不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2019.05.13 17:21

パナソニック 宿泊事業に進出 今年度中に13棟獲得目指す
 パナソニックホームズ(大阪府豊中市)は今年度、宿泊事業へ本格参入する。工業化住宅最高の9階建てまで建築可能な「Vieuno(ビューノ)」と宿泊事業の運営サポート体制を組み合わせて提案する、「Vieuno Stay(ビューノステイ)」により2019年度受注目標棟数13棟、受注金額54億円を目指していく。
 第1号となる「Vieuno Stay」(東京都大田区)の建築着工を4月25日より開始、2019年12月に竣工する予定だ。同施設には、パナソニックホームズが戸建・賃貸住宅や商業施設まで長年培ってきた設計ノウハウを生かすとともに、パナソニックの先進設備を複数取り入れたもの。宿泊者と建物を守る重量鉄骨ラーメン構造と美観を保つ光触媒タイルを採用するほか、最上階の客室には、パナソニック美容・リフレ家電を備えた「Be-Lounge」を設ける。この製品は、セルフエステを楽しむ空間づくりが特長で、パナソニックホームズ提案の宿泊施設への導入は初となる。
 高まるインバウンド需要の受け皿として民泊新法などの宿泊事業関連の法令が整備される中、同社は2018年6月に東京・大阪の都市部土地オーナーを中心に宿泊事業のテストマーケティングを開始した。当初目標とした2018年度受注棟数10棟を約9カ月間で達成するなど、宿泊事業の需要性を確認したことで、今回の本格展開となった。
 また同社は、インバウンドの約4・4倍の国内旅行消費額となる日本人の国内旅行動向にも着目し、宿泊施設に対する意識調査を実施した。調査結果からは、ホテル利用意向は高いものの、コストの高さや大人数では泊まれないことへの不満が明らかとなった。
 一方、民泊に対してはコストパフォーマンスの良さや大人数で泊まれるメリットを感じつつも、セキュリティや設備への不安や不満があった。現状、東京都内のホテル1室あたりの宿泊人数は、1人~2人が中心であり、3人以上で泊まれる部屋数は全体の1・5%と限定的だ。今回展開する「Vieuno Stay」は、将来的な賃貸への転用も見据え、キッチンやバス、リビングを備えた1LDKプランを中心に、家族が揃って寛げる都市型コンドミニアムの宿泊スタイルを提案する。
 「Vieuno Stay」での宿泊体験を通じ、「多くの人にパナソニックが目指す、くらしに寄り添う"快適な空間""豊かな時間"を体感いただくショウケース的な役割も担えると考えています」(同社)。

際コーポレーション 老舗旅館の再生手掛ける
 際コーポレーション(東京都目黒区)は2019年2月、神奈川県湯河原町に「富士屋旅館」を、3月長崎県新上五島町に「五島列島リゾートホテル マルゲリータ奈良尾 海ト空〇ト星(ウミトソラ マルトホシ)」を相次いで開業させた。同社と関連会社が運営する宿泊施設はこれで6軒となる。  神奈川県湯河原町で江戸時代後期にはすでに温泉宿を営んでいたとされる「富士屋旅館」が2019年2月、閉館から17年の年月を経て生まれ変わった。
 同旅館の再生は、湯河原エリアの活性化を支援する「かながわ観光活性化ファンド」を活用したプロジェクトの核となるもの。創業以来の長い年月のうち幾度かの増改築を経て、現存する富士屋旅館の建物のなかで最も歴史があるのが二つの楼閣を持つ数寄屋造りの「旧館」で、築は大正12年と記録が残っている。
 「旧館」のほか昭和20年代に京都から材木を運んで造られた「洛味荘」(らくみそう)と、傷みが激しくほぼ骨組みだけを残して造り変えた「新館」の3つの建物から成り立っている。修復のための調査と工事に約2年かけ、歴史的にも価値ある建物を出来るだけ残した。 
 料理は鰻の地焼き、小田原漁港で水揚げされた地魚料理、金目鯛のしゃぶしゃぶ、近江牛炭火焼など、日本の季節ごとの食材を集め、料理屋旅館として食の楽しみを提案していく。
 一方、上五島に2軒目となるホテル「五島列島リゾートホテル マルゲリータ奈良尾 海ト空〇ト星」は、2012年に開業した「五島列島リゾートホテル マルゲリータ」をリブランドしたもの。同ホテルは元々国民宿舎だった施設の老朽化に伴い建てられた、公設民営型施設。離島ブームや2018年の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」世界遺産登録に推され、順調に観光客数が増える中で、今回の新ホテル運営に踏み出すこととなった。 
 ホテルは2017年に閉館した「奈良尾温泉センター」を改修、所有者である新上五島町から借り受け、2017年に設立した新会社「五島アイランドリゾート」が運営する。 客室は窓から港が一望できるもっとも贅沢な造りの「エグゼクティブオーシャン」、夏には子供用プールも置ける広いテラスが魅力の「エグゼクティブテラス」、シンプルかつコンパクトな設計でビジネスユースにもぴったりの「スーペリア」など、ファミリーからひとり旅まで様々な需要に応えられる6タイプを用意している。
 際コーポレーションは1990年創業、東京都福生市に中国料理店「韮菜万頭」をオープンし、現在グループ会社を含め約350店の店舗を展開している。宿泊事業は2005年、京都府に「柚子屋旅館」を開業し、その後長崎県新上五島町、石川県金沢市に2軒の宿を運営している。

