不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2018.07.23 12:01

民泊・簡宿向け運用代行サービス 楽天グループが本格化
 楽天グループの民泊事業会社である楽天LIFULL STAY(東京都千代田区)と不動産販売・建築事業を手掛ける東京アライブエステート(東京都千代田区)は、楽天LIFULL STAYが提供する民泊・簡易宿所向けのブランディング・運用代行サービス「Rakuten STAY」のサブブランド「Rakuten STAY MOTEL」に関して業務提携を締結した。
 この提携により、東京アライブエステートは、楽天LIFULL STAYが監修し、グリフォンが企画・コンセプトデザインをする「Rakuten STAY MOTEL」の販売代理店として、不動産オーナーへの営業活動を行っていく。同時に東京アライブエステートは、このブランド施設の設計および施工も担う予定。
「Rakuten STAY MOTEL」は、郊外の道路に面した敷地を中心に建設される、主にグループや家族での自動車による旅行に適した宿泊施設ブランドとなる。
 同施設は、「ガレージハウス」というコンセプトのもと、様々な用途で利用できるビルトインガレージや施設に隣接する駐車場が組み込まれたデザインが特徴。
 利用者は、天候や人目を気にせず、自動車の乗り降りや荷物の積み降ろしが可能だ。1階ガレージは、自転車やサーフボードなど旅先で楽しむアイテムを置けるスペースや、水洗い場、ラック、テーブルセットなどの設備が充実しているため、様々な用途に使用することができる。2階の客室は、電気式のバーベキューグリルや、テラスに設置された露天風呂などを配置する。 また、楽天コミュニケーションズが提供する「あんしんステイIoT」や「スマートロック」を導入予定。タブレット端末を活用したチェックインや、暗証番号でドアの開閉を行うことができるため、オーナーや旅行者の負担を軽減できるようになる。
   楽天LIFULL STAYは「Rakuten STAY」において、今回の「Rakuten STAY MOTEL」だけでなく、戸建型宿泊施設やホステル、京町家といった宿泊施設のタイプ別サブブランドを提供している。
 「Rakuten STAY」は、民泊・簡易宿所の運営を希望する法人・個人を含む不動産オーナーに対し、楽天が「Rakuten STAY」ブランドを貸与し、楽天LIFULL STAYが、導入のコンサルティングから施工、清掃などの運用まで、委託会社の協力を得て一括して運用代行を行うサービス。利用者は「Rakuten STAY」を導入した施設に宿泊すれば、どこでも一貫したコンセプトに基づいた設備、アメニティーグッズの利用や付帯サービスを受けることができるようになる。

TATERUグループが民泊アパート2棟オープン
 アプリではじめるIoTアパート経営「TATERU Apartment(タテルアパートメント)」の開発・運営を行うTATERU(東京都渋谷区)と子会社であるTATERU bnb(同)は、福岡市中心部にIoT民泊アパートを2棟同時オープンさせた。
 「TATERU TATERU bnb TAKASAGO A」は、福岡市中央区高砂に位置。木造1棟の4部屋で構成される。部屋面積は21・87㎡から。一方、「TATERU bnb SHIMOGOFUKU-MACHI」は福岡市博多区下呉服町に位置。こちらも木造1棟4部屋で構成される。部屋面積は18・63㎡から。
 両施設とも「bnb kit(スマートロック・チェックインパッド・TRIP PHONE)」と呼ばれるシステムを採用し、独自の民泊運用サービスの提供を行っていく。既に同社ではIoTで民泊施設をスマート化する「bnb kit」を導入したアパートを2018年7月1日付で福岡市中心部に2棟同時にオープンしている。
 「TRIP PHONE」を使うことにより、地域性の高い観光スポットや体験の案内や予約、飲食店の予約など、24時間どこでもトリップコンシェルジュを利用することで、「ストレスフリーに自分だけの旅を楽しむことができます」(同社)。
 TATERU bnb社が企画するIoT民泊アパート「TATERU bnb」とはFITのニーズに対応した新しい形の民泊施設。近年増加している旅行スタイルであるFITは、移動や宿泊のコストを抑え、食事や観光などの体験型サービスを重視する傾向が強くなってきている。この施設では、1室4名まで宿泊することができるため、一人あたりの宿泊コストを抑えることが可能となり、より自由度の高い旅行を計画することができる。さらに、旅行者向けIoTデバイス「TRIP PHONE」の貸出により、24時間いつでもどこでもトリップコンシェルジュを通じたレストラン予約や交通案内、観光案内など、FITの快適な旅をサポートできる。

「ネストホテル」京都エリアにオープン
 ビーロット(東京都港区)は、京都府京都市でネストホテルジャパン(東京都千代田区)を運営会社としたホテルの開発プロジェクト「ネストホテル京都四条烏丸」を8月にオープンさせる。
 同施設は京都市営地下鉄烏丸線「四条」駅から徒歩3分、鉄筋コンクリート造、地上5階建て、敷地面積611・70㎡、延床面積2418・79㎡、客室数は全95室。
 デザインにはシンプルで落ち着きのある空間に、伝統ある京都らしい趣と季節の移ろいを表現。「まるで離れの個室でくつろぐような静かで贅沢な時間をお過ごしいただける、暖かみのあるデザインとしています」(同社)。シングル、ツイン、ユニバーサルを用意する。
 京都市は「観光スタイルの質」「観光都市としての質」向上への取組などから、年間観光客数は平成28年度に5522万人を達成致した。堅調な宿泊需要と宿泊施設の増加が寄与し、年間宿泊客数も同年は過去最高記録となる1415万人を記録しており、今後も宿泊需要は増加すると推測されている。  同ホテルは、ビジネス中心街や人気観光地にも近い位置にある。好立地で長期安定的な収益が期待できる新築ホテルは、不動産投資商品としても希少性が非常に高い点が同ホテル開発プロジェクトの特徴となっている。

