不動産トピックス

クローズアップ 分煙機器編

2018.04.09 11:57

 2020年東京オリンピック・パラリンピック開催は東京ならびに日本の喫煙環境を大きく変えることになりそうだ。そのなかでポイントとなってくるのは喫煙者、非喫煙者双方が共存できる環境の実現。そのために必要となるのが分煙器器だ。ビル業界においても、オフィス、飲食テナントを抱えるオーナーにとってたばこにまつわる多様なニーズにどのように応えていくかが重要となってくる。そのなかで対応に向けた支援や製品の展開が早まっている。

JTが行う「分煙コンサルティング」 たばこを吸う人と吸わない人が協調し共存できる社会を目指して
日本たばこ産業 たばこ事業本部 渉外企画室 課長代理 服部薫氏
 日本たばこ産業(東京都港区、以下「JT」)では「分煙コンサルティング」活動に力を入れている。
 同社は、「たばこを吸う人と吸わない人が協調し共存できる社会の実現」を目指し、2004年から分煙コンサルティング活動を開始した。今年で15年目になるが初期は年間500件程度だった相談件数も年々増加し、累計で約2万3000件ほど。近年では年間3000件の分煙コンサルティングの要望が全国から寄せられている。
 同社たばこ事業本部渉外企画室課長代理で分煙コンサルタントの服部翼氏は「分煙に関する様々な質問や相談に対して、アドバイスをさせて頂く活動が分煙コンサルティングです。年々、喫煙環境に対する、世の中のニーズや意識の高まりを実感しております」と語る。
 相談件数のうち、職場が4割を占めており、さらに業種に関係なくオフィスビルや工場、商業施設の従業員用バックヤード等から喫煙環境改善の相談があるとの事で職場全体においてニーズが高いという事がうかがえる。
 同社の「分煙コンサルタント」は一定期間の研修を受けており、現在は約200名のコンサルタントが全国で喫煙環境に関する相談に対応している。相談者の施設規模や予算等に応じ、ハード/ソフト両面での分煙手法を用いて、快適な環境となるようアドバイスしている。
 今後、喫煙者は減少傾向にあるとはいえ、一定の需要はあり、あらゆる業態の職場で分煙化を進めるべき社会の流れは今後も続くだろう。同社の分煙コンサルティングの活動には今後も引き続き期待したい。

業界唯一の環境配慮型喫煙ブースを展開
トルネックス 営業本部 マーケティング室 販売促進課 課長 島田秀治氏
 室内空気環境ソリューションカンパニーのトルネックス(東京都中央区)は分煙機器の国内トップメーカーであるが、同社の分煙機器のラインナップは多岐にわたる。機器を設置するのみのカウンタータイプ、排気設備に接続するタワー型などがあるが、もっとも分煙機能がすぐれているのはブース型だろう。
 同社の屋内外に対応できる「喫煙ブース」は業界唯一の環境配慮型喫煙ブース。助成金にも対応している。
 同社営業本部マーケティング部販売促進課・島田秀治課長は「当社は受動喫煙防止条例などの法令ができる以前、30年近く前より分煙の提案をしております。最近の傾向としては、分煙に対する意識の変化でしょうか、喫煙室の設備が一定の条件を満たすようにしっかり検討して設置していると思います。今後も引き続き各種法令の改正を踏まえつつ、お客様のニーズに合った様々な分煙設備をご提案していく予定です」と語る。
 喫煙者は減少傾向、法令も禁煙を後押ししているとはいえ、喫煙場所の底堅い需要もある。ビルオーナーも今後の動向に注目すべきだろう。




週刊不動産経営編集部  YouTube