不動産トピックス
クローズアップ 家賃保証編
2018.12.10 14:27
家賃の滞納は、貸主にとって収入がストップしてしまうことを意味する。そのリスクを回避する策として認知されているのが家賃保証サービスだ。ここへきて、事業用物件の賃貸借契約でもこのサービスの活用が広まりつつある。
ラクーンHDがALEMOを子会社化 事業用/居住用でシェア拡大目指す
ラクーンホールディングス(東京都中央区)は、家賃保証事業を行うALEMO(東京都中野区)の全株式を取得し、今月7日付けで同社を完全子会社化することについて決議した。
ラクーングループは「企業活動を効率化し便利にする」を経営理念とし、事業者向けにEC事業及びフィナンシャル事業を展開している。フィナンシャル事業は100%子会社のラクーンフィナンシャル(東京都中央区)が担っており、企業与信ノウハウを生かした決済・保証サービスを展開している。同社が提供する「事業用家賃保証」は、オフィスや店舗などの事業用物件において家賃の滞納が発生した際、借主に代わり同社が家賃を支払うサービス。連帯保証人に代わる新たな保証サービスとして成長が続いており、今後も2020年の民法改正により個人の連帯保証人が立てにくくなることを受け、同グループではさらなる市場拡大を見込んでいる。そのような将来性の高い市場において、事業用家賃保証は居住用に比べ競合の少ない状態であると同グループでは認識し、早期にシェアを拡大し主要プレーヤーとなることを目指している。
一方、ALEMOは2009年の設立から関東圏の個人向け居住用物件を中心とした家賃保証サービスを展開。独自の多面的な与信判断によって、事業用物件も含んだ幅広い家賃保証の引き受けを行っており、多数の不動産会社との取引実績とそれによる堅調な売上の伸びを維持している。なお、居住用家賃保証についても高齢化や単身世帯の増加、外国人定住者の増加といった環境の変化とともに、保証会社による家賃保証の利用は増加している。
今後はALEMOをラクーングループに迎え入れることで、同社の持つ幅広い対象への保証ノウハウや取引実績、同グループが持つ事業用物件の企業与信ノウハウやIT技術を掛け合わせ、居住用・事業用のどちらの物件にも対応可能な家賃保証サービスの提供が可能となる。様々な物件を管理する不動産会社にとっては、ワンストップで家賃保証を依頼でき、利便性の高いサービスと同グループでは期待を寄せている。
ハウスドゥが家賃保証サービス開始 保証額限度は月額賃料等の24カ月分
不動産事業を全国で展開しているハウスドゥ(東京都千代田区)は、今月1日より「賃貸保証サービス」の提供を開始した。
2020年に施行が予定されている改正民法では、これまで連帯保証人を前提とした賃貸借契約において連帯保証人の保証極度額の契約書記載が規定され、連帯保証人を依頼する際の警戒心が高くなることから、保証会社の利用を前提とした契約の比重が高くなることが見込まれている。また、政府の経済財政諮問会議において、外国人労働者の受け入れ拡大方針が表明された一方、従来から連帯保証人の依頼先が見つかりにくい外国人労働者及び留学生の入居に対する課題や、今後も増加傾向である高齢者に対する賃貸借契約など、賃貸保証サービスの利用需要は拡大していくものと考えられる。
今回提供を開始した賃貸保証サービスは、連帯保証人不要で賃貸借契約を進めることができ、家賃の滞納リスクを軽減できると同時に、独自の審査基準による入居者の属性把握が可能になり収益物件の評価向上にも貢献する。保証対象は居住用及び事業用物件で、保証限度額は月額賃料等の24カ月分。保証内容は、月額賃料等、明渡し訴訟費用、建物明渡し時の原状回復費用、更新料などとなっている。
リロケーション・ジャパン セイルボートと業務手系 不動産業務の電子化を推進
リロケーション・ジャパン(東京都新宿区)は、不動産業務の電子化サービス「キマ Rooe! Sign」を提供するセイルボート(広島市中区)の第三者割当増資を引き受け、資本業務提携契約を締結した。
「キマ Rooe! Sign」は、不動産業界における煩雑な各種書類を電子化するサービス。管理会社・仲介会社双方の業務効率化に大きく貢献している。リロケーション・ジャパンは借上社宅のフルアウトソーシング事業において、日本全国の不動産会社との強固なネットワークと豊富な法人企業の顧客情報を有しており、セイルボートの提供する電子化サービスの普及に向けて事業シナジーが極めて高いと判断した。これに加え、セイルボートでは今回の資金提供により電子契約サービス「キマ Rooe! Sign」の一層の利便性向上を図ることで、不動産業界の電子プラットフォームの創出を加速していく計画である。