不動産トピックス
クローズアップ スペース活用編
2018.05.07 13:47
都心オフィスビルが空前の活況に見舞われている。一方で郊外のテナントビルや賃貸住宅では空室が引き続き課題として残っている。単純なテナント・入居者募集では客付けが難しくなっているエリアも少なくない。そのなかで活用ニーズが増しているのがスペースや空室を活用したサービスだ。昨今、インバウンドの増加や住宅ニーズとして「シェア」などがキーワードとして挙がる。進化し続けるスペース活用は従来主流だったものも変わりつつある。現在のトレンドについて追った。
スペース活用サービス「#3S」始動 2018年度末までに1万件の実績目指す
トーキョーサンマルナナ 代表取締役 八坂大洋氏
トーキョーサンマルナナ(東京都世田谷区)では「浅草」駅から徒歩1分の場所でITを活用した訪日向けサービスの実証店舗「♯3S(スリーエス)浅草」をリブランドオープンした。
「♯3S」は「スマート」、「スペース」、「シェア」の3つのSを掲げた同社のサービスブランド。テクノロジーで新たな空間価値を創出することをミッションに掲げ、活用法の提案や未活用スペースの有効活用を目指す。運用面では人手を介さない無人運営を目指し、IoT製品を最大限活用していく。代表取締役の八坂大洋氏によると「浅草以外でも三軒茶屋で運用していまして、ある集客サイトでは人気スペースとして取り上げられている」という。
全国展開を目指していく予定で「♯3S」への加盟オーナーを募る。用途のカテゴリとしては会議利用、パーティ利用などのレンタルスペースと宿泊施設の2種類を想定。「併設してワーキングスペースやコミュニティスペースなどのプロデュースにも取り組んでいく」(八坂氏)という。
今回、新サービスの展開となったわけだが同社ではスピーディな展開とサービス拡充に取り組む構え。「施設管理に特化したIoT製品の導入支援やそれらの製品を一括でオーナーや管理会社が管理できるアプリケーションの提供などを目指していきます。また2019年頃を目途にゼロベースから用途に応じたプロデュースを行う『♯3Sクリエイト』サービスも展開予定です」(八坂氏)。
民泊での経験を新サービス「♯3S」でどのように生かしていくか。これからの進展に注目したい。
グローバルエージェンツ SNSや口コミで認知度向上
自社ソーシャルアパートメント全室満室に
グローバルエージェンツ(東京都渋谷区)が首都圏を中心に展開する隣人交流型賃貸住宅「ソーシャルアパートメント」が2月28日時点で自社物件全室満室を達成した。
同社は全36棟2000室の管理・運営を主力事業として展開。2015年より3年連続で稼働率が90%以上を推移してきた。
5年前より他社媒体や仲介会社を通さず自社サイトのみでの集客にシフトし、今では全ての問い合わせを自社サイトのみで獲得することに成功している。年々問い合わせ件数は増加傾向にあり、2017年3月1日から2018年2月28日までの年間問い合わせ件数は約7000件となり、過去最高を更新した。
ウェブマーケティングや継続的なブランディングに加えて、物件数の増加に伴い、入居者発信によるSNSや口コミで認知度が広がり、特に情報発信・受信力の高い20代後半から30代前半の客層をメーンに新しいライフスタイルとして受け入れられていることが問い合わせ数増加につながっているという。
民泊サイト業務提携で宿泊客層の拡大目指す
TRIPBIZ(東京都品川区)とAIトラベル(東京都港区)は2018年1月に業務提携を発表。TRIPBIZ社の持つ日本国内の民泊リスティングのリソースと、AIトラベル社のAIを活用したクラウド型の出張手配サービスを掛け合わせることで、出張宿泊先の選択肢の提供と手配・管理の効率化により、すべてのビジネスパーソンに快適な出張体験を提供する。
今回の事業提携による両社のメリットは大きい。TRIPBIZにとっては集客の拡大につながるとともに、AIトラベル側にとっては宿泊先リスティングに「民泊」が加わることや、「訪日需要によるホテルの空室不足」をビジネス用民泊で解決できるなどソリューションの幅の広がりに期待できる。