不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2019.05.07 14:34

シンガポール発の新ブランド コリビングスタイル施設登場
 シンガポールのアスコット社はこのほど、NTT都市開発(東京都千代田区)が開発中の複合商業施設「福岡・今泉公園前プロジェクト」でのホテルの運営委託契約を締結。日本初上陸となるコリビングスタイルホテルの新ブランド「ライフ(lyf)」を2020年秋に開業する予定だ。
 同プロジェクトは、敷地面積777・06㎡、延床面積約3800㎡、地上10階地下1階、ホテルは3階~9階部分。客室数131室(予定)、客室面積約13㎡~26㎡、ツイン、ダブル、コーナーツインのスタジオタイプ。
 アスコット社は世界30カ国170都市で、「アスコット」「サマセット」「シタディーン」など計13ブランドを展開する、宿泊施設のオーナー兼オペレーターのアジア最大手。今回は新ブランド「ライフ」として開業する。
 日本ではこれまで、最高級ブランド「アスコット」を東京・丸の内に2017年3月に開業したほか、計3ブランド7軒を運営している。コリビングホテルブランド「ライフ」は2016年に立ち上げ、2019年秋に第1号の開業をシンガポール・フナンで予定している。2020年にはタイ・バンコク、日本・福岡でオープンする予定だ。さらに、中国やフィリピン他での開業を計画している。 
 「ライフ」のコンセプトは"ミレニアル世代によるミレニアル世代のためのコリビング・ブランド"。コリビング (Coliving)とは「住む・泊まる」「働く」「交流する」が一体となった新しい住環境を指し、欧米の主要都市では近年、共働型オフィスとシェアハウスを一体化させた施設として広まりつつある。「ライフ」では宿泊に特化したスタジオタイプの客室(約13㎡~26㎡)でプライベートな時間を過ごしてもらいながら、コワーキングエリアやバーカウンター、交流を深め楽しむことができる共有キッチンやラウンジエリア、セルフサービスランドリー、そしてパーティーが開催できるイベントスペースに共用部を転用することができる。 
 アスコット社は、1984年にサービスレジデンス「アスコット・シンガポール」をオープン以来、30年以上の実績を誇り、今ではアメリカ・アジア・ヨーロッパ・アフリカで5万8000室以上を運営、計画・開発段階の約4万3000室を含めると、物件数は670件以上、部屋数は約10万室を超えている。
 現在、サービスレジデンスやホテルのブランドとして「アスコット」「サマセット」「シタディーン」「ライフ」など計13ブランドを世界30カ国170都市で展開している。日本では、最高級ブランド「アスコット」を東京に1軒、「シタディーン」を東京に2軒と京都に1軒、「サマセット」を東京に3軒展開のほか、賃貸住宅等の保有・運営を行っている。

リア・テクノロジーズ 京都に新規オープン
 合法民泊を手がける百戦錬磨から独立し、ホテル・ホステル・合法民泊の運営事業を展開しているREAH Technologies(東京都港区)はこのほど、京都市下京区で、「ホテルモンドンス京都五条」(京都府京都市)を新規オープンさせた。
 同施設は地下鉄烏丸線「五条」駅から徒歩5分に位置、収容人数65人、客室料金は1万円~(定員4名)、1万5千円~(定員5名)。事業主は安本武司商店、コンセプトルームデザインは学生カフェHYGGERが担当する。
 法衣など和装生地を手掛ける安本武司商店の事務所との複合施設。同社では、開業に至るまでの市場調査、事業性検証、施設コンセプトワークなどに携わり、開業後は集客・運営管理を一括で行う。
 同施設は、京の台所「錦市場」、鮮やかな朱塗りが見事な三重塔がある「清水寺」、京都のシンボル「京都タワー」などを近隣に有し、京都の名物観光地へ気軽に繰り出せる場所に位置する。
 部屋は全室キッチン付きで、4つのタイプを用意する。Aタイプスタンダードルームは、生地の色の調和のとれた洋室、Aタイププレミアムルームは、京都の大学生のプロジェクトが内装デザインを手掛けたコンセプトルーム、Bタイプデラックスルームは、和室の畳の上にはロータイプのベッド、壁にはブラケット照明を配置した。
 Cタイプデラックスルームは、洋室の壁にはブラケットと紋緞子生地が調和のとれた空間を作り出す。和室にはソファ、キッチン前のダイニングテーブルで食事を取ることができる。
   同社は、インバウンド特化型のホテル・ホステル・合法民泊の企画・運営やオルタナティブ・ロッジングの分野を舞台として、今後中長期的に成長が見込まれる訪日外国人旅行者に対して新たな宿泊の選択肢を提供する。 一方、不動産オーナーの収益最大化に努めてより多くの人々に安心かつ魅力的な投資機会を 提供できるよう、両輪でのサービス開発を進めて市場全体の活性化に貢献していきたいという。

