不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2019.02.12 17:10
JHAT インバウンドターゲットの「hotel MONday」2020年までに東京・京都で20店舗
昨年10月に第一号 2月には西葛西で
昨年設立されたJHAT(東京都港区)は、「この門(MON)をくぐれば、そこに日本がある」をコンセプトに、同年10月、第一号店として東京・豊洲に「hotel MONday Toyosu」を開業させた。同社は今年2月に西葛西、2020年までには東京・京都を中心に15施設の出店を見込んでいる。
「hotel MONday Toyosu」は、地下鉄豊洲駅から徒歩10分に位置する同ホテルは、地上13階建て、客室数は263室だが、627ベッドを備え、1部屋に最大5名まで宿泊可能で収容人数は915名。うちシングルルームは20部屋。大浴場を備える代わりに客室の60%はシャワーブースのみだ。客室は小上がりの畳敷となっており、下部は荷物の収納スペースとなっている。
全室で無料貸出スマートフォンであるhandyも設置している。無料で宿泊者が通話や観光情報の取得などができる端末によって、顧客満足度向上を図る。スタッフも14名のうち8名が中国、台湾、韓国、インドネシア、ベトナム、タイなど海外で採用をした人材だ。1階にはスタッフ用の保育室も備えている。
旅行大手エイチ・アイ・エス前社長で同社の平林朗社長は話す。
「このホテルは、随所にインバウンド客を意識した造りになっています。もちろん、家族など複数人数で連泊していただけるゲストもターゲットでる。まだ開業したばかりですが、稼働率は80%程度で推移しています」。
同社では2月は西葛西、2020年2月には浅草橋、3月には浅草言問通り、4月は御徒町、7月京都東九条、8月京都烏丸通りの開業を予定しており、他にも計画しているものも含めると同年までには15施設になるという。
同社が手掛けるホテルは、容積3000㎡程度の100~150室の宿泊特化型で、ツインベースが基本で、いずれもインバウンドをメインにしていく。ホテルだけでなく、簡宿、旅館、民泊などの多様な形態の施設、複合施設なども手掛けていく計画だ。
「インバウンドは2020年には4000万人、2030年には6000万人にもなるといわれています。日本でも観光が重要な産業として成長してきました。東京では渋谷や高輪エリアなど再開発が進んでいますが、いずれもインバウンドを意識しています。一部ではホテルが供給過剰になるという意見もあるようですが、都心部では意外と家族で宿泊できる施設は少ない。敷いてあげるなら東京ディズニーランド周辺でしょう。需要はまだあるでしょうし、相場は変わらず推移していくのではないでしょうか」(平林社長)。
外国人スタッフの 紹介・派遣事業も
同社は取り組みの一つとして、「外国人労働者の紹介・派遣」も手掛けていく。実際、「hotel MONday Toyosu」でも、外国人スタッフを多く現地採用している。
「まずは自社施設運営に必要な労働力を外国人労働者で確保するところから始めていきます。当社は国内で外国人人材を採用するのではなく、現地で優秀な人材を採用できるのが強みです。将来的には当ホテルが人材教育の役割を果たし、外部の施設へ紹介・派遣していく計画です。都心部ではホテルの建設ラッシュが続いていますが、人材不足は深刻です。当社がそのつなぎ役になれればと考えています」(平林社長)という。
また同社は、地方創生にも取り組んでいく考えだ。地方自治体やDMOなどと組んで宿泊施設、地域創生プロジェクトに対するコンサルティングを進めていくもの。「インバウンドが満足して宿泊できる多彩な形態の施設と宿泊業界に外国人人材の供給、それらを地方に拡大させていく。これまでに培ってきた経験と知識を生かしていきたいと考えています」(平林社長)。
「変なホテル」関西地区に初進出
H.I.S.ホテルホールディングス(東京都新宿区)は2月1日、関西地区初の「変なホテル大阪 心斎橋」(大阪府大阪市)を開業させた。これにより「変なホテル」は全国で11拠点となる。
同ホテルは大阪メトロ御堂筋線「心斎橋」駅徒歩約3分に位置し、客室数は全90室。
フロントは恐竜型ロボットと大自然を融合したプロジェクションマッピングを行い、エンターテイメント性の高い演出を提供する。またシャープ社によって開発されたロボホンが19体で宿泊者を迎える演出もある。
客室は『快眠』をコンセプトにフランスベッド社と共同開発したマットレスを採用。枕はリーディングカンパニーとして快眠を追求しているロフテー社を導入する。
1600万色を超える照明の色彩表現ができる「Phillips Hue」を設置し、宿泊者が目的によって色や明るさが変えられるようにしたほか、客室内タブレットサービス「tabii(タビー)」を全室導入し、客室内の照明、テレビ、エアコン、レストランの混雑状況を機器と連結させ、一括で操作することができるようにした。
