不動産トピックス
今週の一冊
2019.03.04 16:05
不動産業界IT化 世界の潮流は
不動産テック 巨大産業の破壊者(ディスラプター)たち
著者:北崎朋希、本間純
発行日:2019年1月28日
発行所:日経BP
価格:2400円(税別)
もはや不動産業界は土地や建物を単純に売買する分野ではない。「不動産投資」という投資の対象というものになってしまう以上、このIT化「xTECH(クロステック)」の流れのなかで「テクノロジー」の世界に否が応でも組み込まれてしまうのは避けられない。複雑なスキームで巨大化した新産業「不動産テック」は既存のシステムも概念もすべて変えていくだろう。
日本では昨年、「不動産テック協会」が発足したが、本書は各種あらゆる「テック」の本場、米国ニューヨークで最前線に身を置いた研究者とジャーナリストの共著。
米国の不動産テック企業創業者のインタビューもあり、「ウィーワーク狂騒曲」、「クラウドファンディング百花繚乱」など強大で迫力ある米国テック業界が分かりやすく書かれている。
日本企業はその流れのどこに立ち位置があるのか。最先端ビジネスの大きな潮流を感じさせる一冊。複雑で面倒な時代になったと憂鬱になっても巻末の著者と監修の谷山智彦氏との鼎談はご一読を。「規制は厳しくてもいい。不動産カラーが強いとはいえ金融。人さまの大事なお金を預かるうえはきちんとした体制が求められる。金融は遊びではない」(谷山氏)の言葉に救われる。