不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2018.05.28 17:24

「泊まれる本屋」新宿に出店 2015年以降全国で5店目
 不動産のセレクトショップ、R-STORE(アールストア 東京都品川区)は5月22日、「泊まれる本屋」をコンセプトに、訪日外国人観光客や国内旅行者をターゲットとしたホステル「BOOK AND BED TOKYO」の5店舗目となる「BOOK AND BED TOKYO 新宿店」をオープンさせた。
 同施設はJR「新宿」駅東口から徒歩6分。シングルの居室数は28室、サイズは200cm×98cm、コンフォートシングルは24室で、200cm×120cm、ダブルは2室で、200cm×142cm、スーペリアルーム1室、273cm×246cm。グラフィックデザインを「Soda design」、内装デザインを「Indigo 軍司沙織」、ブックセレクトは「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS)」が担当する。
 本棚の中にベッドが埋め込まれ、まるで本棚の中に眠るような構造が特徴。蔵書数約2400冊で館内に最大4000冊収納可能な本棚が配置されている。もちろん宿泊者以外にもデイタイムのラウンジスペース利用もできる。 
 同店では、福岡・名古屋で期間限定のポップアップショップとして、営業を行っていた「by BOOK AND BED TOKYO」を、「BOOK AND BED TOKYO」初のカフェとして併設。黒をテーマカラーに、ブラックラテなど黒を基調としたドリンクや料理を提供する。コーヒーには、「Coffee Supreme」「Fuglen Tokyo」の焙煎した豆を使用。11時から20時までの営業で、宿泊者以外の利用および持ち帰りも可能だ。
 同社では2015年11月5日の池袋本店を皮切りに、2016年12月2日には京都店、2017年4月29日に福岡店、同年10月5日浅草店を次々とオープンさせた。
 同社によれば、池袋店での利用者統計を取ったところ、20代~30代が85%、40代以上が15%。男女別では、男性30%、女性70%、利用目的別では、国内旅行客が33%、国内出張客4%、海外旅行客33%、都内近郊客29%。お泊まり会やサードプレイス的利用も多く、都内近郊の方の利用が3分の1近くを占めているという。

ナインアワーズが7月に蒲田に出店 ビジネスマン向けにデスクスペースも
 ナインアワーズ(東京都港区)では、レーサム(東京都千代田区)との協業で、新店舗「ナインアワーズ蒲田」を東京都大田区蒲田に7月27日にオープンさせる。
 同施設はJR京浜東北線「蒲田」駅より徒歩約5分で、敷地面積157・16㎡、延床面積1108・50㎡、地上11階建て。客室数は男性63室・女性84室。限られた空間を有効的に活用するため、1階エントランス部分にデスクスペースを併設。同施設は羽田空港と都心を結ぶ蒲田という土地柄、ビジネス目的で都心に訪れる宿泊客を多く見込んでいる。このためフライトまでの空き時間などを有効に利用してもらおうという配慮だ。
 この「蒲田」独特のデスクスペースでは、デスクとイスを一体化したユニットを「ナインアワーズ蒲田」のためにオリジナルでデザインした。
 「デスク自体もカプセルのようにそれぞれのプライベートが程よく確保され、短時間でも集中して作業ができるように設計しています。また、スーツケースを持ったままでも使いやすいよう、デスクとイスを高めに設定しています。機能的でありながら、木やスチールの素材感を活かした、端正な佇まいのユニットデスクです」(同社)。 
 外観は、避難導線であるバルコニーと階段で構成され、端正に連続する、プラントのような無駄の無いデザインを意識しているという。 
 同社では今後、宿泊機能に、ロケーションにあわせた新たな機能を追加していく計画。これまで開業した施設でも、コーヒースタンドやランステーションなどの機能が加えており、この追加機能により、都市のインフラとして更に利便性の高い施設として展開する予定だという。

「AIチャットボット」で外国人の満足度向上
 多言語コミュニケーションツールを開発しているアクティバリューズ(東京都渋谷区)は、5ヶ国語対応のAIチャットボット「talkappiボット」を洞爺湖温泉観光協会に導入する。
 この機器は、数多くの言語をマスターしたAIが、訪日旅行者からの外国語での質問に自動で応答などを行う、外国人向け接客ツール。訪日旅行者からの外国語での質問・リクエストを人工知能が解析し、24時間いつでも、適切な回答を外国語で即座に返答する。外国語ができるスタッフがいなくても、利用者を待たせることはない。
 LINE、Facebook、WeChatという国内外で人気の主要SNSに完全対応しており、「ふだん使い慣れているスマートフォンのSNSで」「いつでも」「どこでも」気軽に話しかける感覚で利用することが可能だ。言語は日本語、英語、中国語、韓国語に対応し、訪日外国人旅行者の9割以上をカバーできるという。
 他にも同機器は、草津温泉の代表的なリゾートホテル「Hotel Village」にも導入されている。インバウンド旅行者の顧客満足度向上を狙う宿泊施設、観光協会をはじめ、民泊、観光施設、自治体など、導入範囲は拡大している。
 洞爺湖の観光振興を担当している洞爺湖温泉観光協会は、増加しているインバウンドへのサービス向上のため、多言語での問合せに自動で応答できる「talkappiボット」を4月から試験導入し、6月のHPリニューアルに合わせて正式運用を目指す。今回の「talkappiボット」の導入は、多言語での対応によりインバウンドに利便性の高い情報提供ができることで、顧客満足度を向上させられるほか、自動応答により業務が効率化できると期待されている。 
 今後同社は、多言語コミュニケーションツールを提供することで、自治体、宿泊施設、観光リゾートなどのサービス提供施設とともに、インバウンド誘致による地域活性化に貢献していきたいという。

