不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2018.05.21 16:28
アパグループが名古屋・神戸で用地を取得 東京オリンピック後のホテル事業拡大を狙う
JR「名古屋」駅4分 リニア開業見据える
総合都市開発のアパグループ(東京都港区)は、新たに名古屋・神戸でホテル開発用地を取得した。
名古屋はJR「名古屋」駅前で、取得会社はアパホーム。この案件は、JR各線、新幹線、市営地下鉄東山線・桜通線などが乗り入れるターミナル「名古屋」駅のJR太閤通口より徒歩4分で、敷地面積768・71㎡。
2027年のリニア中央新幹線の開業も控え、今後更に観光客やインバウンドなどの増加が見込まれる中、特に発展著しい「名古屋」駅周辺エリアで、2021年1月開業予定の「アパホテル〈名古屋駅前〉」(311室)に続く2棟目の出店計画となる。
同案件地では、地上14階建て・288室を計画しており、2020年1月開業を目指していく。
同社の名古屋市内のアパホテルは、全250室の「アパホテル〈名古屋錦〉EXCELLENT」、全254室の「アパヴィラホテル〈名古屋丸の内駅前〉」、全400室の「アパホテル〈名古屋栄〉」、全150室の「アパホテル〈名古屋栄東〉」が稼働中であるほか、9月には全350室の「アパホテル〈名古屋栄北〉」が建築中と、これまで「栄・錦エリア」を中心に展開を行ってきた。今後は「名古屋」駅周辺エリアでの出店を強化すべく、積極的に展開していく。今回の取得により計画を含め名古屋市内のアパホテルは7棟・2003室となる。
一方、神戸は「神戸三宮」駅前で取得。取得会社はアパホーム。この案件は、阪急神戸線「神戸三宮」駅より徒歩3分に位置し、新幹線が乗り入れている「新神戸」駅や「神戸空港」駅へも乗り換えなしでアクセスできる。縁結びで有名な「生田神社」に近接し、「東門街」や「神戸元町」などの繁華街へも近いほか、「北野異人館街」へも徒歩圏と、ビジネスやインバウンド需要が期待できる。
「神戸三宮」駅周辺エリアでは、運営中の全2020室の「アパホテル〈神戸三宮〉」に続く、2棟目の出店計画となる。この案件地は敷地面積550・23㎡で地上13階建て、176室を計画しており、2019年秋開業を目指す。これにより兵庫県内のアパホテルは、全168室の「アパホテル〈姫路駅北〉」を含め3棟・546室となる。
5月9日には東梅田インバウンド対応も
同社の関西エリアでは、今年4月11日に全109室の「アパホテル〈新大阪駅南〉」を開業、去る5月9日には全240室の「アパホテル〈東梅田 南森町駅前〉」が開業し、披露式典を行った。
当日挨拶に立った同グループ代表の元谷外志雄氏は、「東京オリンピック後のオーバーホテルは当初の想定通りであり、その時こそホテルの買収なども含めホテル拡大のチャンスである。当ホテルは大阪府内14棟目のホテルとなるが、煌びやかで誇りをもって泊まって頂けるホテルとなった。自動チェックイン機やベッドの枕元スイッチなどお客様の時間を大切にする工夫や、プライバシーを重要視する『新都市型ホテル』は実用本位で常に進化する」と語った。
同ホテルは、地下鉄谷町線・堺筋線「南森町」駅徒歩1分に位置し、鉄骨造地上13階建て。全客室には、50型以上の大型液晶テレビを設置し、テレビ画面には館内案内の一部を集約して表示したほか、オリジナルベッド「Cloud fit(クラウドフィット)」を導入した。インバウンドの増加に対応するため、全体の60%を超える146室の客室にはベッド下に大きな荷物を収納できるスペースを設けた。
また、通常の浴槽より20%節水可能かつ、ゆったり入浴できるオリジナルユニットバス、BBCワールドニュース無料放映、Wi-Fi無料接続、シーリングライトを全客室に導入しており、ベッドの枕元には、照明スイッチ類、空調リモコンを集約し、携帯・スマホの充電が可能な4つのコンセント・USBポートを設置するなど、機能性・利便性を追求した仕様となっている。
未出店エリアに集中 2020年に10万室
同社の関西エリアでの出店はこのほかにも12月には全193室の「アパホテル〈堺筋北浜駅前〉」の開業を控えているほか、2019年9月には全917室のタワーホテル「アパホテル&リゾート〈御堂筋本町駅タワー〉」、同年10月には全400室の「アパホテル〈京都駅東〉」、2020年夏には全656室の「アパホテル〈新大阪駅前〉」が建築中と、大阪や京都を中心に展開を進めている。今後は未出店エリアを中心に幅広いエリアで展開を進めていくという。
アパグループは、アパホテルネットワークとして、建築・設計中、海外、FC、パートナーホテルを含む全国449ホテル7万5370室を展開しており、年間宿泊数は約1437万名にものぼる。また同社発行のポイントカードであるアパカード会員の累計会員数は、1500万名を突破している。同グループでは2020年3月末までにパートナーホテルを含むアパホテルネットワークとして10万室を目指している。
