不動産トピックス
クローズアップ 耐震補強編
2018.04.23 15:01
不動産オーナーを悩ます課題として、耐震補強診断や補強工事が挙げられる。工事費用は高額で、かつ入居テナントに不便を掛けるケースも多い。そんな中、既存の美観を損なわずに、テナントが居ながら耐震工事できる工法がある。
助成金の手続き代行などで不動産オーナーから好評
テナントの「居ながら施工」が可能な「JSPAC工法」
1989年創業のサンヨーホーム(茨城県牛久市)は、茨城県を中心に売買仲介や宅地開発などの不動産業を展開する総合不動産会社。近年はそれら事業と共に建物の耐震診断・耐震工事にも注力し、営業エリアは全国規模に拡張している。
同社が得意とする耐震工法は「JSPAC(ジャスパック)工法」といい、柱自体の強度を高めるもの。既存の柱を強度の高いグラウトと職人の手で持ち運び可能なプレートで覆った上で、靭性(粘り強さ)の高い専用の繊維シートを巻き付けることで耐震性を高め、且つ既存内装の美観を損なうことなく仕上げる。加えて施工箇所のみに囲いを造り工事に取り掛かるため、既存テナントが退去せずに「居ながら施工」が可能な点も特長的だ。
販売営業本部の鈴木厚子氏は「この『居ながら施工』が不動産オーナーやテナントなどから好評で、長野のリゾートホテルや京都の旅館、大阪の私鉄ビル、病院、大学などの多種多様な施設での施工実績があります。もちろん東京都内や関西エリアでも多くの実績を持ち、2015年3月に行った港区オフィスビルの耐震改修工事や、渋谷区でコンバージョンと耐震補強工事を合わせた事例もあります。閑散期を狙った工事や、緊急性の高いフロアから順次取り掛かるなど、経営者側の視点に立った細やかな提案も人気の秘訣です」と語る。
また同社は耐震化で必要になってくる自治体への申請や助成金の手続き代行、金融機関との相談といったバックアップ体制を整えている点も強みだ。特に高額となる耐震補強設計及び補強工事費への助成金の手続き代行は、オーナーからの依頼が多く同社も積極的に協力するところ。だが現在、耐震補強設計への助成金適用期間の締め切りが迫っている自治体もあり、鈴木氏は「まだ耐震補強を行っていないオーナーは、早めに取り掛かる必要がある」と指摘する。その一方でオーナー側が、何から取り掛かれば良いか把握できていないケースもある。その時こそサンヨーホームの出番。様々なタイプの物件で耐震補強設計及び補強工事の実績があるため、物件のニーズに合わせた最善のコンサルティングを提供可能である。
鈴木氏は「私達はいわゆる建築会社ゼンコンでも一様な不動産会社でもありません。耐震を武器に建物の付加価値向上を目指すコンサルティング企業なのです。駅チカで立地環境が良いオフィス・商業ビルでは極稀に、『稼働状況が良いため別に耐震補強を行う必要も感じない』や『入居テナントに対しての支障が出る』といった理由から、耐震補強工事を行わずに放置しているビルもあります。当社のサービスを利用すれば入居テナントに迷惑もかけず、かつ不動産価値を向上できるので、是非この機会に当社へ相談しては如何でしょうか」と語る。
蝶々形のブロックを積み上げて耐震補強壁を構築
竹中工務店(大阪市中央区)は、RC造(鉄筋コンクリート造)建物に蝶々形のブロックを積み上げて耐震補強壁を築く「エストンブロック工法」についての、新形状のブロック「エストンブロックL―Type」を開発。「睦学園兵庫大学11号館」にて初適用し、今後は普及・促進を図る。
今回開発した「エストンブロックL―Type」は、従来の「エストンブロックS―Type」に比べて重量を変えずに、ブロックの空洞率を向上+大型化することで施工効率を3割向上させた製品である。また新たに生産体制を増強し、生産能力の向上を図った。なお「エストンブロックL―Type」は日本ERIにて構造性能評価(K13012―05)を取得。適用範囲も拡大させている。
現在、本同工法のブロック使用個数は約10万個となっている。
トヨタホームの戸建住宅シリーズ 従来よりも耐震性・耐久性が飛躍
トヨタホーム(名古屋市東区)は、耐震戸建住宅の主力商品「シンセシリーズ」に、延床面積100㎡前後の新商品「SINCE i―rashiku(シンセ・アイラシク)」を今月19日から発売開始した。
「シンセ・アイラシク」のコンセプトは、「こだわりが手に入る『私らしい家』」。子育て世代のニーズに応える外観・インテリア・水廻り設備を備え、耐震性・耐久性・断熱性に優れたプレハブ品質のもと、空間を生かしたコンパクトな住まいを実現した。新規格のユニットを採用するとともに、ユニットを離して設置する「ワイズジョイントS」工法を取り入れることで建物形状を0・25m単位で調整でき、かつ耐震性・耐久性なども従来より飛躍したかたちだ。