不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2018.03.05 12:50
宿泊特化型新ブランド誕生 プリンスホテルが恵比寿に一号店
「スマート イン」ビジネスとレジャー
プリンスホテル(東京都豊島区)では、新たなホテルブランドを展開する。今後の国内外での更なる事業拡大を見据えた新たなブランド戦略の一環として、既存の3ブランドを見直し、次世代型宿泊特化ホテルブランド「プリンス スマート イン」を立ち上げた。
同社ではこれまで、フラッグシップである「ザ・プリンス」、プレミアム感を高めた「グランドプリンスホテル」、「プリンスホテル」の3つのフルサービス型のホテルブランドを展開、利用客に提供する"滞在価値"に基づいてブランドの差別化を行ってきた。しかし、ホテルマーケットの活性化に伴うマーケットクラスに適合したブランディングの必要性を背景に、新たなブランド体制を確立するため、リミテッドサービス型の新ブランド「プリンス スマート イン」を創設したもの。
新ブランドは、予約からチェックイン、チェックアウトまでICT・AIを活用した"スマート"なサービスを提供し、機能的かつ利便性・快適性を追求するホテルだという。"スマート"なサービスを求められる20代~30代のビジネス客に加え、国内外のレジャー利用者にも手軽に利用できるホテルを目指していく。
今後同ブランドは、首都圏のほか地方都市、新幹線停車駅や地方空港周辺都市など、同社が出店していないエリアを軸に出店を進めていく計画だ。
2020年にオープン 野村不動産と協業で
「プリンス スマート イン」ブランドとしては、野村不動産(東京都新宿区)が手がける国家公務員宿舎原町住宅跡地の再開発プロジェクト「恵比寿 旧国家公務員宿舎跡地 再開発プロジェクト」で、2020年夏頃に「プリンス スマート イン 恵比寿」をオープンさせる。
同施設はJR「恵比寿」駅より徒歩約5分に位置。延床面積約2852㎡、客室数はシングルルーム30室、ダブルルーム15室、ツインルーム37室の合計82室。レストラン、会議室、フィットネスジムなどを併設する。
同ホテルは、ブランドコンセプトである"イノベーションを追求する宿泊特化型ホテル"を体現するべく、ICT・AIを活用した最先端のスマートなサービスを提供する計画。恵比寿は、ITベンチャー企業集積地である渋谷の隣駅であり、今後ビジネス需要の増加が見込まれるほか東京観光の拠点ともなり得ることから国内外の観光需要やビジネス需要を取り込んでいきたいという。
野村不動産はJR「恵比寿」駅より徒歩約5分の場所にある国家公務員宿舎原町住宅の跡地約4035㎡を取得し、分譲住宅と宿泊施設、保育施設、介護施設からなる複合施設の建設を進めている。「プリンス スマート イン 恵比寿」はその一部にオープンさせる。
今後、プリンスホテルは4つのホテルブランドと、子会社となっているStayWell Holdings Pty Ltd(オーストラリア・シドニー)の運営する4ブランドを軸に、国内外でのホテル事業の展開を加速させていきたいという。
HMIホテルグループ 「ホテル高州園」承継
ホテルマネージメントインターナショナル(HMIホテルグループ 東京都中央区)は、石川県輪島市にある「ホテル高州園」を経営する輪島観光開発を3月29日付で事業承継することとなった。
輪島観光開発が1968年に創業した「ホテル高州園」は、世界農業遺産「能登の里山里海」の代表的棚田である「白米千枚田」や2018年に重要無形文化財に答申された「輪島の海女漁」ほか、多くの観光資源を有する石川県能登に位置する全館客室132室、収容人数650名の大型観光温泉ホテル。敷地面積4093・98㎡、延床面積1万6286・65㎡、地上9階地下1階建て。後継者不在により後継企業を募集していた。
HMIホテルグループは、全国26都道府県に59のホテル等の施設を運営している。北陸地方では、「ホテルウェルネス能登路」、「ホテル北陸古賀乃井」、「ホテル大のや」の3施設、総客室数114室を展開しており、3施設で年間21万人の宿泊者が訪れている。こうした実績から、同グループは多くの応募者の中から最優良先として選ばれ、北陸地方で4番目となる「ホテル高州園」の事業を承継することとなったもの。
「ホテル高州園」がこれまで築いてきた伝統を礎に、HMIホテルグループが培った経験と知識を加え、能登空港に近い立地を生かして海外からの誘客を図ると共に、海沿いの景観の美しさを活かす工夫を行うなど、大規模リニューアルを行っていく。
また、今回の事業承継にあたり、従業員の継続雇用に加え、地域業者の皆様との取引を継続する計画だ。
アパグループ 売上高1100億円突破
アパグループ(東京都港区)は、2017年11月期連結決算を発表した。
