不動産トピックス

クローズアップ マンション修繕編

2018.07.02 16:46

 マンション業界では賃貸、実需ともに多彩な修繕サービスが展開されている。事業用では対象とならないサービスも少なくないが、ビル業界の新サービス構想のヒントになりそうだ。

静音床材剥離機「Serena-Mente300」 マンションから病院までリピート顧客も
インテリアいとう/セレナメンテホールディングス 取締役社長 伊藤勝則氏
 マンションなどで実施される大規模修繕。建物の維持管理と価値向上のため、と言えば所有者や入居者にとって避けられないもの。しかしながら、その工事で発生している騒音による健康影響については注意したいところだ。
 実は騒音による健康被害についてはWHO(世界保健機関)も注意を促している。研究等によって、長時間騒音に曝されることが難聴だけでなく心疾患のリスクなどを高めているという知見があるからだ。日本でも1993年に労働省(現厚生労働省)が施工業者や作業員向けに「騒音障害防止のためのガイドライン」というパンフレットを作成している。
 マンションや病院の床に使われる「長尺塩ビシート」。今までは大規模修繕などで剥がす際に、大きな騒音や振動が出る削岩機(特定建設作業に指定)を使用していた。
 このことを課題として2013年より無振動式の静音床材剥離機「Serena―Mente300」、「Serena―Mente140」の展開をはじめたのがインテリアいとう(千葉市若葉区)だ。取締役社長の伊藤勝則氏は「修繕工事は当然ながら住居の間近で行われています。昼の時間帯とはいえども、就寝中の方、赤ちゃんや高齢者が在宅していることも多い。騒音での健康影響は決して無視できないと思います」と話す。  製品展開をするにあたって、静音レベルの比較実験を実施。そのなかで従来品に関しては最高で100dBを超え、平均的にも90dBとなったのに対し、「Serena―Mente」では70dB前後(10分の1)となっている。工事中でも会話ができるレベルとなっていて、言うまでもなくこれまでの騒音被害のリスクは格段に減っている。
 「中小企業であることから、これまで大々的な展開は難しい状況でした。それでも展開して以降、徐々に口コミで広がっています。マンションでの大規模修繕はもちろんのこと、病院や介護施設、老人ホームでの施工現場も増えているのが特長的です。居住者や近隣住人の特性から相応の配慮が必要になっている現代だからこそ、『Serena―Mente』をご指名頂いているのだと思います」(伊藤氏)
 伊藤氏のもとにはこれまでも複数のハウスデベロッパーから提携の話を持ちかけられてきたという。ただ「騒音による健康被害を無くしていくことが一番の目的。独占契約となると、普及しにくくなるのでは」と考えて、それらの提案は断ってきたという。
 「そこで2018年1月に、東証一部上場のエスフーズ(兵庫県西宮市)社長の村上真之助氏より資本協力をいただき、新たにセレナメンテホールディングス(千葉市若葉区)を設立しました。この会社では『Serena―Mente』をはじめとして、当社製品などの普及を進めていきます」
 セレナメンテホールディングスでは宣伝や市場の確保を狙っていく。そのミッションは伊藤氏の思いと同様、騒音被害の撲滅だ。「WHOや厚生労働省が警鐘を鳴らしているが、工事期間中の騒音被害は多くあります。これは住人だけでなく、作業員にとっても大きな健康リスクです。そのような騒音被害を『Serena―Mente』でなくしていければ」と話す。
 2018年5月から半年間の日程で「千葉市科学館」9階テクノショップにて展示も行われている。2013年リリースの製品だが、じわじわとその存在感を増してきている。

東急リバブル 「除菌・招集サービス」で売却不動産の価値向上
 東急リバブル(東京都渋谷区)では売却不動産の価値を高める「除菌・消臭サービス」を6月15日より開始している。同社ではこれまで水まわりをクリーニングする「水まわりブライトニング」や壁や床の傷みを修繕する「壁・床リペアリング」など「あんしん」できる不動産売買の実現に向けて多彩な無償サービスを展開してきた。今回発表の新サービスもその一環となる。
 マンション売買の際、内見時にタバコやペットの臭いが気になって、成約に至らないケースもある。「除菌・消臭サービス」サービス適用により、99・9%の除菌・消臭を実現する。買主の内見時の印象を良くすることで、機会損失を減らし、円滑な売却を目指す。
 同サービスは専有面積(壁芯)30㎡以上の居住用マンションあるいは築15年以内の居住用一戸建、あるいは空き家が対象となる。事業用不動産・賃貸用不動産(募集中含む)は除く。

瑕疵保証+建物検査サービス開始
 三春情報センター(横浜市港南区)は「瑕疵保証+建物検査」サービスを5月18日より開始した。売主・買主双方に「安心」を与えるのが狙いだ。
 同社は地域密着企業として不動産売買仲介を主軸に事業を展開している。今回スタートした新サービスでは、建物検査を受けた中古住宅を売却、あるいは購入した顧客が、建物の瑕疵補修を最長で2年間、最高で250万円の補償を受けることができるようになる。
 補修責任等によるトラブルを防ぐとともに、中古住宅市場の活性化へつながりそうだ。




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