不動産トピックス

クローズアップ コインランドリー編

2018.03.19 10:15

 布団などの大型の洗濯物を洗濯・乾燥する際に利用する機会の多いコインランドリー。近年はこれらの機能だけではなく、より暮らしに密着した施設へと進化を遂げている。投資対象としても注目したい領域だ。

利回り20%も実現可能なコインランドリー投資 タワマン・共働きの増加で需要が伸長
 不動産価格が高止まりの状況を続けている昨今、投資先として不動産以外の選択肢が注目を集めている。中でも高利回りが期待できるとされるのが、コインランドリー投資である。コインランドリーというと、室内に洗濯機を置くスペースがないマンション・アパートの入居者が利用するイメージが強い。だが、都内に16店舗のネットワークを持つグッドサービス(東京都立川市)の吉野智彦社長は、コインランドリーを取り巻く環境の変化について次のように話す。
 「コインランドリーの店舗数は右肩上がりで伸び続けており、全国で2万店に迫る勢いです。その背景には、共働き世代の増加のほか、主にタワーマンション入居者による乾燥機需要が増大していることなどが挙げられます。また、かつてのコインランドリーのイメージを払しょくするように、カフェ併設のコインランドリーなどオシャレな内装の店舗も増えており、近隣に住む方々の情報交流の場としても機能するように進化しています」
 昨年7月、東京・学芸大学にドイツ発祥のコインランドリー「フレディ レック・ウォッシュサロン」がオープンした。この店舗は洗濯機・乾燥機といったコインランドリーの一般的な機能だけではなく、カフェラウンジも併設。施設内ではワークショップやミニライブが開催されることもあるという。都市部に住む者にとってコインランドリーは以前よりも身近な存在となっているのだ。
 コインランドリー投資の最大の魅力は、冒頭述べた通り高利回りが期待できる点にある。不動産投資の場合と比較すると、日本不動産研究所(東京都港区)の「不動産投資家調査」によれば東京都心のAクラスオフィスビルの期待利回りは3・6%、東京城南地区のワンルームマンションの期待利回りは4・5%となっている。一方、「コインランドリー投資の利回りは10%以上、立地によっては20%も期待できる」(吉野氏)という。開業に要する費用は、洗濯機や乾燥機といった機器の購入費、内装工事費などで、景気の変動に左右されず安定した収入が見込めるのが特徴といえる。近隣に大型のマンションがあれば、洗濯物を干すことができない高層階の住民らの需要が高く、収入の安定性は更に高まるようだ。
 吉野氏によれば、コインランドリーの運営事業者各社は現在も有望な出店候補地を積極的に求めており、店舗数は今後も増加傾向が続くものと予測される。遊休地や路面の空き店舗の活用方法としてコインランドリー投資は一考の余地があるといえるだろう。

東急池上線の高架下に商業施設開業 飲食、コインランドリーなど複合機能を集約
 東京急行電鉄(東京都渋谷区)は13日、東急池上線「五反田」駅~「大崎広小路」駅間の高架下に新たに5つの店舗を開業。商業施設「池上線五反田高架下」として生まれ変わった。同施設は「URBAN EXPERIENCE」をコンセプトに、都心に居ながら日常とは異なる体験ができる施設づくりを目指している。
 五反田エリアにはベンチャー企業の集積が進み、通勤に自転車を利用するワーカーが増えていることから、施設内には自転車を中心とした店舗を集めた施設「STYLE-B」が出店。自転車の販売や修理、物販、室内駐輪場、コインランドリー、軽飲食などの要素が集約されている。

ファミマがコインランドリー事業参入 今春の1号店開業を予定
 コンビニエンスチェーン大手のファミリーマート(東京都豊島区)は、共働き世帯や単身増加など社会構造の変化を背景に、高まる家事への負担軽減に向けた取り組みとして、コインランドリーサービスの展開を発表。今春を目処に1号店を関東地方に出店する予定である。
 コインランドリー市場は、共働き世帯や単身世帯の増加に伴い日中に洗濯できない住民や、週末にまとめて洗濯する住民が増えていることに加え、都市部を中心としたタワーマンションなどでは洗濯物を屋外に干すことができないなどから、年々拡大している。また、セルフサービス式で自宅では洗うことが難しい布団なども手軽に洗濯できることから、主婦層を中心とした女性の支持を拡大している。
 そうした背景を受け、同社ではコンビニエンスストアとコインランドリーを融合させ、店内を自由に行き来できる構造にするなど、双方の利便性を兼ね備えた「次世代のコインランドリーサービス」を開発・展開するため、旧三洋電機から事業譲渡されたハイアールグループのアクア(東京都千代田区)と業務提携を締結。サービスの提供は24時間を予定しており、ファミリーマートでは全国約5800店にイートインスペースを設置していることから、コインランドリーの利用中も店内でゆったりと待つことができるとしている。同社によれば、今年春を目処にサービスの提供を開始し、今後はフランチャイズ店舗へのサービス拡大も検討し加盟店の収益向上も図る考えである。




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