に変化 
 価格高騰という過熱ぶりを見せる不動産投資市場。その中で女性投資家の存在感は日増しに高まってきている。男性にはない視点から物件の選び方や融資テクニックなどを構築し、市場という舞台で活躍する女性投資家をパネリストに迎え、現在のマーケット観から自身の投資ノウハウまで幅広く意見が交わされた。
 
浅井 まずは各パネリストの自己紹介からお願いします。
舛添 私は現在千葉県に住んでいますが、関西出身でこちらに来て7年になります。サラリーマン投資はハードルが低いとよく言われますが、私の場合は主人の名を借りずに戸建住宅や区分所有物件を購入し、今は区分が6戸、戸建が6戸で計12戸です。空室もありますが、家賃収入は月50万円程度です。
五十嵐 私は大学時代に簿記会計を学んで将来の相続を考えました。父親が何棟か所有していたのでそれに備えてファイナンシャルプランナーのCFPという資格を取得したのですが、父親が本当に事故で急に亡くなってしまい、私は出産を終えたばかりのタイミングでしたが大家になり、今11年程になります。今子供3人を育てながら専業大家を営んでおりまして不動産投資を始めてからは6年程になります。6年間で8棟購入して3棟は売却、1棟は築古のためフルリノベーションしております。現在投資総額7億円程度で家賃収入は年間6000万円。税引前のキャッシュフローはおよそ2000万円となっています。また、私は会員数500人以上の女性大家さんの会「エレガントオーナーズ」を主宰しています。たくさんの女性の方の役に立つようにこれからも頑張っていきたいと思っております。
奈湖 私は21歳の時不動産投資を知り、22歳の大学在学中に横浜のアパートを購入しました。現在アパート2棟と戸建を3戸と区分を所有していて家賃収入はキャッシュフローで月40万円程度です。今年の4月に「元ギャル女子高生、資産7000万円のOL大家さんになる」という本を発売しました。
浅井 私は不動産の賃貸や売買、有効利用と、10年間ほど不動産会社で営業を担当してきました。その中で私は、この業界で一番になりたいと思ったんです。営業成績は社内で1位でした。営業で1位を維持しながら不動産鑑定士の勉強をし、3度目でやっと2次試験に合格し、結婚・子育てをしながら鑑定士の3次試験に合格して鑑定士の資格を取得した後に開業しました。鑑定士になって12年程が経ちますが、個人投資家がどういう戦略をとればかつてのバブルの時のような、「ババを引かなくて済むのか」を皆様に発信していきたいと思っています。パネリストの皆様は、現在保有している不動産から始まって今後これからどうされるのか、そして融資の話など現在の状況についてお聞かせ下さい。
舛添 私が不動産を保有しているのは大半が地方です。ただ最近は地方でも価格は高かったと思っていて、私の考えは「これからもう少し上がって、そこから少し下がるのかな」という印象です。一方で方向転換も考えており、今は都心の方を狙ってはいるのですが条件の良い物件はなかなかありません。私は誰も見向きもしないような物件を手掛けて宝物に変えるのが大好きで、皆さんが手を出したくないような物件もこれまで数多く手掛けてきました。その一つが団地投資で、団地投資は時代に関係ない投資であると思っています。市場の影響をほとんど受けることがなく安定して値ごろ感のある投資対象として認識していますが、狙う客層をちゃんと狙っていれば投資対象として見ることができるのではないかと考えています。
五十嵐 私は子供3人育てながらの投資なので、手間がかからずキャッシュが残りやすい新築アパート投資を中心に進めています。子供がまだ小さいということもあり、エリアも自分の自宅から30分以内で移動できる横浜、川崎を中心に進めています。ありがたいことに横浜・川崎は今人口が伸びているエリアです。一方で物件価格は上がっていますし利回りは低くなっていると感じています。自分が6年前に始めたころ、利回りは新築でも9・5%以上の物件を購入していましたが、最近購入している物件は7%から8%程度です。相続税の改定などもあり、一般投資家さんに加えて相続税対策の方や一時期の株で儲かった方が参入され、市場は激化したですが物件価格の高騰もあり一時期よりは熱が冷めたと感じています。最近購入を進めているものは新築アパートで、来年2月に完成予定です。なかなかファイナンスが難しく、10行の銀行にチャレンジしています。その中で感じたのは、マイナス金利で一時期大きく下がったのですが、その時期に比べて少しずつ固定金利も上がってきています。すると、金利は上がってきているのに利回りが下がっているので、買いにくくはなっています。新築アパートは手間がかからず取り組みやすいということもあって、お金のある方はどんどんお金を出して購入します。そのため供給過多ということも言えると思います。私の場合は駅から徒歩10分の物件に今は限定して購入しており、路線を選ぶようにしています。今進めている案件は東急東横線「日吉」駅周辺です。かつて「日吉」駅前には大きな工場がありましたが、工場撤退後に大規模なまちづくりが始まっています。また相鉄線が東横線へ繋がった際に日吉を通ることになっており、路線の利用者数も増えるのではないかという予測と、東横線の通勤特急が停まる駅なので選ばれやすいと考えています。
奈湖 私が最初に購入した物件は横浜のアパ―トで、その後も横浜エリアで物件を買っていました。はじめは借り入れをして物件を購入するので、しっかり満室になるかが不安でした。そこで横浜のきちんとした場所で築古のアパートや戸建を買い進めていたのです。リフォームすれば横浜エリアであれば満室になると思って購入していましたが、やはり4年前に比べると物件価 格も上がってきており、横浜は土地価格も高いので高利回りの物件はなくなりつつあると感じています。現在狙っているのは横須賀や群馬の戸建です。意外と人口が減っているエリアでもやっぱり人は住んでいて、相場の家賃より例え安く入居してもらったとしても、きちんとキャッシュフローが回る買い方をすれば投資戦略としては「アリ」なのかと思っています。相場よりも割安な物件を見つけたら、どこのエリアでも買っていくというスタンスでいます。横須賀で購入した物件は無事入居が決まりました。区分のファミリータイプで駅からも遠い物件ですが、実質利回りは約30%です。
