不動産トピックス
クローズアップ 免震編
2018.03.05 12:45
阪神・淡路大震災から23年。東日本大震災から7年が経過し、記憶はまだ生々しく残っている方も多いだろう。だが記憶は鮮明でも身体で感じた現実の激しい揺れの感覚は、時とともに薄れてしまいがちだ。防災は完璧にしておきたいものだが、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とのことわざもある。やはり実際の揺れは体験してみないとその恐怖感も遠くに去ってしまいがちかもしれない。「百聞は一見に如かず」というが、実際にその震度を新たに経験し新たな感覚で「どう防災プランを練るべきか」を考える時期にきているのではないか。
VRを使用した免震技術 地震の揺れを免震技術の有り、無し両方で体験
戸建住宅から高層ビルまで対応可能な免震システムの開発・製造・販売をしているTHK(東京都港区)の本社には「免震体験」ができるショールームがある。港区芝浦のTHK本社ビル受付1階の広いスペースを利用し様々な自社製品(工業用ロボットほか)を展示し用途事例の紹介をしている。その一角に一人用の免震体験装置にVR技術を組み合わせた「免震VR(バーチャルリアリティ)デモ機」がある。専用のゴーグルをつけて、360度3Dの世界に入り込むVRの技術を免震体験装置と組み合わせることで、リアルな地震、リアルな免震の効果を体験できる。
まずゴーグルをつけると視界には家庭のリビングが現れる。テレビや本棚が3D効果で立体的に感じられた。そしてまず免震装置のない場合の揺れを体験するが、臨場感がある。激しい揺れに加えて更に視覚的に目の前のテレビやテーブルが揺れ、本棚が倒れてくる迫力は3Dならではで、臨場感はかなりのものだ。
次に免震装置ありの場合の地震を体験。揺れ自体も小さくなり、視覚的にも3Dのリビングルームは先ほどのように倒れる家具はない。免震の効果をしっかりと体験できる。VRによる視覚的効果は非常に大きい。リアルに体験することで恐怖感、危機感も増すが、それこそ現実に地震が起きたときの生の感覚に近づく。グローバルマーケティング統括部ブランディング企画部 SP(Sales Promotion)課の岬本徹宏氏は「昨年10月の本社移転以来、1階のショールームで打ち合わせにご来社頂いたお客様など、多くの方々に体験いただいております。VRと組み合わせた体験装置は当社でも初めての試み。今後も引き続き常設し、多くの皆様に免震技術を知って頂きたいと思います」と語る。
防災プラン策定にはリアリティのある体験の記憶は大いに役立つはずだ。「免震VRデモ機」は予約不要・無料で誰でも体験可能。
東京消防庁 本所防災館 インストラクターと防災体験ツアー
JR総武線「錦糸町」駅、半蔵門線・京成押上線・都営浅草線「押上」駅から徒歩約10分の本所都民防災教育センター「本所防災館」。同施設ではインストラクターが案内する防災体験ツアーがある。
所要時間約1時間50分の基本コースはシアター、地震・消火・応急手当または暴風雨の4体験。1時間10分のショートコースもある。1階の都市型水害体験コーナーでは地下のドアや自動車が浸水して水圧がかかっている設定のドアの開放体験。2階の消火体験コーナーでは、火災を映したスクリーンを相手に消火器や屋内消火栓の使い方を覚える。応急体験コーナーではAED(自動体外式除細動器)も使用して訓練することができる。4階の防災シアターでは音響や椅子の振動も加わり迫力ある映像が流れる。
消火体験は小学校4年生以上、地震体験は3歳以上、応急救護体験は小学校5年生以上、暴風雨体験は小学生以上だ。
体験ごとにそれぞれ年齢・学年制限があるが、災害は年齢別にやってくるわけではない。現実に災害が起きた時に児童だけで身を守るには限界がある。勿論児童に体験させることも重要だが、大人がまず率先して体験して心構えをしておくべきだろう。
東京臨海広域防災公園 そなエリア東京 防災体験 エレベーター下降中に地震!
東京臨海広域防災公園(東京都江東区)は、首都圏直下地震等の大規模な災害発生時のための防災拠点施設として作られた。本部棟1階の防災体験学習施設「そなエリア東京」の「防災体験ゾーン」では「東京直下72hツアー」という地震発生後72時間の生存力をつける体験ができる。72時間(3日間)は、地震発生後、国や自治体の支援体制が整う時間の目安であり、生死を分けるタイムリミットでもある。このツアーでは駅ビルのエレベーター下降中に震度7の地震が発生したという設定。音響・照明・映像により、余震が繰り返されるジオラマの中をタブレット端末を使用し、クイズで注意事項を確認しながら避難場所へ移動。生存の知恵を学ぶ。また「津波避難体験コーナー」では映像やグラフィックスで津波について解説している。また、2階の「防災学習ゾーン」では「首都直下地震特設コーナー」がある。首都圏全域における地震の被害について、プロジェクションマッピングで紹介している。