不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2018.11.26 15:05

デベロップ コンテナモジュールを利用した宿泊施設を建築 楽天グループと連携し土地活用提案
 建築用コンテナを利用したモジュール工法で様々な建築物を提供しているデベロップ(千葉県市川市)のホテル事業が加速してきた。
 同社はこのほど、楽天グループの民泊事業会社である楽天LIFULL STAY(東京都千代田区)と提携した。
 コンテナ型宿泊施設「Rakuten STAY VILLA」の開発・販売を手掛ける。これは楽天LIFULL STAYが提供する民泊・簡易宿所向けのブランディング・運用代行サービス「Rakuten STAY」のサブブランドで、デベロップがデザイン・設計・施工を担い、同施設の販売代理店として、不動産オーナーへの営業活動を行っていく。
 建築用コンテナモジュール2個以上を掛け合わせた施設を1戸として、最低注文受付数は原則3戸から。「既に計画は進んでおり、1号店は2019年春頃、沖縄県宮古島市での開業を予定しています」(営業部不動産営業課シニアマネージャー 数野敏男氏)。
 「Rakuten STAY VILLA」は、土地の形状や用途に応じてデザインしやすい建築用コンテナモジュールを活用したコンテナ型宿泊施設で、複数の同施設とテラスやプールなどで構成される予定。運用代行については楽天LIFULL STAYが担当する。
 構造は鉄骨ラーメン構造、地上1階建て、もしくは地上2階建てで、定員は4名~8名。主な施設として、シャワールーム、トイレ、キッチン、冷蔵庫、ダイニングテーブル、テラス、駐車場、寝室設備を配置。オプションとして、露天風呂、屋外ジェットバス、屋外共用プール、屋外共用テラスも用意する。
 同施設は、スクエア形状の建築用コンテナモジュールを各施設に使用しているため、不整形地でも、自由な施設の配置、組み合わせが可能。建築用コンテナモジュールを掛け合わせた複数の部屋で構成される一軒家タイプに加え、露天風呂や屋外ジェットバス、プールを備えた宿泊施設まで、条件や用途に合わせて施設を建築することができるという。また、外壁や屋根などの施工を完了した状態で出荷することにより、一般的な在来工法より大幅な工期の短縮も可能だ。
 楽天LIFULL STAYは、2017年11月に「Rakuten STAY」の提供を開始し、今回の「Rakuten STAY VILLA」のほかにも、戸建型宿泊施設やホステル、京町家、ガレージハウスといったタイプ別サブブランドを発表してきた。同社では多様な旅行者のニーズに応え、宿泊施設選びをより容易にするため、今後も様々なサブブランドを展開していく。
 両社は楽天LIFULL STAYは今後も、建築用コンテナモジュールを活用した施設開発を促進し、不動産オーナーや旅行者双方のメリットの最大化を図っていきたいという。
 デベロップはまた、新たに「サテライト民泊事業」を開始した。従来型ホテル開発と民泊開発を融合した独自の事業モデルの開発に取り組んでいく。
 第1弾として、栃木県佐野市で「R9 Village(アールナインビレッジ)」をスタートさせた。これは異なる場所にある複数の住居物件を客室として、1カ所のフロントで管理・運営するもの。従来は旅館業法に基づく簡易宿所の事業許可を得る必要があったが、「民泊新法の施行により、個々の物件を届け出ることで柔軟に展開が可能になりました」(数野氏)。
 同社は2017年に「HOTEL R9 SANOFUJIOKA」(栃木県佐野市)という40室のビジネスホテルを運営している。同ホテルを拠点として稼働させる「R9 Village」は、HOTEL R9から車で10分以内を目安としたエリアで展開する民泊群。HOTEL R9と同等品質以上の宿泊空間を、低価格で提供する。
 HOTEL R9から車で約8分の場所にある「R9 Village House A」は、木造アパートの1階と2階の合計4室をリフォームして提供されるロフト付の部屋。
 居室にはソファベッドが置かれ、複数でも宿泊が可能。バストイレ別、簡易キッチンや洗濯機など長期滞在のための設備も充実しているのが特徴だ。宿泊料金は1泊1名4800円から。 
   同社は、中小規模ホテル開発と民泊開発を組み合わせることで、「スピーディな展開による需要の取り込み」、「フレキシブルな客室数の調整による収益最大化」、「地域の観光需要促進と遊休不動産活用による経済活性化」、「地域住民の安心を重視する健全な民泊事業発展への寄与」、などを目指している。

