不動産トピックス

今週の一冊

2019.01.28 12:28

まちづくりとは?都市の「制約」と「未来」とは?

福岡市が地方最強の都市になった理由
著者:木下斉
発行:28年3月2日
発行所:PHP研究所
価格:1600円(税別)

 「まちビジネス事業家」である著者が語る「地方最強になった理由」は、「都市経営的な視点」から説かれる。まちづくりは、「流行りを無視して逆を狙う」、「優秀な人材を役所に求めない」、「『変人』を大切にする」―つまり常識を疑うことから始まるという。なるほど確かにこのグローバルな時代、旧態然とした常識の枠内での発展に限界があろう。福岡市は見事に常識破りをしたということか。
 自治体の財政難を逆手にとり民間主導の開発を促進させ、水源不足による工業化の早期撤退をサービス産業注力に変えたのは、「知恵」に尽きる。不利な点を逆転の発想で武器にし、周辺都市との差をつけ、今では「住みやすい都市」、「魅力ある地方都市」、など各種のランキング、それも国内にとどまらず海外でのランキングの上位常連になっている福岡市。本書では明治時代にまで遡り、当時のまちづくりの背景や、現在までの福岡市の「都市経営」をインフラ整備、金融、商業、市政といった様々な面から解説。そして最終章「福岡市の未来を左右する4つの制約」へと続く。九州、日本、アジアのなかの「福岡」が今後いかなる知恵をもって発展し続けるのか興味深い。




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