不動産トピックス
クローズアップ 宿泊施設編
2018.04.16 17:46
ホテル運営においてデザインや設備の充実はもちろん、IoT化が欠かせない時代になった。iPod1つで客室のリクライニングベッドやプロジェクターなどの様々な機能をコントロールできる。近未来型の宿泊体験が可能な客室が増えているのだ。
若者の街・渋谷に進化したカプセルホテル登場
最新テクノロジーを備えた客室ユニット「スマートポッド」
グローバルエージェンツ コミュニケーションデザイン部・マネージャー 廣田章剛氏
常に新しいトレンドや文化が発信され「若者の街」と形容される東京・渋谷。近年は外国人観光客も増えて、インバウンド需要に対応した様々な商業施設が進出している。中でもITビジネスの普及に伴い、進化が注目されているのがカプセルホテルなどの簡易的な宿泊施設だ。カプセルホテルというと、最終電車を逃した会社員が利用する男性専用の宿泊施設、というイメージが強い。だがソーシャルアパートメントやゲスト交流型のホテルなどを開発・運営するグローバルエージェンツ(東京都渋谷区)のコミュニケーションデザイン部・マネージャーの廣田章剛氏は、渋谷におけるカプセルホテル需要について次のように話す。
「カプセルホテルの店舗数は右肩上がりに伸びておりますが、渋谷は駅の近くに建物が余っておらず宿泊施設の開業が難しいエリアと言えます。近年オープンしたホテルもいくつかありますが客室が少なく、宿泊をメインにしたコンセプトではありません。当社では、この度ホテルをメインにしつつ、流行に敏感な渋谷のお客さまにライフスタイルを提案する新しい宿泊施設をオープンしました」(廣田氏)
同社は3月、2000年以降に20歳を迎えたミレニアル世代に対応した宿泊施設「The Millennials Shibuya」を開業した。昨年7月に京都・河原町三条で1号店をオープンし、渋谷は2号店となる。
同店は「渋谷」駅から徒歩6分に立地する地上10階建。カプセルホテルの一般的な機能だけではなく、3階にコワーキングスペース「アンドワーク」が併設されている。宿泊客のみならず誰でも一時利用が可能で、室内の家具は全て可動式になっており、セミナーやイベントなども日常的に開催している。日々多くの人々が流動する渋谷において、一時利用できるスペースは大変重宝されるのだ。
4階はレセプションとロビー、そして「BALMUDA」製の家電が取り揃うキッチンが設けられた共用スペースとなっている。そして「The Millennials Shibuya」の最大の魅力は、洗練されたデザインもさることながら高い居住性と機能性を備えた全120室の客室ユニット「スマートポッド」にある。「スマートポッド」には床面積3㎡と天井高2・3mの客室空間にセミダブルサイズのリクライニングベッドや大型キャビネット、そして80インチのスクリーンなどを搭載。リクライニングベッドとアラームが連動し、起床時間になるとベッドが起き上がる革新的な機能が備わっている。これら「スマートポッド」内の機能は、チェックイン時に渡されるiPodでコントロールが可能。セキュリティも万全で、施設内のエレベーターもiPodがキーとなっているため不審者が立ち寄る心配もない。
また現在、「The Millennials Shibuya」では20名のアーティストが「スマートポッド」をキャンバスに見立てて、アートを施した「アートポッド」も20室設けられている。デザイン性、機能性、そしてエンターテイメント性に富んだ同宿泊施設は渋谷に相応しい「新たなカプセルホテルの形態」として注目されているのだ。
廣田氏は「当ホテルは、客室における必要最低限のものを残し、宿泊ご利用の皆さまに最高の居心地を提供しています。また共用スペースにも様々な工夫が凝らしてあり、コミュニケーションを図りやすい環境を構築しておりますので、ぜひ渋谷の街を楽しんで当ホテルをご利用いただきたく思います」と語る。なお、同社では今後も「The Millennials」シリーズの新たな出店および、海外進出も計画している。
阪急阪神HD 新「宝塚ホテル」が着工
阪急阪神ホールディングス(大阪市北区)は6日に宝塚ホテルの移転計画を進め、2日に着工したと発表した。同計画は事業主の阪急電鉄(大阪市北区)と運営を行う阪急阪神ホテルズ(大阪市北区)と、阪急阪神不動産(大阪市北区)の3社で同計画を進めていく。