不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2018.12.10 14:40

新生銀行Gが宿泊施設を金融支援
楽天LIFULL STAYに将来見越し出店促す
 新生銀行グループの総合リース会社、昭和リース(東京都文京区)は、簡宿・民泊施設向けのファイナンス事業を積極的に行っている。
 同社の営業本部新規事業ホスピタリティビジネスユニットの國井洋平上席主任は話す。
「当社の新規事業の一環として展開していくもので、今後も需要が見込める宿泊施設、特に簡宿や民泊に関しては将来性に注目し、市場拡大を促していきたいと考えています」。
 このほど、戸建型宿泊施設を展開しているハイアス・アンド・カンパニー(東京都品川区)と、楽天LIFULL STAY(東京都千代田区)と提携。同社は既にカプセルホテルを企画・運営しているナインアワーズ(東京都港区)とも業務提携を締結しており、簡宿・民泊施設の出店を支援する。
 ハイアス社と楽天LIFULL STAYとの協業では、物件開発を行うために設立されるファンドに対して、昭和リースはじめ、投資会社のブリッジ・シー・キャピタル(東京都中央区)、シルバーバックス・プリンシパル(東京都目黒区)が、投資事業有限責任組合を通じた匿名組合出資によるファイナンス支援を行っていくスキームを確立させた。
 同ファンドはハイアス社の「Rakuten STAY」の各宿泊施設を開発、保有し、楽天LIFULL STAYに運用代行を委託する。
 これにより「Rakuten STAY」の宿泊施設開発は、安定的な資金の確保、幅広い資産の事業化が可能となり、宿泊施設開発の加速が期待できる。
 このファンドではまず、ハイアス社と楽天LIFULL STAYが共同開発した戸建型宿泊施設「Rakuten STAY HOUSE×WILL STYLE」の施設開発に対するファイナンスを行う予定だ。この施設は、旅館業法に基づく簡易宿所として運営されるもの。まとまった敷地を必要とする従来のホテル等の建設に比べ、様々な場所で効率的な施設の展開が可能なため、新たな宿泊需要を各地域に生み出すことができる。現在、島根県出雲市、栃木県那須郡などでの施設開発を予定しており、今後も地方都市を中心に展開していく計画だ。
 楽天LIFULL STAYは、昨年11月に「Rakuten STAY」の提供を開始。これまでに同サービスのブランドとして、5月に「Rakuten STAY HOUSE」の一号店「Rakuten STAY HOUSE×WILL STYLE 松江」を開業させてきた。
 昭和リースは今回の提携に先立って、カプセルホテルを企画・運営しているナインアワーズ(東京都港区)とも業務提携を締結している。
 ナインアワーズが出店する施設向けに設立する合同会社に対して、昭和リースが匿名組合出資によるファイナンス支援を行うもの。同スキームでは、合同会社の投資対象は不動産を含めた施設だが、不動産については所有権のほか、借地権も対象になっているのが特徴だ。このため安定的な資金の確保のほか、幅広い資産の事業化が可能になり、ナインアワーズとしても出店の加速できることになる。
 第1号・2号案件として「ナインアワーズ水道橋」、「ナインアワーズ麹町」に対して、匿名組合出資を実施した。これは、両社が出資した「ナインアワーズプロパティファンド合同会社」が、2施設を取得するために設立した合同会社に対して、匿名組合出資をそれぞれ実施したもの。
 貸付人にはリース会社大手のリコーリースとともに有力地銀である北陸銀行が参加し、アセットマネジメント業務は三幸オフィスマネジメント(東京都中央区)が担当する。両施設とも2019年内の開業を予定している。
 第3号となるのは、愛知県名古屋市に新規に出店する カプセルホテル「ナインアワーズ名古屋」(仮称)。ナインアワーズが中京地区にカプセルホテルを出店するのは今回が初めてのこととなる。2019年内に開業を予定。
 昭和リースは、今後も様々な新規施設に対して金融支援を行っていく計画だ。

JR東日本ホテルズが台湾チェーンと営業提携
 JR東日本ホテルズ(東京都豊島区)と福華大飯店 ハワードホテルズ・リゾーツ・スイーツ(本社・中華民国台北市大安区)は、相互の営業拠点の活用や共同セールス活動など互いの持つ強みを活かすため営業提携をはたした。
 現在、JR東日本グループとして東日本を中心に営業基盤のあるホテルチェーン「JR東日本ホテルズ」では、台湾でのブランド認知の向上と、台湾インバウンドビジネスの取り込みを積極的に行っている。 
 また、台湾の主要ホテルチェーンである「ハワードホテルズ・リゾーツ・スイーツ」は、益々競争が激化する市場状況の中で、日本でのブランド認知向上と、より多くの日本人に利用してもらえるよう目指している。
 今回、両社が相互に持つ事業拠点、営業拠点を最大限に活用し、それぞれの市場で互いのホテルブランド認知を行い、双方向の利用促進を図ることを目的として、広範な分野で営業提携することとなったもの。
 JR東日本ホテルズは、東日本旅客鉄道とグループ会社が運営する47ホテルに、アソシエイトホテルのホテルニューグランドを加えたホテルチェーン。「JR東日本ホテルメッツ」を中心に、ホテル ファミリーオ・フォルクローロ、ホテルドリームゲート舞浜、ホテルニューグランドを加えた6ブランドにより、現在48ホテル7216室を展開している。
 一方、ハワードホテルズ・リゾーツ・スイーツは、台湾国内にシティホテル・リゾートホテルとしての「ハワードプラザホテル」、宿泊特化型ホテルとしての「オレンジ・ホテル」、「フォルテ・ホテル」の2ブランドで20ホテル、総客室数約3500室を経営・運営する台湾最大級のホテルチェーン。

