不動産トピックス

今週の一冊

2018.06.04 17:50

海外の体験を日本に輸入 モダニズム建築の魅力に迫る

日本の初期モダニズム建築家
著者:吉田鋼市
発行日:2018年3月30日
価格:1800円(税抜)
発行所:王国社

 著者は1970年代にフランス政府給費留学生としてエコール・デ・ボザールU.P6および古建築歴史・保存高等研究センターで学び、現在は横浜国立大学教授で工学博士。「日本の」何かを語る場合、外国で培った土壌はさらに豊かな視点を生むのだろう。
 本野精吾、川崎鉄三など13名の建築家について作品の詳細な描写や解説は濃く深く読みごたえがある。
 また白黒ではあるが作品の写真が多数掲載されており、説明文にも著者の建築物への尊敬や想いの深さが感じられる。例えば「板倉準三―『文学士』のモダニスト建築家」の章では作品の一つである東京日仏学院の写真が外観、外観細部、内部の楕円形平面の階段室と3種掲載されており、可能な限り魅力を紹介しようとする姿勢が好感だ。建築家を個別に語る前に、「モダニズム建築と社会主義」「日本のモダニズム建築の曙」では歴史的、政治的側面を見事に表現し、著者の卓越した文章力も相まって一気に読み進めることができる。建築の棚か歴史の棚か迷うところであるが手元に置きたい良書。




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