浅井 融資については投資家にとって一番関心があることなので、融資をどのように引いているか、具体的にどの銀行でというのも教えて頂けるとありがたいのですが、パネリストの皆様いかがでしょうか。
五十嵐 今回新築アパート投資で10行にチャレンジさせて頂いての感想は、「エリアを引き締めている銀行が多いな」ということです。昔は埼玉の銀行が東京や神奈川で出したり、千葉の銀行が東京や神奈川で出すこともありました。千葉銀行にもチャレンジしましたが、今回は断られました。理由は神奈川の物件だったからです。他の銀行でもエリアを理由にお断りされた銀行が何行かあります。フルローンを狙っていたのですが、やはり8割融資の銀行がほとんどでした。フルローンにするためにはやはり共同担保を入れて欲しいということで、今回は地元の横浜銀行で共同担保を入れて3年固定1・24%で借り入れることになりました。各行とも不動産の融資に積極的でないか積極的かと言われたら、積極的ではあると思います。ただ、融資額やエリアを選別する目が厳しくなってる面はあると思います。
舛添 私はこれまで現金買いでしたが、今は融資を使えるものは使うという発想に代わりました。過去には日本政策金融公庫に築45年の戸建の購入に際して借りたことがあります。金利が1・05%ですが融資期間は7年と少し短いんです。ただ初めて融資を組んだので、あまり長いのも怖いと思っていたのと、物件が千葉ですので被災地扱いになったんです。7年の1・05%でお借りしてるので、家賃が6万9000円ですが返済が6万4000円程です。7年後、完済した時には家賃が丸々入るのでそれを楽しみにしています。あとは三井住友トラストL&Fですね。奈湖さんも三井住友トラストL&Fですよね。
奈湖 そうですね。私は業務委託契約で会社に勤務しているのですが、正社員ではなくフルコミッションの不動産や保険の営業マンの方のような感じで働いているので、属性は悪くなってしまうようです。収入の上がり下がりがありますからね。価格帯が低めで現金の方が買いに来られそうな物件は三井住友トラストL&Fで押さえることはできるかなと思います。
舛添 「価格帯が低すぎてもダメ」と言われました。先日、借地の物件を420万円で買おうとした時の話ですが、底地も買えることになったので三井住友トラストL&Fで組ませて頂いたのです。その際、「底地を買えずに借地のままで420万円だったら融資出せませんでした」と言われました。そこで、「団地も借りることはできないのですか?団地は500万円以上の物件があまりないのですが」と質問すると、「それはその時ご相談下さい」という返答でした。意外と借りることができるのかもしれませんが、あまりに安い物件には融資を受け付けていないようです。
奈湖 私が初めて投資したアパートは、日本政策金融公庫で2・00%、15年で借りました。15年のうち4年が経ち、「結構残債が減ってきたな」と嬉しく思い、その後は三井住友トラストL&Fを借りさせて頂いているのですが、最近新たな発見がありました。それは、借り換え承認の書類などを用意すると金利を下げてくれるっていうことや、5000万円以上借り入れすると、それ以上最後に借り入れした分は金利を2・9%にしてくれるということがあったり、工夫すれば金利を下げることができることに気づきました。
浅井 不動産担保ローンのアサックスでは新商品を出されたようです。2割程度は頭金が必要のようですが、融資期間が30年であったり金利も3%前後ということです。
舛添 「ノンバンクだから危険だ」というのは偏見で、場面によっては良いんじゃないかと思います。
五十嵐 高い金利と長い期間で融資をフルやオーバーで引いていると信用棄損になりますので、資産全体の評価の中でマイナス資産と捉えられて融資の額が下がることもあります。私も新築アパートって積算評価があまり出ないので、そういった面では積算で見られると信用を棄損している可能性もあります。融資はたくさん引いていますので。銀行がこれから厳しくなった時に融資が降りない可能性を考えると、できることは尽くしておきたいと思います。
浅井 皆さんが投資家として今まで一番苦労したことは何でしょうか。
五十嵐 最初に購入したのが東日本大震災の起きた年で、不動産があまり動いておらずいくら探しても首都圏で良い物件はなかったのです。そこで地方に手を出したのですが、初めての物件購入ということもあり銀行はオリックスをアレンジして下さり、色々とウラがある高利回りの物件を購入してしまいました。やっぱり女性って勢い任せの時もあるので、そこできちんと裏付けをとれていない所を突かれたんだなということを感じています。
舛添 私は自主管理で行っていまして、物件を買うのもリフォームも客付けもほとんど自分で行っているから悪いんだと思うのですが全部苦労してます。でもそれが一つ一つ身になって慣れてきたり勉強になっているので、苦労はしているんですけどもその分感動の方が大きいですよね。苦労はしてますけどその分良い思いもしている。普通の投資には味わえないような思いをさせて頂いていると思っています。
浅井 これから投資を始める方はどこにリスクがあるのかを勉強するべきで、そのリスクが分かればその対処法も分かってきます。戸建にもリスクはあるし新築アパートでも崖の上に建っていたり、部屋がとても小さかったり、賃料が新築プレミアムがついてたりと、新築は新築なりのリスクがあります。皆様にはぜひリスクを知り、そのリスクを回避する方法を知って頂きたいと思います。今日はどうもありがとうございました。




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