不動産トピックス

クローズアップ 業務効率化編

2019.04.22 11:47

 不動産会社や営業マンの業務効率化が喫緊の課題となっている。働き方改革の流れとともに、生産性の向上が求められる。そのなかで新しい業務ツールが注目を集める。特に2020年、東京オリンピック・パラリンピックが開催されるなかで、外国人対応は必須となっている。

「不動産翻訳」業務ツールサイトをスタート グローバル対応・業務効率化に寄与
英語必須の取引激増か!?外国人労働者5年30万人増
 スリーステージ(東京都港区)不動産翻訳事業部では4月24日より「不動産翻訳」業務ツールサイトをスタートさせる。本サイトでは日本語の物件情報を入力するだけで売買概要書や賃貸図面、重要事項説明書、契約書類の雛型が英語・中国語(繁体・簡体)に変換されExcelやPDF化してダウンロードできる。また実際に海外の投資家や賃貸物件を探す外国人の方などが店舗に来たときの不動産英会話や専門用語などの参考となる事例集コンテンツも収録する。グローバル対応を促すとともに、これまで営業マンが行っていた業務を簡易にする効率化のツールとしての役割も担う。
 店舗内装関連の仕事を本業で行う取締役の宇木さとみ氏は「不動産業界の専門用語を英語や中国語で話すのは訓練を積まないと難しい」と指摘する。留学歴もあり英語に慣れ親しんでいるが、「専門性が高く、勉強し直している」と明かす。
 ターゲットは大手企業も含まれるが、メインは中小の不動産会社だ。中小不動産会社はこれまで国内の市場をターゲットにしてきた。一方、日本は長期の人口減少トレンドに突入。経済を支えていくためには資本も人も外国の力が必要不可欠。先般には外国人労働者の受け入れ拡大も決定。5年間で最大34万人の受け入れとなる。インバウンドの広がりはいまや観光にとどまらない。
 「私が勤めている上野でも5年ほど前から中国人が増えました。観光はもちろんのこと、ビジネスをされている方も多数いらっしゃいます。不動産業は会社規模に関わらず、今後彼らとビジネスをしていくことは不可避です。チャンスにもなればピンチにもなるわけです」
 契約プランは「ベーシック」、「プレミアム」、「パスポート」の3つ。「ベーシック」では月額1980円で不動産用語翻訳、不動産概要書作成機能を利用できる。「プレミアム」では月額3980円でファイル共有機能、事例集コンテンツ、「パスポート」では月額5980円(年一括6万4580円)で契約書作成機能、重要事項作成機能、業務サポートサビースを受けることができる。
 4月のリリースで利用できるのはまずは「ベーシック」となる。他の2つは6月以降に頃からサービスを開始する予定だ。尚、スタートキャンペーンとして「ベーシック」コースを5月末まで無料で利用することができる。また事例集コンテンツはインバウンド不動産対応を中心に順次バージョンアップを行う。加えて、言語に関しても拡充を検討している。
業界の商習慣への配慮も 将来的は海外エージェントにも
 日本の不動産業界の商習慣にも配慮した。「プレミアム」以上は書類などをアップロードして保存して社内での共有も可能。サーバーはセキュリティを重視し、アマゾンのAWSを利用する。
 サービス展開のロードマップとして「当面は国内」だと示す。ただ日本語から英語・中国語への変換が可能であるように、英語・中国語から日本語への変換も可能だ。「将来的な話だが」と前置きした上で、「海外、特に米国の不動産エージェントへの展開は検討していきたい」と意欲を見せる。
 急速に海外との接点が広がる不動産業界。「外国人お断り」はもはやビジネスの悪手になっている。

イタンジ
 イタンジ(東京都港区)の展開する賃貸住宅の電子入居申込受付システム「申込受付くん」が2019年4月に全国の不動産管理会社との契約社数150社を突破した。それに合わせて、4月15日から「初期費用・月額利用料0円キャンペーン」を開始した。
 賃貸契約は多くの現場で書面かつ対面で行われている。紙で行う申込受付業務において記入内容の確認や修正依頼などの煩雑な業務が不動産管理会社、仲介会社の負担となっている。申込受付くん」は2017年6月にサービス提供を開始。特に2018年11月からの契約社数は5倍成長を記録。累計電子申込数は1700件以上となっている。
 デジタルならではのメリットが業務効率化に貢献する。また近日中にセキュリティ面での機能追加も予定する。




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