不動産トピックス

クローズアップ 宅配ボックス編

2018.05.14 11:39

 セキュリティや管理面からも信頼性が高いコンピューター制御式の宅配ボックスであるが、従来同タイプの宅配ボックスの設置には場所が限定されていた。高価なことも影響し、導入・設置をためらう不動産オーナーや管理組合も多い。それら問題を解決し、屋根のある屋外での設置に適した宅配ボックスの普及が進んでいる。競争も熾烈になってきた。

ウォーターポイント 低価格のうえセキュリティの確保 普及が進む「トライスマイスター 無電源BOX」
ウォーターポイント 代表取締役社長 小早川克史氏
 ウォーターポイント(広島市西区)が、昨年の5月末から宅配ボックス事業に参入し、約1年が経とうとしている。
 ウォーターポイントはそもそも「水」の専門メーカー。海洋深層水の「laus」シリーズをはじめ「天上山」や「シェルモンテ」といった独自の健康に優しい飲料水をスーパーなどにウォーターサーバーや給水機とともに卸してきた。そんな同社が独自の電子型宅配ボックス「トライスマイスター 電子BOX」を開発。自社で行う飲料水の自宅配送サービスにおいて発生した再配達や煩わしい業務の削減などを主眼に開発したが、一般的な宅配ボックスの利用として購入・設置するケースが多く購入者からも評判は上々だ。
 が宅配ボックスメーカーとしては後発。小早川克史社長は開発・進出にあたって他社との差別化を図ることが必要であった。その結論は「価格勝負」。電子型・コンピューター制御型の宅配ボックスの普及において壁だったのが「高価格」。利便性の高さを認識しつつもコスト面から導入に躊躇う不動産オーナーや管理組合が見られた。同社は利用頻度の低い機能を別途費用でのサービスとし極力省いた。その結果、実現した価格は他社の商品に比べ2~3割安い。
 同時に同社は「トライスマイスター 無電源BOX」の販売も開始した。こちらは機械式の宅配ボックスで、大きさも小・中・大の3タイプを用意。大型ではゴルフバッグの収容も可能。利用者は開閉用の番号(3ケタ)で荷物の出し入れができ、番号を適宜変更することも可能。セキュリティ上も万全。また無電源型は電源型に比べ更に低価格で、設置場所も電源を必要としないため自由である。
 「我々が宅配ボックス業界に参入するに当たり調査した結果、マンションのオーナーの間には『リーシングの為にも設置したい。しかしコストを考えると二の足を踏んでしまう』という声が多いことを知りました。そのニーズに我々は着目した次第です。またアパートや戸建住宅においては、活用されていない駐輪場やエントランス周辺の軒下などの空きスペースに設置するだけでも、宅配ボックスを利用することができます」(小早川氏)
 ここ数年は防滴タイプの宅配ボックスの普及も進み、今まで防滴タイプを開発をしてこなかったメーカーも積極的に乗り出している。普及状況から「トライスマイスター 無電源BOX」などの無電源タイプの設置満足度は高いようだ。今後の展開に注目である。

フルタイムロッカーの外置き対応防滴タイプ
「チャレンジボックス防滴タイプ」として一般発売を開始
フルタイムシステム 代表取締役副社長 原周平氏
 宅配ボックス業界シェアトップのフルタイムシステム(東京都千代田区)は、外置き対応可能な防滴タイプの宅配ボックスを開発。子会社であるフルタイムロッカーより、先月4日から「チャレンジボックス防滴タイプ」として一般発売を開始した。
 セキュリティや管理面からも信頼性が高いコンピューター制御式の宅配ボックスであるが、従来同タイプの宅配ボックスの設置場所が限定されていた。その結果、導入・設置したくともできない物件が多々あり、改善が求められていた。今回の開発により、今まで屋内にしか設置できなかった宅配ボックスが防滴加工することで、屋外設置が可能。室内に充分なスペースがなく設置できなかった賃貸集合住宅にも設置でき、スペースの有効活用にも繋がる。昨今は屋根付きの屋内で空いたスペースに設置するケースが多い。
 フルタイムシステムは従来の販売活動に加え、「チャレンジボックス防滴タイプ」の販売を通じ、宅配ボックスの普及率アップを目指す。今後は居住者の利便性・安全性の向上と労働問題、環境問題にもなっている再配達およびCO2の削減に寄与する姿勢だ。

デザインアークの「宅配ユニットBOX」
ボックスの組み合わせにより様々なニーズに対応
 大和ハウスグループのデザインアーク(大阪市北区)は、先月23日から防雨仕様のオリジナル宅配ユニットを発売開始した。
 「宅配ユニットBOX」は、2種類の奥行タイプ(スタンダードとハーフ)を用意し、ボックスの組み合わせによって、様々なニーズに対応できるようにした点が特長の製品。限られた敷地を有効活用できるユニットフレーム設計となっており、従来の他製品に見られた「大きすぎて設置できない」や「空きスペースに合わない」と言った事例を解消した。
 更に防雨設計にも優れており、第三者機関によるIPX4試験をクリア。ボックス本体の防雨仕様設計に加え、レインルーフタイプも設置可能。販売エリアは一部地域を除く全国となっている。




週刊不動産経営編集部  YouTube