不動産トピックス
第20回不動産ソリューションフェア人気セミナー紙上再現
2018.12.10 14:58
テーマ:Jリート市場の現況と投資魅力 いちご投資顧問 代表執行役社長 織井渉氏
長期運用リートの価値 開示資料で判断せよ
時価13兆円の巨大マーケット
Jリートという市場の中でどういう運用をしているのか、お話しさせて頂きます。
不動産というのは色々な投資・運用の仕方があると思いますが、まずハードである建物の価値向上をしていく。もう一つはソフトのサービスを提供することによってテナントの方々に満足度を上げていただく、そういった価値の向上をやっております。価値の向上出来たものを新しい市場に移し、長期で運用していく。または、外の方々にお売りして新たにそこから取得するというようなことを循環モデルとして展開しています。
Jリートは2001年2銘柄上場したことで、日本で初めて不動産が金融の商品となり、東京証券取引所で売買が行われる流通市場が出来あがりました。「不動産の証券化」という流れの中で、不動産を原資とし、そこから上がる収益を証券という紙で小口化されたものを投資対象として所有するという形態の不動産金融ビジネスが1998年くらいから徐々に広がって2001年、日本で初めてJリートという市場が起ちあがりました。
そもそもJリートという市場を作った時に、ミドルリスク・ミドルリターンで配当もしっかりあるし、株と違ってボラタイズのような上下動も少ない。そういう設計の下でJリートの場合は収益の90%を投資家に配当すれば、株式と違って法人税が掛けられずに全て配当に回ることが出来る、投資家が得られるメリットが大きい仕組みの下、市場がスタートしています。
17年経ち、上場銘柄数が今60銘柄まで増えております。時価総額約13兆円、アメリカのリートに次ぐ世界で2番目に大きな市場になっております。運用資産は約18兆円あって時価総額が約13兆円です。リーマンショック後、顕著に回復をし、資産規模と時価総額共に伸びてきているということです。
Jリートの特長としましては、収益の90%以上を投資家の方々に配当しますので利回りが高いというとこであります。今現時点の全体のリートの平均の利回りが大体4・2%位で、安定的で確実に配当がもらえる仕組みで、長期投資に向いていると思います。
元々の商品設計上はミドルリスクミドルリターン、長期安定的運用を目指していくことがベースになっていますので、日々の売買というよりは、長く運用していくには非常に魅力的な商品かなと思います。中心は機関投資家ですが、これからは個人投資家にも層を広げていく必要があると思っております。
Jリートは、上場した器ができたことによって、我々は何か起これば開示する義務を負っております。そこから見ていただくと色々なことがわかってくるのではと思います。例えば、どういう不動産を運用しているのか。色々なリートがあります。
毎年、不動産は年を取っていきます。Jリートに入っている資産の多くは大体バブル時に作られ市場で流動化されているものが多いので、築年でいうと25年から30年くらい。改修をしたり修繕したり、古い価値のものをどれだけ価値向上できるかというアイディアを生かせる、そういった資産が沢山入っており非常に魅力的な資産です。
制度がなくならない限りJリートという器の中で運用が出来ます。ということは、必ずどこかで建替えが出てくるはずです。多くのJリートは不動産を一回外に出して建替えて入れるか、もしくは売却して新しいものを入れるか、10年、20年の中では起こります。そう考えると、ビジネスチャンスが沢山Jリートに含まれているのではと思います。
皆さんがどういう立場でJリートを見ていくかによってはビジネスにもなるかもしれない。売却だけをして終わりかもしれない。どういう仕組みでどういう考え方で運用しているかをみるのも1つ面白い視点ではないかなと思います。
どれだけ運用している間に収益を上げて利回りを上げるかということですが、我々がフォーカスしているのが「顧客満足度」です。テナントの方々に、このビルだったら1万円じゃなくて1万2000円払ってもいいと思って頂けるよう満足度を上げる。このことが出来るかが差別化の意味で重要だし、不動産価値を長く維持していくためには必要なことだと思います。
もう1つこれも重要ですが「売る」ということです。Jリートは長期で運営していくので資産規模をなるべく減らさないで、むしろ増やしながら運用していくというのが一番普通の運用の仕方。ただ必ずどこかで価値を維持できなくなります。価値を上げようと資本を投下しても、その資本の投下に見合う収益が上がらなくなる可能性があります。そうなれば持っているだけ損になるので売った方が良いという判断が出てきます。その時は売るタイミングが重要です。今は絶好の売り時です。将来収益が上がらないと思ったものは売るべきです。今は買い手がいます。でもマーケットが崩れたら買い手は誰もいなくなります。ですから今はこの不動産はこれから先収益が上げられるか、資本を投下してでも価値が向上させられるかを判断し、できるものは持っていたらいいし、できないものは売ったらいいと思います。
1割でも2割でも追加で賃料を払ってもいいと思ってもらうためには「テナント満足度」。テナント満足度とはソフトです。そこに住むことや働くこと、利用することが自分たちにとって満足度が高い。これはハードだけではなくソフトの面を充実させないとなかなかそういう価値にはなりません。非常に地道な事かもしれませんが、そのソフトのサービスが実は賃料の収益力向上につながると考えています。
Jリートを見ていただくと、今の不動産の運用の色々アイディアが出てくるかと思いますし、不動産はたくさんあるのでビジネスチャンスの宝庫じゃないかなというのをお話しさせていただき、だからJリートは面白いし、投資魅力もあると思います。Jリートをベースにしてビジネスを展開できる可能性もあると思うので、それぞれの立場でJリートを見ていただくことは出来るのではないかと思います。