不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2018.08.20 17:21

ナインアワーズ浅草 9月21日にオープン レーサムとの協業で地上9階建て183室
欧州のコーヒー店併設 街のインフラ目指す
 都心部を中心に「トランジットホテル」を展開しているナインアワーズ(東京都港区)は、レーサム(東京都千代田区)と協業し、新店舗「ナインアワーズ浅草」を東京都台東区浅草に9月21日開業する計画だ。
 同施設は東京メトロ銀座線より徒歩約10分に位置、敷地面積206・15㎡、延床面積1186・96㎡、地上9階建て、客室数は男性103室・女性80室の合計183室。
 新施設には、ノルウェー・オスロに本店を構えるカフェ「FUGLEN(フグレン)」の2号店が同時にオープン。2000年代初頭より、コーヒー文化が急速に発展したオスロで中心的な存在となった同店は、コーヒー、カクテル、ヴィンテージデザインを調和させたトータルコンセプトで展開しているという。「旅行者やその街で働く人、暮らす人へ向けて、世界レベルのコーヒーと朝食のほか、フグレンオリジナルのデイタイムカクテルやこだわりの地ビールを提供します」(同社)。
 開業後は、それぞれのロケーションに合わせた機能を加えることで、街のインフラを目指す「ナインアワーズ」と「フグレン」のコラボレーションによるポップアップイベントや独自のサービスを展開する予定だ。 
 建築・設計は、竹橋、赤坂に引き続き、建築家の平田晃久氏が担当する。同施設では、浅草寺を中心に、江戸時代からつづく日本で最も古い仲見世商店街のある風景を巻き取るような外観に加え、フグレンが提案する北欧ビンテージで構成されるインテリアが融合する空間をつくりあげている。
 「ナインアワーズ」は、都心における機能的・高品質なトランジットサービスという独自のカテゴリーを目指し、ホテル滞在中の「シャワー」+「睡眠」+「身支度」という3つの基本行動に特化してそれぞれの機能性と品質を徹底追求する考えで開発された。また、部屋という空間概念を捨てて身軽に使いこなすことで街とダイレクトにつながり、都心ならではの宿泊・トランジットスタイルを提案。このため、宿泊に限らず、24時間利用者の都合に合わせて仮眠やシャワーのみでも利用することが可能だ。
 同社は現在、昭和リース(東京都文京区)と連携し、新たに「ナインアワーズ水道橋」、「ナインアワーズ麹町」の出店を計画している。
 両社は、ナインアワーズのカプセルホテル施設新規出店に対するファイナンス支援に関する業務提携契約を2017年7月に締結している。今回の案件はこれに基づき、両社が出資した「ナインアワーズプロパティファンド合同会社」が、2施設を取得するために設立した合同会社に対して、匿名組合出資をそれぞれ実施したもの。
 貸付人にはリース会社大手のリコーリースとともに有力地銀である北陸銀行が参加し、アセットマネジメント業務は不動産仲介大手、三幸エステート100%子会社である三幸オフィスマネジメント(東京都中央区)が担当する。
 「ナインアワーズ水道橋」は、敷地面積約245㎡、延べ床面積約960㎡、鉄骨造7階、160ユニット。「ナインアワーズ麹町」は、敷地面積約178㎡、延べ床面積約1290㎡、鉄骨造11階、190ユニット。両施設とも2019年内の開業を予定している。ナインアワーズでは、このスキームを活用して10件程度の出店を目指していく。昭和リースはこれら安定的な資金供給を通じて、都市型トランジットサービスという新しい滞在価値の提供を目指して、新しいタイプのカプセルホテルを展開するナインアワーズの新規出店を支援していく計画だ。   また同社はカプセルホテルだけでなく、独自のサウナと睡眠に特化した新たな施設「ドシー(°C)」を展開している。
 「ドシー五反田(°C五反田)」(東京都品川区)は、昨年12月の恵比寿に続くもの。延床面積891・57㎡、敷地面積127・44㎡、客室数は男性のみ164室。
 「ドシー」では、宿泊や仮眠といったトランジットサービスに加えて、"ロウリュ"とウォームピラー(冷水)をセットにしたサウナサービスを提供する。
 同施設のサウナは、本場フィンランドに倣い、室内は高めの90°C前後に定温管理しながら、熱したサウナストーンに利用客自身でミント水をかけてじんわりと蒸気浴を楽しむ"ロウリュ"体験を提供している。

「D-CITY」ブランド名古屋に
 大和ハウスグループの大和リゾート(東京都江東区)では8月1日、大阪市福島区、大阪市北区に続き、「D―CITYブランド」の3店舗目として名古屋市中区に「ダイワロイヤルホテルD―CITY 名古屋納屋橋」をオープンさせた。
 同ホテルは地下鉄東山線伏見駅より徒歩5分、延床面積約7900・88㎡、鉄骨造、地上14階建て、客室数は246室。
 名古屋市伏見エリアに立地し、オフィス街に隣接するとともに、市内最大の繁華街である栄エリアにも近く、ビジネスユースだけでなく、ファミリー層や観光利用者まで幅広い層への利用を期待している。
 客室は一般的なビジネスホテルのような落ち着いた内装ではなく、パステルカラーを使用したデザインが特徴。国内と海外5カ国への通話が24時間どこでも使用できるハンディフォン「handy」を設置した。
 多彩なジャンルの人気雑誌150誌以上が読めるアプリケーション「dマガジン」を導入し、館内であれば「handy」や宿泊客自身のスマートフォンで無料閲覧できる。
また「ナゴヤドーム」や「Zepp NAGOYA」、「名古屋四季劇場」などに、全国から訪れる女性客をターゲットに、最上階には女性専用のレディースフロアを設ける。女性専用浴場や脱衣室にダイソン製のドライヤーの導入、半個室のパウダールームを併設するなど、女性に喜ばれるアイテムを採用。複数の女性客向けには、ローソファでゆったりと寛げる最大4名利用可能な「レディースフォースルーム」を用意した。
 1階には、愛知県内で展開している美容室「セリオ」とカフェテリア「アメリカフェ」の2店舗を併設。朝食は、カフェテリアで「野菜DELI」や「ビュッフェ」、「スムージー」、「デトックスウォーター」などのメニューも提供する。