ヒノキヤグループがホテルに参入
 ヒノキヤグループ(東京都千代田区)のグループ会社であるフュージョン資産マネジメント(東京都文京区)では、訪日外国人向けホテル事業に参入する。第一弾として「レジデンシャルホテル IKIDANE 町屋」を4月28日に開業させた。
 同施設は、地下鉄千代田線「町屋」駅から各徒歩5分、鉄骨造地上7階建て、最大収容人数100名。客室は6人部屋6室、5人部屋12室、4人部屋1室。集客運営委託先はIKIDANE、企画・開発は霞ヶ関キャピタルが担当する。同施設は、集客と運営をIKIDANEに委託することで、同社が運営し数百万人以上の読者を有する訪日外国人向け観光情報サイト「IKIDANE  NIPPON」と連携した高い集客力の実現と着実なノウハウの蓄積を目指す。
 フュージョン資産マネジメントは国内に1部屋4~6人で宿泊できる宿泊施設が不足していることや6月に施行される民泊新法が民泊事業者や宿泊客にも影響を与えると予測し、特に増加が見込まれるアジアのファミリー層を対象としたホテルを開業した。成田空港、上野・浅草エリア、都心などへアクセスが容易な「町屋」駅から徒歩5分という立地によって多くの訪日外国人の滞在が期待されている。
   同社は、東京オリンピックを控えた首都圏における訪日外国人旅行者とその消費額の増加の見込みや、団体旅行から個人旅行といった外国人旅行者の需要の変化を受けたホテル事業の推進を計画しており、今後も複数の開発案件に取り組んでいく。

雲仙九州ホテルがリニューアル
 創業101年の雲仙九州ホテル(長崎県雲仙市)は、5月25日に「大人のリゾートホテル」をコンセプトとしたリニューアルを行った。
 同ホテルは長崎空港より車で約80分、エントランス、客室、離れ、レストランの全4棟で構成されている。今回のリニューアルのコンセプトは「大人のリゾートホテル~人と人との絆を深め、人生の想い出を創る上質なホテル」。 
 メインの宿泊棟は、21ある全客室から、煙が沸き立つ雲仙温泉の象徴「地獄谷」を望むことができ、温泉半露天風呂も全室に完備。
 4室の離れはよりプライベートな滞在を堪能してもらうため、「半露天と露天風呂の両方を楽しむことができるばかりでなく、離れ客室からほど近い場所に専用の個室をご用意し、特別な空間と時間を楽しめるようになっています」(同社)。
 また、カフェ「The Mellow Ridge」では、水盤と木々を眺めながら昼間のカフェタイムから食後のバータイムまでいつでもリラックスして過ごしてもらえるよう、宿泊者にはドリンクを無料で提供する。
 屋上階には、宿泊者専用ラウンジ「The Roof Top Lounge」もあり、ミニライブラリー、セルフサービスのドリンクやマッサージチェアを完備している。

プリンスホテルが会員制事業 2019年軽井沢施設内に新設
プリンスホテル(東京都豊島区)では、会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」の第1弾として、2019年7月に軽井沢・浅間プリンスホテルの敷地内に「ヴィラタイプ」「ホテルタイプ」の2施設の開業を予定している。
 同施設は、軽井沢・浅間プリンスホテルの敷地に新設するプライベート性の高い15棟のヴィラタイプの会員制ホテル。客室棟15棟全糖が80㎡以上で、うち2棟は愛犬と一緒に過ごすことができるドッグヴィラとなる。共有制の会員権として全15棟、総口数180口を販売する。
 「プリンス バケーション クラブ」の会員権販売は、東急不動産(東京都港区)と連携し、東急不動産の関連会社である東急リゾート(同)に販売の一部を委託する。また、「プリンス バケーション クラブ」の会員と、東急不動産が展開する会員制リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ」の会員との施設の準相互利用も2019年7月より開始する。
 「プリンス バケーション クラブ」は、プリンスホテルが多様な施設運営ノウハウと資産を活用し、別荘の利便性とホテルの快適性を融合した新しい滞在スタイルの提供を目的に開始する事業。軽井沢や伊豆、箱根、湘南、日光、北海道、新潟などのリゾートエリアを中心に施設の新設や既存施設の転用により順次展開し、将来的には全国に約20施設の展開を目指していく。




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