同グループの2017年11月期連結決算はグループ連結売上高1161億円、経常利益350億円と増収増益となり、来期も経常利益は360億円と増収増益を見込んでいる。
大和ハウスが「函館」駅前でホテルと商業施設
大和ハウス工業(大阪府大阪市)はこのほど、北海道函館市が進める「函館駅前市有地等整備事業」の公募型プロポーザル方式の事業者に選定された。
今後同社は、サービスアパートメントを備えたホテルと店舗からなる複合商業施設「ロイヤルパークスER函館駅前」を2019年12月に開業させる計画だ。
このプロジェクトは、JR北海道函館本線「函館」駅前に建設される防災医療拠点の機能をもつ施設。
敷地面積は9887・51㎡、ホテル棟はRC造地上11階建て、建築面積は1627・20㎡、延床面積は1万1175・09㎡、運営は大和リビングステイが担当する。客室のデラックスツインでは4名が泊まることができ、グループでの宿泊にも対応できる。
あわせて客室の一部には、サービスアパートメントを設け、インバウンドの長期滞在型観光にも対応する。館内施設として、天然温泉の大浴場、道南の食材を用いたレストラン、バー、コンビニエンスストアを設ける予定だ。
函館エリアは、2016年3月26日に開業した北海道新幹線により、インバウンドだけではなく日本人観光客からも関心が高まり、2016年度の函館市の観光入込客数は過去最高の560万7000人となった。
同社は、近年再び注目を集める函館市の観光の中心地であるJR北海道函館本線「函館」駅前に、国内外の観光客だけでなく地域住民のニーズを取り入れた複合商業施設を開発し、地域経済の発展に貢献することを目指していく。
また同プロジェクトでは、災害時に「防災医療拠点」となるER機能を持たせており、北海道内において札幌に次ぐ2棟目のERビルとなる。災害時には、施設内の避難スペース・設備機器・医療品・備蓄した物資を提供することが可能。
更に万が一、災害により陸路が遮断されてもホテル棟の屋上に設置した緊急救助用のホバリングスペースを利用することで物資の搬入や傷病者の搬出が可能になるという。
一の湯が共済組合施設受託
箱根で温泉旅館をチェーン展開している、一の湯(神奈川県足柄下郡)は、東京都職員共済組合と、同組合が保有する「箱根路 開雲」(箱根町湯本)を2019年3月から運営を受託する基本合意書を締結した。
同施設は部屋数36室の「箱根湯本」駅から徒歩8分、須雲川沿いの好立地にある。豊富な湯量と、雄大な景色を見ることができる露天風呂が特徴。大中小の宴会場と会議室を併設する。
同社は寛永7年創業の老舗温泉旅館「一の湯本館」を中心とし現在、塔ノ沢、仙石原、芦ノ湖箱根に7施設の旅館とホテルを運営している。「一つ先をゆく価値」、「革新と進化」によって「宿泊の常識を変え、宿泊によって日常生活の豊かさを提案する」を経営理念に掲げている。
武蔵野が浦安市で2店目建設
武蔵野(埼玉県朝霞市)は、浦安市千鳥に「SPA&HOTEL舞浜ユーラシア」に続き、2カ所目となるホテル(名称未定)を2019年2月に開業する計画だ。
計画地は、JR京葉線の「舞浜」駅より車で約10分の場所に位置し、敷地面積約3300㎡、建物延床面積約5600㎡、地上5階建て、客室数163室、朝食会場約120席。
緑地が望める朝食会場は爽やかなひと時を演出し、カジュアルなホテルを目指すとともに既存施設の「SPA&HOTEL舞浜ユーラシア」の本格的な天然温泉スパやレストランも併せて利用してもらえるよう連携を図る予定だという。
同社は「食」と「癒し」を企業テーマに大手コンビニエンスストア向けに弁当・おにぎり・惣菜などを製造、販売している。
APAMANグループが民泊代行サービス開始
APAMANの持分法適用グループ会社、グランドゥース(福岡県福岡市)は、6月15日より施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づき、民泊運営代行サービスを拡大する。
「民泊」が徐々に浸透し、興味を持つ不動産オーナーも増加している。しかし、個人がはじめようと思っても、法律、条例への対応からはじまり、運営面での集客やゲスト対応等さまざまなノウハウや手間が必要で、簡単に始められる事業ではなくなってきている。
一方で日本のインバウンド市場は今後も政府の後押しの元、今後も拡大が期待されている。こうした状況下、グランドゥースは、日本最大規模の民泊運営実績を生かし実際の投資シミュレーション、内装決定、家具、備品のコーディネート、設営、申請、集客、外国語対応、清掃など民泊運営に必要な業務をワンストップで提供する。
すでに自社でも「Grandouce」ブランドで東京都大田区、大阪府をはじめとして11カ所の運営を行っている実績をもとに、民泊新法、特区民泊、ホテル、簡易宿所など様々な宿泊施設の形態に対応できるサービスを提供していく計画だ。