楽天LIFULL STAYとグランドゥース提携
 楽天グループの民泊事業会社である楽天LIFULL STAY(東京都千代田区)は、APAMANグループの民泊事業会社であるグランドゥース(大阪府大阪市)と、民泊・その他の宿泊事業を行う運用代行パートナーとして提携した。
 不動産オーナーが民泊への参入を検討する上で、宿泊単価や空室率の増減に伴う収益の変動リスクを抑え安定的な収益を確保することは重要な課題の一つであり、固定収益型の民泊運営に対する関心も高まっている。今回の連携により、楽天LIFULL STAYは、固定収益型の民泊運営を希望する不動産オーナーから問い合わせを受けた場合に、同分野のノウハウを持つ運用代行パートナーのグランドゥースを紹介先に加えることで、多様な不動産運用の需要に応える機会を拡充していく。
 グランドゥースは、紹介を受けたオーナーから物件の一括借り上げを行った上で、同物件の民泊運営代行を行うとともに、固定賃料の支払いを通じて同不動産オーナーの安定収益をサポートする。
   楽天LIFULL STAYはこれまで、不動産オーナーに向けた所有物件の民泊運営代行や、ブランディングなどの営業活動を幅広く行ってきたが、今回の連携を通じてさらにサービスの選択肢を拡大し、不動産オーナーによる民泊への参入を促進する。また、グランドゥースは自社のノウハウを活用した民泊運営代行事業の取り扱いを増やすとともに、民泊市場の拡大に寄与したいという。
   両社は今後も、それぞれの強みや知見を生かして民泊運営における様々な需要に対応するとともに、国内の民泊ならびに宿泊市場全体の発展に取り組んでいく。

リビタ 「ザ・シェアホテルズ」2019年度中に3店 全国地方都市への出店も加速
 リノベーションホテル「HATCHi金沢」や、「LYURO東京清澄」など、その場所にしかない新しい出会いと体験に溢れたホテルを展開する「THE SHARE HOTELS」をトータルプロデュースしているリビタ(東京都目黒区)は、2019年度中に新たに3店舗を出店する予定だ。
6号店となる「TSUGU京都三条-THE SHARE HOTELS-(ツグ キョウトサンジョウ ザ シェア ホテルズ)」は春、京都市中京区(三条)に、 7号店は秋、広島県広島市に、8号店は2020年春、東京都墨田区に出店する。同社は今後も、全国の地方都市への出店を計画しており、出店候補地情報を積極的に募集していく。
 「TSUGU京都三条-THE SHARE HOTELS-」は、京都市営地下鉄烏丸線「烏丸御池」駅徒歩5分に位置、鉄筋コンクリート造地上6階建て、建築年月1983年、延床面積2407・14㎡、客室数49室(予定)。この施設は、築105年の西洋建築が一部残る建物をコンバージョンしたホテルとして生まれ変わる。
 「(仮称)広島シェア型複合ホテルプロジェクト」は、鉄筋コンクリート造地上6階、地下1階建て、建築年月1990年、延床面積1999・47㎡、客室数は49室(予定)。このプロジェクトは、プロジェクトパートナーとして、瀬戸内・岡山を拠点とするアパレルブランド「Johnbul」とローカルカフェ「キノシタショウテン」を迎えた複合ホテル。
 「THE SHARE HOTELS」が北陸で年間100を超えるイベント運営で培った魅力的なローカルプレーヤーとのネットワークと「Johnbul」「キノシタショウテン」が持つ瀬戸内エリアのネットワークを合わせ、多くの観光客が集まる京都をハブに西日本のローカルを発信していく。   「(仮称)東京シェア型複合ホテルプロジェクトII」は、鉄筋コンクリート造地上6階、地下1階建て、建築年月1966年、延床面積3764・84㎡、客室数73室(予定)。
ザシェアホテルズは、ホテルの共用部を地域活動拠点としてまちに開いた複合型ホテル。シェアスペースには、まちの人々や様々な活動が集まり、その場所にしかない新しい出会いと体験に溢れた場となることを目指す。
 同社は2005年の創業以来、様々な遊休不動産の活用を手がけてきた。今後同社が展開していく強化エリアは、札幌市、松本市、高山市、大阪市、神戸市、奈良市、福岡市、長崎市、熊本市、鹿児島市。規模は延床面積600~1300坪程度。

家具・サブスクリプションサービス
 TRASTA(東京都渋谷区)はこのほど、家具・インテリア・家電のサブスクリプションサービス「CLAS(クラス)」を運営するクラス(東京都渋谷区)と包括的な業務提携を締結、4月より開業予定のホテルにクラス社提供の家具を導入する。 
 「クラス」は、月々400円から家具・インテリア・家電の利用・交換が行えるサブスクリプションサービス。送料・保証金基本0円で初期コストが抑えられるほか、交換が容易で、3年目には75%オフという、長く使うほど得になるのが特徴で、理想の空間を常にアップデートしていくことができる。もちろん、通常使用の範囲であれば、汚れたり傷ついてしまったアイテムを無料で交換可能。
 TRASTAにとっては、導入家具を全て定額制にすることで、ホテルの開業コストが抑えられる上、入れ替えが可能となる。また、ホテル全体のFFE経費を4割削減でき、結果STAYホテル全施設で平均客室単価減額することが可能になった。また同社の「STAY」ブランドコンセプトに合わせ、クラス社が各ホテルブランドの家具を一から企画・提案・納品する。




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