アゴーラ・ホスピタリティーズ 東京・銀座に「プチホテル」開業
 アゴーラ・ホスピタリティーズ(東京都港区)は、AYERS Hospitality合同会社(東京都中央区)が東京都中央区築地に開発するブティックホテル「TSUKI」(同)の運営受託に関する契約を締結、2019年4月に開業させる。これによりアゴーラ・ホテルアライアンスは、国内8施設、総客室数818室になる。
 同施設は東京メトロ日比谷線「築地」駅徒歩3分に位置、敷地面積194・16㎡、延床面積1213・81㎡。地上10階建て、客室数は31室。銀座からも徒歩圏内に位置するためアクセスがよく、周辺には、築地場外市場や築地本願寺、浜離宮恩賜庭園などの観光名所もあり、国内外からの多くの観光客の利用が見込める。 31室の客室に、2つの貸切風呂、約10席のバーラウンジを併設する。
 アゴーラは、アライアンスのスケールメリットを最大限に生かすことで、地域に貢献する「街の自慢」となる施設を目指し、「美しい日本を集めたホテルアライアンス」をビジョンに掲げ、期待を超える最高の場所として、地域に貢献できるホテル・旅館運営を目指していきたいという。
   今後も全国のアライアンスであるホテル・旅館の運営及び運営資源を互いに共有すると共に、国内外の利用客に日本の美しさを体験してもらえるアライアンス施設を展開、提供していく計画だ。

民泊サービスを拡充
 APAMANのグループ会社で民泊運営に必要なサービスをワンストップで提供している、グランドゥース(福岡県福岡市)の事業が好調だ。
 自社でも「Grandouce」ブランドで東京都大田区、大阪府をはじめとして、西日本を中心に300室を超える民泊施設を運営しており、年末には500室の運営規模を見込んでいる。
 同社では、特区民泊、ホテル、簡易宿所など様々な宿泊施設の形態に対応できるサービスを提供していく計画だ。同社は、日本最大規模の民泊運営実績を生かし実際の投資シミュレーション、内装決定、家具、備品のコーディネート、設営、申請、集客、外国語対応、清掃など民泊運営に必要な業務をワンストップで提供する。
 同社はまた、ほっと保証株式会社(北海道札幌市)と連携。オーナーの収入への不安を解消できるようにした。同社がほっと保証社に対し、保証料を支払い、ほっと保証社が万が一当社からオーナーへの賃料支払い滞った場合に当社に変わって支払いをする流れ。

小規模向けた管理システム好調
 全国で700以上の施設で基幹システムを提供しているタップ(東京都江東区)が小規模施設向けに提案している宿泊管理システムが「accommod(アコモド)」だ。
 このシステムはWi-Fi環境があれば利用可能なもので、ホテルはもちろん、旅館、民宿、ペンション、ゲストハウス、民泊まで30室以下の施設を対象としている。
 100%ウェブシステムのため、インターネット環境があれば、「部屋の使用状況」「清掃状況」といった日常業務や売り上げ管理・顧客管理がPCやタブレットで行うことができる。チェックイン時では、タブレット内にサインしてもらうだけで宿泊台帳として利用できるほか、チェックアウト時にはプリンターからレシートを発行することで会計をスムースに行うことも可能だ。

「東寺」近くに町家リノベ物件
 エイジェーインターブリッジ(京都府京都市)は、京都の「東寺」より徒歩3分の町家1棟貸切宿泊施設「町家レジデンスイン 東寺 あけぼの庵」をリニューアルオープンした。
 「あけぼの」とは、「ほのぼのと夜が明けるころ」。東寺の夜明けのような、夜半の「濃藍」と朝日の「金色」を散りばめた室内。壁や戸や階段まで、随所に暖かな質感の「和紙」を施した作りが特徴。
 同社は、京都と金沢で約50棟の伝統家屋「町家」をリノベーションし、歴史的建造物の保存と宿泊事業を同時に行ってきた。海外からの観光客が益々増加している昨今、他の古民家宿との差別化を図るべく、宿のリニューアル事業では、同社デザインチームが様々な趣向を凝らした施工を行っている。




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