「TATERU」アパート福岡に
 アプリではじめるIoTアパート経営「TATERU Apartment(タテルアパートメント)」の開発・運営を行うTATERU(東京都渋谷区)と子会社であるTATERU bnb(同)は、福岡市中心部にIoT民泊アパートを2棟同時オープンさせた。
 「TATERU TATERU bnb TAKASAGO A」は、福岡市中央区高砂に位置。木造1棟の4部屋で構成される。部屋面積は21・87㎡から。一方、「TATERU bnb SHIMOGOFUKU-MACHI」は福岡市博多区下呉服町に位置。こちらも木造1棟4部屋で構成される。部屋面積は18・63㎡から。
 両施設とも「bnb kit(スマートロック・チェックインパッド・TRIP PHONE)」と呼ばれるシステムを採用し、独自の民泊運用サービスの提供を行っていく。既に同社ではIoTで民泊施設をスマート化する「bnb kit」を導入したアパートを2018年7月1日付で福岡市中心部に2棟同時にオープンしている。

「ゆとりろ別府」が開業
 ワールドリゾートオペレーション(東京都新宿区)は7月、新たに別府温泉に「ゆとりろ別府」(大分県別府市)を開業した。
 同施設は2013年から箱根を皮切りに西伊豆、熱海、軽井沢、北海道の5エリアで展開している「ゆとりろ」シリーズの6エリア目の拠点となる。全33室で主な館内施設は大浴場のほか、露天風呂、貸切風呂、バーラウンジ、レストラン、宴会場を併設する。
   「和モダン湯宿」をコンセプトに、別府温泉ならではの美人湯、地獄巡り会席の美食、ゲームbarではレトロから最新のゲーム、焼酎バーでは大分自慢の焼酎をはじめとした各種ドリンクも提供する。
 館内には手作りの竹灯りやアンティック帯のアート、モダンな家具などを配置し、和モダンな非日常空間を演出している。
 「ゆとりろ」ブランドはYU(湯=温泉)TO(と)RELOcation(リロケーション)の意味を込めて名付けられた。同社は今後、山陰、四国など、全国に拡大していく計画だ。
ネストホテルジャパンが京都に
 ビーロット(東京都港区)は、京都府京都市でネストホテルジャパン(東京都千代田区)を運営会社としたホテルの開発プロジェクト「ネストホテル京都四条烏丸」を8月にオープンさせる。
 同施設は京都市営地下鉄烏丸線「四条」駅から徒歩3分、鉄筋コンクリート造、地上5階建て、敷地面積611・70㎡、延床面積2418・79㎡、客室数は全95室。
 デザインにはシンプルで落ち着きのある空間に、伝統ある京都らしい趣と季節の移ろいを表現。「まるで離れの個室でくつろぐような静かで贅沢な時間をお過ごしいただける、暖かみのあるデザインとしています」(同社)。シングル、ツイン、ユニバーサルを用意する。
 京都市は「観光スタイルの質」「観光都市としての質」向上への取組などから、年間観光客数は平成28年度に5522万人を達成致した。堅調な宿泊需要と宿泊施設の増加が寄与し、年間宿泊客数も同年は過去最高記録となる1415万人を記録しており、今後も宿泊需要は増加すると推測されている。
 同ホテルは、ビジネス中心街や人気観光地にも近い位置にある。好立地で長期安定的な収益が期待できる新築ホテルは、不動産投資商品としても希少性が非常に高い点が同ホテル開発プロジェクトの特徴となっている。
 
東急REIホテル 「和」をコンセプトに
 名古屋栄東急REIホテル(愛知県名古屋市)は、全客室のカードキー化、4階~11階の客室全252室の改装工事を行った。また、1階ロビー・フロント周りのリニューアルも完了した。
 「和の入口」をデザインコンセプトに、空港からホテルへ到着した訪日外国人が日本へ来たことを感じてもらえるよう、随所に「和」を取り入れた改装を行ったのが特徴だ。
 8階~11階客室は内装・インテリアを一新し「スーペリアルーム」としてリニューアル。「伊勢型紙」をモチーフにしたクロス、「襖・障子・格子」を連想させるエレメント、日本の象徴「桜」をモチーフにしたカーペット、ロビーにも用いられた竹のモチーフなどを配置した。
 ライティングテーブルを廃止し家具をコンパクトにすることで居住空間を広げ、ベットサイズを120cm幅から140cm幅へ変更した。




週刊不動産経営編集部  YouTube