不動産トピックス
クローズアップ AI活用編
2018.09.18 14:41
少子高齢化により労働人口が減少する近い将来、生産性の向上は緊急を要する課題と言えるだろう。そうした中、不動産にもAI(人工知能)を活用した製品・サービスが数多く登場するようになった。
防犯以外の付加価値を生むAI搭載カメラ
東京貿易グループのティービーアイ(東京都中央区)は、9月よりAI(人工知能)を活用した画像解析システム「TB―eye AI Solution(TAS)」を発売する。
TASは画像の特定や予測などのタスクを実行できるようコンピューターに学習させるディープランニングとコンピュータービジョンを融合させたもの。これにより顔認証率や異常検知率を大幅に向上させることを実現した。そもそも同製品開発の背景には、防犯カメラにおける海外メーカーなどの進出が関わっている。
技術本部の宮牧秀宇氏は「近年、海外メーカーの防犯カメラも多く販売される中で、『録画をする』という機能においてはどこも大きな差はありません。そこで当社はソフトの面での差別化を図り、ディープラーニングとコンピュータービジョンの活用システムを構築しました。防犯の安心・安全を確保するのはもちろん、検知する機能を追加したことでマーケティング情報の収集にも役立てることが可能となります。TASはそのような付加価値をプラスできることが強みです」と語る。
各大手メーカーにも顔認証システムはある。だが同社のTASは、例えばあるカメラには顔認証をさせて、また違うカメラには侵入検知や置き去り・持ち去り検知などをさせるといった様々なディープランニングやコンピュータービジョン機能を活用できる。
TASの具体的な特長として、顔認証・画像解析システムは約1万人の顔を登録できる。例えば登録していない人物の侵入や物の置き去りなどの異常を検知するとアラームを発信し利用者に通報する。顔情報に基づいた再生検索も可能なため建物の入館管理やスムーズな顧客対応など、あらゆるビジネスシーンでの利用が見込まれる。そしてAIを活用した「スマート検索」も大きな特長の一つ。対象物の色や大きさ、移動速度、進行方向、領域などを設定し映像を再生するとAIが対象物を割り出す。車や服の色など条件を絞り込んでリサーチすることで、従来の検索システムよりも大幅に時間が短縮され作業の効率化も見込まれている。
今後の展開についてビルやホテルなどをはじめ、宮牧氏は「医療機関、病院、介護施設での導入を視野に入れております。近年はどの業界も人手不足がささやかれており、病院でもお見舞いに来たご家族の入退室における管理や入院患者の転倒を知らせたりと、防犯以外のあらゆる面でお手伝いができると考えております」と話した。
トークンエコノミー型のグルメSNS 「東急プラザ銀座」で実証実験
GINKAN(東京都新宿区)は7日、東急不動産(東京都港区)が運営する「東急プラザ銀座」内のレストラン21店舗で、送客やSNS型グルメサービスの特徴を生かした飲食業界では新しいマーケティング手法とQRコードを活用した飲食代金からの暗号通貨還元などの実証実験を行うと発表した。実施開始は、9月中から1カ月を予定している。
同サービスは、「AIとお客様が作るレストラン格付けガイド」をコンセプトにしたグルメSNS。利用客がレストランでの食体験を評価として投稿できるSNSならではの「良質な体験の評価」を基本とした良質なレストランデータベースを持つ。また、各利用者ごとのレストランの好みなどを学習しさらにパーソナライズすることで、飲食店探しにおいて検索の手間をかけることなく、美味しいお店にだけ出会うことが可能となる飲食店探しにおいて新たな体験を提供しているもの。
録画映像を検索できる監視システム販売
パナソニックグループのヴイ・インターネットオペレーションズ(大阪市中央区)は来月15日に、映像監視システム「ArgosView(アルゴスビュー)」に条件を設定して監視カメラの映像を検索できる新機能を追加実装する。
新機能は、入退履歴や作業実績などの時刻を含むログデータを取り込み、検索条件に設定することで対象の映像を簡単に検索することが可能となる。これにより、調査時間を短縮できるだけでなく、顧客の問い合わせに対するサービスレベルや映像活用の効率化を実現できるようになる。
主にオフィスビルの入退勤時刻の早期確認や物流現場での汚染・破損・作業ミスの原因特定、更に入退システムやWMS(物流管理システム)、MESなどの製造系システムと連携することで、リアルタイムでの映像連携が可能となる。より利便性の高い映像活用が可能となる点が特長だ。