それによると、中核事業のホテル事業では、一部地域で新規ホテルの開業ラッシュによる競争激化が見られた一方で、新規開業したホテルが順調に稼働率を伸ばしたほか、2016年28年9月期に取得した北米で展開するCoast Hotelsの業績が通期で寄与したこと等により、売上高が前期比+16・9%の1050億円と初めて1000億円を超えた。一方、その他の事業は、不動産事業での大型プロジェクトの端境期に当たったことなどから減少した。
この結果、グループ連結売上高は前期比+5・1%の1161億円、経常利益は前期比+3・6%の350億円と、前期対比増収増益となった。
2018年11月期は、ホテル事業において益々競争環境が厳しくなることが予想されるものの、新規ホテルの開業が続くことや、分譲マンションの引き渡しが増加することから、全部門の売上高は10%程度の増収を見込んでいる。
同グループは、アパホテルネットワークとして全国で建築・設計中、海外、FC、パートナーホテルを含め7万4023室を展開しており、年間宿泊数は約1437万名に上る。同社発行のポイントカードであるアパカード会員の累計会員数は、1400万名を突破している。
TKPが秋葉原エリアにホテル用地取得
ティーケーピー(TKP 東京都新宿区)は2019年12月の開業を目指し、東京都千代田区外神田に全200室を兼ね備えたホテルを建設する計画だ。
建設地は、東京メトロ銀座線「末広町」駅から徒歩約3分に位置し、「秋葉原」駅からも徒歩圏内にある。以前よりホテル用地として保有していたが、今回隣地の土地及び建物も約13億円で取得し、「より高収益の空間再生を目的とした一体開発をすることとなりました」(同社)。
ホテルは鉄骨造地下1階地上8階建て、延べ床面積2804・86㎡、200室規模のものとなる。建設費用は約19億円になる見込み。同社はこの新築施設で、年間売上高約6億円、年間経常利益は約2・5億円を計画している。同社は2014年より順次、会議室併設型のハイブリッドな宿泊施設の運営や展開をしてきた。「今回の不動産取得は、昨年8月30日に売却引渡しを完了した大阪・曽根崎の不動産から、より収益性の高い土地へのホテル不動産資産の移行を企図しています。これにより、さらなるビジネスやインバウンド需要の取り込みで当社周辺会議室との融合を図り、より効率的でハイブリッドな運営が可能となります」(同社)という。
同社は、保有不動産ポートフォリオの中長期的な収益性・資産価値の向上・リスク抑制の視点から、見直しによる財務体質向上を図ると共に、今後も遊休不動産・土地を活用し、付加価値を加えた空間再生流通事業で、事業領域の拡大を目指していく。
同社の2017年2月期の売上高は連結で219億円と年々伸長している。
日産が自動車技術を旅館に
日産自動車(神奈川県横浜市)はこのほど、新型「日産リーフ」に搭載している自動駐車機能「プロパイロット パーキング」の技術から発想し、旅館のアメニティグッズや備品を整理整頓する「ProPILOT Park RYOKAN」を公開した。
「プロパイロット パーキング」は、昨年10月に発売した新型「日産リーフ」に搭載している自動駐車技術。わずか3操作で、駐車に必要なステアリング、アクセル、ブレーキなどの操作を自動制御する。駐車スペースにあわせ、後向き駐車、前向き駐車、縦列駐車を選択することも可能だ。
この機能の利便性を体感してもらうため、同社は300年以上の歴史を誇る箱根の老舗旅館「一の湯本館」の協力のもと、先進の自動運転化技術で「おもてなし」を進化させた、未来型旅館を公開した。
このシステムでは、スイッチひとつで玄関先のスリッパが、自ら宿泊客を迎える位置に整列する。また、客室では座布団やテーブル、リモコンなども自ら定位置に移動。宿泊客や従業員の手を煩わせず、安全かつ正確に、様々なアイテムが空きスペースを検知して戻る。
玄関、宿泊室などの天井に設置されたカメラが、スリッパや座布団などの位置を把握し、リアルタイム画像処理技術とソナー情報を組み合わせ、それぞれが進行すべき正しい位置を指定する。その情報をもとに、自走機能を持つスリッパ、座布団、テーブル、リモコンなどが空いているスペースへと自ら「駐車」を開始するという。
民泊専用ポータルサイト拡充
スペースエージェント(東京都渋谷区)はこのほど、民泊物件専門の不動産ポータルサイト「民泊物件.com」のiOSアプリの配信を開始した。
アプリを開くと希望条件に合う物件が登録日ごとに自動で並ぶため、アプリを開くだけで検索せずに新着物件をチェックすることが可能。また様々な切り口のランキングで人気物件を一挙に確認できる。
検索は、「旅館業法取得済み」、「戸建て」、「観光名所が近い」など、民泊物件ならではの条件でできる。
アプリだけの機能としては、「プッシュ通知を受け取る希望条件を登録」、「検索条件の保存」、「閲覧履歴の保存」、「閲覧履歴に基づくオススメ物件」などがある。
同社のもとには、WEB版民泊物件.comの利用について、毎朝配信している新着物件案内メールからのアクセスが継続的に多く、このため会員により速く希望に合う物件情報を提供できるよう、開発した。
iOSアプリについては、会員の利用状況・ABテストの結果等を分析しながら、UIの改善や新機能の追加を続けていく。