ホテルデザインは、店舗・空間デザイナーの橋本夕紀夫デザインスタジオ(東京都渋谷区)による制作で、「ロボットによるおもてなしと有機的な『癒し』の空間で包み込むことを基本コンセプトとし、『human touch』をキーワードとし『葉』『木』『石』を連想させる素材と色彩でまとめています。また、インバウンド需要の活性化が著しい大阪の地において『日本文化の発信』も意識し、漫画の『コマ割り』や『吹き出し』を取り入れた空間にしています」(同社)という。
小田急Hセンチュリーサザンタワー 全客室にAIスピーカーを導入
小田急ホテルセンチュリーサザンタワー(東京都渋谷区)ではこのほど、顧客ニーズの多様化への対応とサービスの向上、業務の効率化を目的に、AIスピーカーの導入と、これらを活用した新サービスを、全客室375 室で提供する。
インバウンド需要の増加に伴う多言語対応の必要性が高まる中、今回導入するAIスピーカーには、クラウドベースの音声サービスのほか、TradFit 社ホテル向けに開発・提供する多言語チャットボットサービスを搭載し、訪日外国人旅行客をはじめとした宿泊客へのサービス・利便性の向上を目指していくという。
今回の取り組みでは、宿泊客のフロントへの問い合わせや貸出備品のリクエストなどに対し、AIスピーカーへ話しかけることで回答や貸出受注を行うことに加え、話しかけた内容がデータベースにない場合や、AIスピーカーが返答できない内容・言語であった場合は、画面にQRコードを表示し、これを宿泊客自身のスマートフォンなどで読み込むことにより、多言語チャットボットを起動、対応を継続する仕組み。
多言語チャットボットは、宿泊客のネイティブ言語での質問・要望を送信することで、その内容を自動翻訳し、ホテルスタッフはリクエスト内容を正しく理解して対応を図る。これにより宿泊客は、フロントへの電話の手間や言葉の壁がなくなる、というわけである。
更にこのAI スピーカーには、ヒト・コミュニケーションズとTradFit 社が共同で開発したホテル向けチャットコンシェルジュサービスを搭載すうる。これは、訪日外国人ゲストからの依頼が多い外部レストランやアクティビティ等の予約を、多言語チャットボットを介しつつも有人オペレーターにより対応を図るもの。
企業の保養所をリノベーション
小田急電鉄(東京都新宿区)とグループ会社の小田急リゾーツ(神奈川県相模原市)では8月11日に「箱根ゆとわ(HAKONE YUTOWA)」をオープンさせる。
同施設は、箱根・強羅で企業の保養所・研修所として使用されていた物件をリノベーションしたもの。
箱根登山鉄道強羅駅から徒歩5分で、傾斜地が多い強羅エリアでも希少な駅から平坦路でアクセスできる場所に位置。良質な温泉を湧出する自家源泉を有していることに加え、周辺には箱根強羅公園や彫刻の森美術館などの観光施設もある。
ホテルは、ホテル棟とコンドミニアム棟で構成。ホテル棟は、レストランや大浴場、中庭、ラウンジを設け、宿泊者がラウンジや中庭を中心に集い、それぞれの場所で、それぞれの時間を過ごしてもらえることが最大の特徴となっている。一方コンドミニアム棟は、強羅エリア初となる、温泉が楽しめるビューバスが付いたコンドミニアムタイプの宿泊施設だ。
小田急グループは、ホテル事業を成長分野と位置づけ、地域の魅力を引き出す特徴あるホテルの出店を進めている。都市型ホテルやリゾートホテルなど、2015年度から出店を強化しており、2020年度までに15店程度を出店する計画だ。
また、箱根地区では、グループの各交通機関の結節点となる駅やターミナル、観光施設への大型投資を進めている。
民泊ノウハウ生かし新施設
民泊運営サービスを提供するグランドゥース(大阪府大阪市)では、ホテルタイプとしては初めての施設「Grandouce 関西空港」(大阪府泉佐野市)をオープンさせる。
同施設は南海本線「羽倉崎駅」徒歩約14分、関西国際空港まで車で約13分の場所に位置。インバウンド観光客が利用する空港として人気が増している関西国際空港の対岸にあるりんくうエリアにある。延床面積は約2229㎡。客室数 は66室。
オープン予定は4月初旬。同社ではこれまで民泊運営で培ってきたサービスクオリティをホテル運営でも生かしていきたいという。
同社は、民泊運営に必要なサービスをワンストップで提供している日本最大規模で施設を運営。合法民泊を運営するに当たっての施設整備、内装等のトータルプロデュース、許可申請、運営までを行っている。
京都新阪急HツインR改修
京都新阪急ホテル(京都府京都市)ではこのほど、ツインルーム44室の改装工事を行なった。訪日外国人旅行客をターゲットに京都駅前エリアでの新規ホテルの開業が相次ぐ中、外国人ゲストに需要の高い、畳の小上がりを備え京都らしさと機能性の両面を併せ持つ3名での利用が可能なツインルームを12室から56室に増室。競争力の強化を図る。
畳の小上がり、京唐紙や西陣織写しの帯柄の壁紙、着物地を使ったフットスローなどを備え、京都らしさを感じられる和モダンな内装に一新。畳の小上がりは、就寝時に布団を敷くことが出来るようにゆったりとしたサイズを確保。 3名での宿泊にも対応でき、ファミリーで利用される外国人ゲストの需要にも対応する。