不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2018.09.18 14:20

昭和リース 新生銀行系リース会社が宿泊施設開業後押し 楽天LIFULL STAYにファイナンス支援
ファンドを設立で民泊物件建設加速
 新生銀行グループの総合リース会社、昭和リース(東京都文京区)は、宿泊施設開発へのファイナンス事業に注力している。このほど、戸建型宿泊施設「Rakuten STAY HOUSE×WILL STYLE」を展開しているハイアス・アンド・カンパニー(東京都品川区)と、楽天グループの民泊事業会社である楽天LIFULL STAY(東京都千代田区)との間で業務提携を締結した。
 今後、設立されるファンドに対して、昭和リース、ブリッジ・シー・キャピタル(東京都中央区)、シルバーバックス・プリンシパル(東京都目黒区)は、投資事業有限責任組合を通じた匿名組合出資によるファイナンス支援を行っていく。同ファンドは「Rakuten STAY」の各宿泊施設を開発、保有し、楽天LIFULL STAYに運用代行を委託する。
 昭和リースによる同スキームのプログラム化により、「Rakuten STAY」の宿泊施設開発に対する安定的な資金の確保や、幅広い資産の事業化が可能となるため、宿泊施設開発の加速が期待できる。同ファンドのアセットマネジメント業務は、ブリッジ・シー・キャピタルが担う。
 同ファンドではまず、ハイアス社と楽天LIFULL STAYが共同開発した戸建型宿泊施設「Rakuten STAY HOUSE×WILL STYLE」の施設開発に対するファイナンスを行う予定。
 この施設は旅館業法に基づく簡易宿所として運営されるもの。まとまった敷地を必要とする従来のホテル等の建設に比べ、様々な場所で効率的な施設の展開が可能なため、新たな宿泊需要を各地域に生み出すことができる。現在、島根県出雲市、栃木県那須郡などでの施設開発を予定しており、今後も地方都市を中心に展開していく計画。
 楽天LIFULL STAYは、昨年11月に「Rakuten STAY」の提供を開始。これまでに同サービスのブランドとして、5月に「Rakuten STAY HOUSE」の一号店「Rakuten STAY HOUSE×WILL STYLE 松江」が開業している。
 「Rakuten STAY」は、個人・法人を含む不動産オーナーに対し、楽天が「Rakuten STAY」ブランドを提供し、楽天LIFULL STAYが、導入のコンサルティングから施工、清掃などの運用まで、委託会社の協力を得て一括して運用代行を行うサービス。  利用者は「Rakuten STAY」を導入した施設に宿泊すれば、どこでも一貫したコンセプトに基づいた設備、アメニティーグッズの利用や付帯サービスを受けることができるようになる。
ナインアワーズとカプセルホテルも
 昭和リース(東京都文京区)は今回の提携に先立って、カプセルホテルを企画・運営しているナインアワーズ(東京都港区)とも業務提携を締結している。
 ナインアワーズが出店する施設向けに設立する合同会社に対して、昭和リースが匿名組合出資によるファイナンス支援を行うもの。同スキームでは、合同会社の投資対象は不動産を含めた施設だが、不動産については所有権のほか、借地権も対象になっているのが特徴だ。このため安定的な資金の確保のほか、幅広い資産の事業化が可能になり、ナインアワーズとしても出店の加速できることになる。
 第1号・2号案件として「ナインアワーズ水道橋」、「ナインアワーズ麹町」に対して、匿名組合出資を実施した。これは、両社が出資した「ナインアワーズプロパティファンド合同会社」が、2施設を取得するために設立した合同会社に対して、匿名組合出資をそれぞれ実施したもの。
貸付人にはリース会社大手のリコーリースとともに有力地銀である北陸銀行が参加し、アセットマネジメント業務は三幸オフィスマネジメント(東京都中央区)が担当する。両施設とも2019年内の開業を予定している。 第3号となるのは、愛知県名古屋市に新規に出店する カプセルホテル「ナインアワーズ名古屋」(仮称)。ナインアワーズが中京地区にカプセルホテルを出店するのは今回が初めてのこととなる。2019年内に開業を予定。
 こちらは両社が出資した「ナインアワーズプロバティファンド合同社」が、「ナインアワーズ名古屋」を取得するために設立した合同会社に対して匿名組合出資を実施した。
 貸付人にリコーリースが参加し、アセットマネジメント業務は三幸オフィスマネジメントが担当する。

オリックス不動産が旅館をリニューアル
 オリックス不動産(東京都港区)はこのほど、同社が運営する温泉旅館「宇奈月 杉乃井ホテル」(富山県黒部市)の旅館屋号を「黒部・宇奈月温泉 やまのは」に変更し、2019年春にリニューアルオープンを予定している。
 同施設は、2017年12月より営業を休止し、リニューアル工事を実施。今回のリニューアル工事では、本館の耐震化、客室の増設、貸切風呂やリラクゼーションルームの新設、バイキングレストランのメニューを一新する。 
 同時に、旅館名称をリブランド。新屋号は、黒部・宇奈月温泉郷の一等地に位置し、黒部渓谷の大自然や美しい山の稜線を望むことのできる当館の魅力と、四季で色づく「山の葉」を楽しめる旅館でありたいという思いをイメージしたという。
    リニューアルは、客室と本館共用スペースを行う。客室は黒部の大自然を意識した明るくナチュラルな色調で統一するほか、機能面での充実も図り、和洋室で幅広い年齢層に対応する。  また、本館1階に、テーマの異なる貸切風呂3室とリラクゼーションルームを新設する。貸切風呂のトイレ・脱衣室は車椅子での利用が可能だ。

