不動産トピックス

クローズアップ ホテル編

2019.02.18 17:23

 訪日観光客が増えるなかで、商機となっているホテル。一方、体験などが求められる中で、大半のホテルは「宿泊」を主軸に据える。そのなかで新たなホテルの形として「カルチャーホテル」を提案するものもでてきた。ホテルは街づくりまでになうことができるのか。
マスタードホテルが浅草に2棟 「カルチャーホテル」として全国展開へ
 訪日観光客数が伸びるなかで宿泊インフラの整備が続く。そのなかでまちづくりに目を向けた新しいホテルブランドが立ち上がった。
 THINK GREEN PRODUCE(東京都渋谷区)は昨年9月13日に「SHIBUYA BRIDGE」に「MUSTARD HOTEL(マスタードホテル)」を開業した。今年に入ってからすでに2月1日に「マスタードホテル1」を開業。また4月下旬に「マスタードホテル浅草2」を開業する。
 同社はビジョンとして「つくりたいのは、これからの街と、これからの生活と、これからのカルチャー。」を掲げる。不動産や建築のコンストラクションマネジメントを中心に事業を展開し、最近の主な実績としては「GEMS神宮前」、「スポル品川大井町」、「渋谷ブリッジ」などが挙げられる。加えてソフト面では飲食店事業も展開し、これまでに20店舗を展開。「マスタードホテル」はソフト面でのまちづくりの第2弾となる。
 代表取締役の関口正人氏は「当社のビジョンを考えたとき、ハードだけでなくソフト面も重要になってくる。創業5年目で飲食事業を始めたのはそれがきっかけ。今回のホテル事業も街のカルチャーをつくっていくのに最適なコンテンツになると考えたからこそ」だと話す。
 「渋谷ブリッジ」のあるエリアは「特徴づけがうすいエリア、いわば空白地帯だった」と指摘する。そこにホテルコンテンツをつくることでインバウンドのみならずITを中心としたビジネスマンが集まる場所にもしたい狙いがある。
 ただ関口氏は「『宿泊』するだけでなく、街を『楽しむ』ための場にしていきたい」と話す。そのために様々な工夫を仕掛けている。たとえば渋谷ではクリエイターが多いことから「アーティスト・イン・レジデンス」を行う。東京に来るクリエイターやアーティストに対して無料で部屋を提供する代わりに、滞在期間中に作品を残してもらったり展示会やライブなどを共同で開催する『CREATORS IN MUSTARD』(クリエイターズインマスタード)を定期的に開催しています」という。
 浅草でもこのような仕掛けは用意する。しかしその内容は異なってくる。暖簾や浴衣はクリエイティブディレクターが監修。手ぬぐいも専門店が製作したものを利用する。
 これらの取り組みはそれぞれの街の「良さ」を生かし、さらに特徴づけていくものとなっている。これまでこのようなホテルは少なかったといえる。関口氏は「ビジネスホテルとシティホテルの中間、そこに文化を加えた『カルチャーホテル』として展開してきたい」と意気込む。
 今後のついては「いくつか話はもらっている。東京以外でも事業性と面白さを天秤にかけて、検討していきたい」とのこと。5月以降、3棟体制となる「マスタードホテル」だが、その数は今後さらに伸ばしていきそうだ。

ハイアス×楽天ライフルの戸建型宿泊施設 佐世保、京都木津川で開業へ
 ハイアス・アンド・カンパニー(東京都品川区)と楽天グループの民泊事業会社である楽天LIFULLSTAY(東京都千代田区)が共同開発した戸建型宿泊施設「Rakuten STAY×WILLSTYLE」は2月9日に佐世保、2月下旬には京都木津川で新たな施設をオープンする。
 「Rakuten STAY」は不動産オーナーに対し、楽天が「Rakuten STAY」ブランドを貸与し、楽天LIFULL STAYが導入のコンサルティングから施工、売上・収支管理、清掃などの運用まで、委託会社の協力を得て一括して運用代行を行うサービス。利用者は「Rakuten STAY」を導入した施設に宿泊すれば、一貫したコンセプトに基づいた設備、アメニティーグッズの利用や付帯サービスを受けることができる。サブブランドとして一戸建ての宿泊施設ブランド「Rakuten STAY HOUSE」を展開、民泊向け戸建型宿泊施設の供給拡大を図っている。
 「Rakuten STAY HOUSE×WILL STYLE」は民泊・簡易宿所向けのブランディングおよび運用代行サービス「Rakuten STAY」と、ハイアスが全国の会員企業に事業支援を行う高性能戸建賃貸住宅「WILL STYLE」のコラボレーションにより生まれた戸建型宿泊施設。昨年5月には、島根県松江市に1号店をオープンしていた。




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