不動産トピックス

クローズアップ 不動産コンサルティング編

2018.09.25 16:00

不動産経営者が抱えている課題や悩みは十人十色。また専門性の高い職種であるだけに、高度な知識と経営を持つコンサルタントは、非常に心強い味方となってくれる。不動産経営のサポートに役立つサービスを紹介する。

キャスマック エリアニーズに合ったリノベプランを提供
 中小事業者向けの小規模オフィスに特化した不動産賃貸仲介サービスや、不動産の経営コンサルティングなどの業務を展開しているキャスマック(東京都中央区)は、リノベーション・用途変更に対応したビル・マンションのプランニングサービス「Skit-Y」の提供を行っている。
 近年、不動産のバリューアップを目的とした既存物件のリノベーションが人気を集めている。起業家が好むオフィスや住居、インバウンドに対応した宿泊施設など、従来の用途とは異なる不動産の活用に着手する例が増えているのだ。木場氏は前職で建築デザイン事務所に勤務。オフィスの内装やリノベーションに広く携わってきた経験を生かし、今回のサービス提供に至ったという。
 「世代交代を機に、所有物件のあり方を見つめなおそうというオーナーから問い合わせが増えています。現在では働く場や住まう場の境界線がなくなり、物件に求められる役割は広がっています」(木場氏)
 同社が渋谷区内で手掛けた実際の事例では、物件は1989年竣工で築30年弱。周期的な修繕やメンテナンスを実施してこれまで安定稼働を続けてきたが、周辺に新築オフィスビルが立て続けに竣工し相対的に競争力の低下が現れていた。木場氏は周辺のマーケティング調査をまず行い、近隣に事務所を構える企業の属性と、地域で働く人々が昼食で利用する店舗、通勤時に立ち寄る店舗などを入念にリサーチ。比較的働く女性が多いことが分かり、感度の高い女性をターゲットにした業態に入居候補の的を絞ったうえでリノベーションを提案した。
 「オーナーとは予算感を含め様々な意見を伺い、納得のいくまでデザインの方向性をすり合わせていきます。渋谷区内の物件では2カ月ほどの工期を経て、工事後にファッションブランドの店舗が入居しました」(木場氏)
 同社では今後もエリアニーズに対応したリノベーションを提案し、実績の積み重ねに注力していく考えである。

GIコンサルティングパートナーズ 後継者不足・事業承継問題に特化したサービス
 中小企業向けの経営コンサルティングを提供しているGIコンサルティングパートナーズ(東京都千代田区)は、全国の不動産会社を対象にした「M&Aコンサルティングサービス」の提供を開始した。
 昨今、中小企業経営者の多くが後継者不足や事業承継といった問題を抱えている。その中でも特に不動産業は経営者の高齢化が進んでおり、これから後継者不足により事業閉鎖を余儀なくされる企業が増えるとされている。不動産事業主の廃業が増えることで、自主管理のオーナーが増加することになる。管理物件を自ら管理するオーナーが増えれば、様々な管理トラブルが発生してしまうリスクの増大が考えられる。
 中小企業の創業者オーナーの多くは後継者が不在の場合、廃業という選択肢を選ぶケースが多く、M&Aで売却することは検討から除外されていることが多い。しがし、事業を継続することで従業員の雇用が保たれ、事業を行うことは地域経済に大きく貢献することにもつながる。そうした地域活性化の観点からも社会的に大きな意義があると考え、同社では不動産業界専門のコンサルタントによるM&Aコンサルティングサービスを立ち上げた。

横浜銀行/大和不動産鑑定 顧客向け不動産コンサルティングで提携
 コンコルディア・フィナンシャルグループの横浜銀行(横浜市西区)は、個人および法人の顧客の高度化・多様化するニーズに対応するため、大和不動産鑑定(東京都千代田区)と不動産コンサルティング業務に関する提携を実施した。
 大和不動産鑑定は、顧客が所有する土地や建物の価値分析を得意とするコンサルティング会社。この提携では、横浜銀行の顧客をニーズに応じて大和不動産鑑定に紹介し、同社は顧客が所有する不動産の市場流通性や管理の状況などを評点化する。また、複数の不動産の価値や保有リスクを客観的に分析して、「不動産のポートフォリオ」を作成するなど不動産全般のコンサルティングサービスを提供する。
 横浜銀行では今後も外部専門家との提携やコンサルティングメニューの拡充に努め、顧客に選ばれる金融機関を目指すとしている。




週刊不動産経営編集部  YouTube