スマートシステムレンタル開始 運営コスト抑え業務効率化促す
 TATERU(東京都渋谷区)の子会社であるTATERU bnb(同)では、民泊新法・改正旅館業法に対応したIoTで民泊施設をスマート化する「bnb kit」を提案しているが、このほどレンタル予約の受注件数が2カ月間で300台を突破した。
 同システムは、IoTで民泊運用のコストを抑え、運用業務を効率化するサービス。IoTの活用により、宿泊者へのサービス提供を行うことができ、満足度の向上や他施設との差別化を図ることを可能できるという。   同社が運営している民泊施設には、4つの方法で解錠できる「スマートロック」はじめ、宿泊者情報の取得やタブレットでのチェックイン手続きが可能な「チェックインパッド」、旅行者向けIoTデバイス「TRIP PHONE」の3つの「bnb kit」を標準装備している。 
 最先端のIoTデバイスを搭載した同社の民泊施設では、さまざまな場面でIoTデバイスを活用し、スムーズな民泊運用を可能にする。また、宿泊者に「TRIP PHONE」を無料でレンタルし、施設周辺の飲食店などの紹介や予約、交通機関の案内やタクシーの予約など滞在中のさまざまな要望をトリップコンシェルジュが24時間多言語対応することで、宿泊者によって快適な旅行環境を提供している。 
 また「bnb kit」を提供する第1号宿泊施設が8月29日に大阪市中央区西心斎橋にグランドオープン。同施設は部屋面積13・85~54・20㎡、客室数は全18室96床、1部屋料金はドミトリー3200円から、ツイン1万3000円から。この施設では、「bnb kit」を導入することで、フロント業務の効率化、セキュリティ強化を行う。
 今後も同社では、国内外の旅行客に安心安全な宿泊サービスと快適な旅行環境を提供するとともに、「bnb kit」を通じて蓄積されたデータベースを元に、ビッグデータを活用したIoT民泊運用におけるサービスの拡充、新たなソリューション開発していきたいという。

「レジデンス型ホテル」札幌に進出
 福岡県博多区でレジデンス型ホテルを展開するSHI(福岡市博多区)では新たに札幌支社を設立、札幌市北区に「ストライプ札幌」を開業する。
 同施設はJR「札幌」駅北口から徒歩5分に位置。客室数は165室。設備は博多にあるレジデンスホテル同様に通常の客室に加え、キッチン、冷蔵庫、洗濯機を完備する。周辺にはオフィス、飲食店、多くの商業施設などがあり、最大6名を収容できる部屋を用意していることから、ビジネスユースからレジャーまで幅広く対応できる。また、今後さらに成長が見込まれるインバウンド需要の取り込みにも力をいれ、マルチリンガルのスタッフを配置し宿泊者満足度の向上に努めていく。
 開業は2018年11月中旬を予定。同施設が札幌での事業拡大の先駆けとなり、2020年までに札幌エリアで1000戸以上の客室運営を目指していくという。
 同社が運営する「レジデンスホテル」は、"住む"ように滞在できることが大きな特徴となっており、洗濯機や冷蔵庫、個室浴室、食器等、生活に必要な設備が整っており、長期滞在を快適に過ごすことができる。また3人~9人が同室に宿泊できるため、家族旅行などの団体客からも人気が高い。 
 主に博多駅周辺を中心とした福岡市内の新築マンション1棟をホテルへと用途変更した宿泊施設。当初マンションとして建てた建物を、建造後にホテルへと用途変更、企画から建築の工程を大幅に省略することで企画から開業の期間を極限まで短縮している。

共立メンテナンス進化型キャビン
 共立メンテナンス(東京都千代田区)は7月20日、進化型カプセルホテル「global cabin 横浜中華街」(神奈川県横浜市)オープンさせた。横浜地区では初進出となる。  同施設はJR根岸線「石川町」駅より徒歩約6分に位置、男性と女性の各専用キャビンタイプの客室に加え、同ブランド初の試みであるファミリーフロアを設置した。同フロアでは、最大4名で利用できるフォースキャビンや、家族に優先して利用できる貸し切り風呂も導入した。
 夜食にはドーミーイン名物のあっさり醤油ラーメン「夜鳴きそば」をカップラーメンにした「ご麺なさい」を無料サービスする。
 同施設の近くにある横浜中華街は、日本三大中華街の中でも最大級の規模を誇っており、国内外からの観光客数が毎年増加し続けている。  




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