ライフスタイルブランドと連動
 東京・東神田のホステル「KIKKA (キッカ)」では、"ものづくり"を通じて途上国の人材育成に取り組む特定非営利活動法人SUSUと連携、同法人が展開するライフスタイルブランド「SALASUSU」の常設店舗を施設内にオープンさせた。
 同ブランドは、カンボジア発のライフスタイルブランドで、経済的・家庭的に困難な背景をもつ女性を作り手として現地で採用、安定的な雇用環境と自立した生活を送れるようライフスキル教育を提供するなど独自の制度で支援・サポートしている。今年3月より全国各地の百貨店等で期間限定ショップの展開を進めており、今回は初の常設店舗となる。
 店舗では、キャンバス生地にカンボジア国産の天然素材・いぐさをワンポイントに取り入れたトートバッグ「HOLIDAY TOTE」や、手で丁寧に織られた綿100%のストール「CAMBODIA KRAMA-SHIBO」などの商品を販売する。
 同施設の客室は、ドミトリー60室、個室16室。宿泊・飲食やイベントスペース利用等に応じて、アフリカ・アジアの子ども達に給食を届ける認定NPO法人「TABLE FOR TWO」へ寄付する仕組みを構築するなど、社会貢献できる仕組みを構築しており、スタッフが施設内に使用するアイテムにもSALASUSUの各プロダクトを採用していく。今後もNPOと企業、業界の垣根を越えて、持続可能な社会貢献活動の拡大を目指していきたいという。

アゴーラが新ブランド立ち上げ
 アゴーラ・ホスピタリティーズ(東京都港区)は、新ブランドホテルを2019年秋に開業させる。  「まちごころにふれる茶邸(さてい)」をコンセプトにした「アゴーラ・金沢」を石川県金沢市片町2丁目に立ち上げる。
 同施設は「金沢」駅より徒歩約30分に位置、敷地面積1174・62㎡、延床面積7614・25㎡、地上12階建て、総客室数200室、最大収容人数420名。開発は大和ハウス工業が手掛ける。  3~6階はスタンダードフロアとして、ツイン52室、ダブル17室。7~11階はハイフロアとして、ツイン65室、ダブル20室、12階はトップフロアで、ツイン13室、ダブル4室、3~12階にはコンセプトルームを配置する。
 同ホテルは、"茶の湯"の心で宿泊客を迎える邸宅(=茶邸)として、茶道をホテルのサービススタイルに取り入れ、ホテル内だけでなく、"まち"での一期一会が最高のものになるために心を尽くし、様々な工夫・趣向を凝らしていくという。

「泊×写真」コンセプトホテル始動
 訪日旅行者向け宿泊施設の企画運営を行うPLAY&co(東京都渋谷区)では、新たに「泊×写真」コンセプトとした「OCUS KURAMAE(フォーカス 蔵前)」を開業させる。
 同施設は、都営浅草線「蔵前」駅徒歩3分に位置、延床面積431・21㎡。共用設備としてキッチンラウンジ(各種調理家電、大型冷蔵庫完備)・トイレ・シャワー・バスルーム・洗濯乾燥機を備える。同施設は蔵前にてカメラの部品製造を行っていた工場を改装したもの。世界各地から旅人が集い、各々がFOCUSした(=ピントを合わせ、切り取ってきた)世界を共有し合う中で、新たな出会いや次の目的地を創出できる場づくりを目指していくという。 カメラをレンタル用として複数台用意し、ゲストが撮影した写真を元に日本人の知らない日本を案内する、新たなカタチの観光案内の創出も試みる。また、撮影頂した写真を用いて定期的に写真展を開催し、グランプリ受賞者には無料宿泊券等の特典を進呈する。
 1階壁面には、現代アートと京表具を融合させた作品を手掛ける井上光雅堂の井上氏による、アートウォールを展示。同フロアでは、高円寺でDJを中心とした音楽シーンを様々な飲食店舗とコラボさせて展開されている ラフ&ピース合同会社(東京都品川区)運営による本格的な食事と音楽を提供する。

最上級スイートルームをリニューアル
 ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド(兵庫県神戸市)は、インテリア業界の世界的なリーディングカンパニー「Poltrona Frau ポルトローナ・フラウ」のインテリアを取り入れ、「女王の部屋」を意味する最上級スイート、「ラ・レーヌ スイート」をリニューアル。 これは11月に開業10周年を迎えることを記念するもの。同部屋は大理石をアクセントに純白の家具で統一したスイートルーム。ゆったりしたソファ、大きなダイニングテーブルはもとより、最上階の眺めを満喫できる広いテラス、バスルームには本格エステチェアを備えており、その場でトリートメントを受けることもできる。
 ポルトローナ・フラウは、1912年に設立され、革張りのアームチェアやソファの品質の高さから、1926年にイタリア王室に御用達の指名を受けた高級家具ブランドや、高級車、航空機のファーストクラスなどのインテリアを手掛けている。




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