良品計画が中国・北京にホテル
 良品計画(東京都豊島区)は、中国の北京にて「MUJI HOTEL BEIJING」と無印良品北京坊を、6月30日に開業させた。
 同ホテルは天安門広場を目前に望む北京中心街の一角。いくつもの世界遺産が点に位置する。客室は全42室、フロア構成は1~4階、レストラン・カフェ・BOOK LOUNGE・ビジネスセンター・ユーティリティルームなどを併設する。
 客室は、珪藻土や麻、綿、石といった、人が古くからつきあってきた自然素材を取り入れ、天然の機能と風合いを生かした空間にしている。広さの異なる6つの部屋タイプから選ぶことが可能だ。また客室の備品の一部は地下一階の無印良品店舗で購入することかできる。
 同ホテルは「アンチゴージャス、アンチチープ」をコンセプトに、適切な価格で良く眠れ、旅先において体と心を整える空間と、宿泊客と土地をつなげるサービスを用意。無印良品の店舗と連携することで、タオルの手触り、コンセントやスイッチの配置、レストランのメニューや空間などを通して、無印良品の思想を体感できるホテルを目指している。
 同社では今年1月18日に中国・深セン市に「MUJI HOTEL SHENZHEN」を、6月30日に中国・北京に「MUJI HOTEL BEIJING」をオープン。2019年春には東京・銀座でもオープンを予定している。

ナインアワーズ×レーサムで浅草に
 ナインアワーズ(東京都港区)は、レーサム(東京都千代田区)と協業し、新店舗「ナインアワーズ浅草」を東京都台東区浅草に9月21日開業する。
 同施設は東京メトロ銀座線より徒歩約10分に位置、敷地面積206・15㎡、延床面積1186・96㎡、地上9階建て、客室数は男性103室・女性80室の合計183室。
 新施設には、ノルウェー・オスロに本店を構えるカフェ「FUGLEN(フグレン)」の2号店が同時にオープン。2000年代初頭より、コーヒー文化が急速に発展したオスロで中心的な存在となった同店は、コーヒー、カクテル、ヴィンテージデザインを調和させたトータルコンセプトで展開しているという。「旅行者やその街で働く人、暮らす人へ向けて、世界レベルのコーヒーと朝食のほか、フグレンオリジナルのデイタイムカクテルやこだわりの地ビールを提供します」(同社)。
 開業後は、それぞれのロケーションに合わせた機能を加えることで、街のインフラを目指す「ナインアワーズ」と「フグレン」のコラボレーションによるポップアップイベントや独自のサービスを展開する予定だ。 
 建築・設計は、竹橋、赤坂に引き続き、建築家の平田晃久氏が担当する。同施設では、浅草寺を中心に、江戸時代からつづく日本で最も古い仲見世商店街のある風景を巻き取るような外観に加え、フグレンが提案する北欧ビンテージで構成されるインテリアが融合する空間をつくりあげている。
 「ナインアワーズ」は、都心における機能的・高品質なトランジットサービスという独自のカテゴリーを目指し、ホテル滞在中の「シャワー」+「睡眠」+「身支度」という3つの基本行動に特化してそれぞれの機能性と品質を徹底追求する考えで開発された。また、部屋という空間概念を捨てて身軽に使いこなすことで街とダイレクトにつながり、都心ならではの宿泊・トランジットスタイルを提案。このため、宿泊に限らず、24時間利用者の都合に合わせて仮眠やシャワーのみでも利用することが可能だ。

「家庭料理」で民泊をマッチング
 ZAZA(愛知県みよし市)は、日本の家庭の食卓で交流したい訪日旅行客と、家庭料理を訪日旅行客に振る舞いたい日本人ホストをオンラインで結ぶマッチングプラットフォームサービス「airKitchen」を運営している。
 同サービスは民泊とは異なり、日本人料理ホストが家庭料理体験を訪日旅行者に提供するもの。
 日本人料理ホストは訪日旅行客を自宅に招いて、日本の家庭料理を一緒に作る。
 民泊新法が施行されたことにより、民泊への登録のハードルが一層高まった。民泊は法律の問題を抜きにしても登録へのハードルは高い。特に、他人を家に泊めるという点で家族の同意を得ることが困難な場合が多いという。
 同サービスにはこれまでも、異文化交流をしながら収入を得たいが民泊には登録できないという主婦が多く登録していたが、民泊新法が施行されて以降、登録者が急増している。
   民泊新法が施行され、その厳格な規制を理由にサービス継続を諦める民泊オーナーが増えている。このような背景を受け、民泊とは異なり日本人家庭で旅行者に食事を振る舞うサービスが民泊オーナーの受け皿としてユーザー数を増やしている。同社も民泊新法の追い風を受け、急速な事業拡大へとつながっている。




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