「コンフォート」ブランド全国展開 2棟をリニューアルオープン
 全国に「コンフォートホテル」「コンフォートイン」「コンフォートスイーツ」を展開しているチョイスホテルズジャパン(東京都中央区)は相次いでリニューアルオープンさせた。
 4月27日には北海道苫小牧市の「コンフォートホテル苫小牧」を、5月1日には、茨城県神栖市の「ベストイン鹿嶋」を「コンフォートイン鹿島」としてオープン。
 「コンフォートホテル苫小牧」は、JR「苫小牧」駅南口より徒歩約10分に位置、地上6階建て、全123室、全室禁煙。
 2019年全客室に加え、ラウンジスペース(旧朝食コーナー)やロビーもリニューアル。ホテル全体は、豊かな自然をテーマとし、北海道ならではの季節のうつろいを感じられるデザインを取り入れてた。中でも、ラウンジスペースは、北海道を代表する花であるラベンダーをイメージ。客室は、北海道の季節をイメージした色や柄を用いる。機能的な客室ベッド周辺にUSBコンセントを増設。浴室のユニットバスにはサーモスタット式水栓を導入し、温度調整が容易になるなど、機能性を向上させた。
 一方「コンフォートイン鹿島」は、東関東自動車道潮来インターチェンジより車で約11分の場所に位置。神栖市には、鹿島臨海工業地帯があり、本ホテルまで車で約5分と、ビジネス利用者にとっても最適な立地となっている。加えて、カシマサッカースタジアムまで車で約20分、鹿島神宮まで車で約15分であり、観光の拠点としても至便なホテルとなっている。
 建物は地上6階、客室数は全108室、全室禁煙。全室17㎡以上であり、荷物を広げても余裕のある広さを有する。また、電子レンジを設置している客室もあり、長期滞在も可能だ。客室には、ポケットコイルマットレス、チョイス ベッドパッド、チョイス ピローを設置し、コンフォートブランドこだわりの「快眠」を提供する。
 全国に「コンフォートホテル」を展開するチョイスホテルズジャパンは、世界35カ国に6800軒以上のホテルを展開するアメリカのホテルチェーン「チョイスホテルズインターナショナル」の、日本におけるマスターパートナーとして、日本全国にコンフォートホテル、コンフォートイン、コンフォートスイーツを展開している。

仏大手アコーグループが京都に新ブティックホテル
 アコーグループ(フランス・パリ)の「京都悠洛ホテル Mギャラリー」が4月26日、京都・三条にオープンした。
 同ホテルは、芸術と文化遺産を通じ京都の伝統を大切にし、他国の「Mギャラリーホテル」と同様、その土地のエッセンスを取り入れ、ここでしか体験できないひとときを提供していく。
 144室ある客室では、モダンで古典的なデザインが施されており、1200年を超え受け継がれている京都の伝統工芸、西陣織の温もりを味わいながら、客室の一角では畳の敷かれた空間を提供する。ホテルの徒歩圏内には、芸者街のある祇園、八坂神社、繁華街の河原町など、京都でも見どころとなるスポットが点在。宿泊者は、鴨川沿いを夕方に散歩したり、朝にジョギングしたりと、ホテル周辺でも充実した滞在が可能だ。 
 アコー東南アジア・北東アジア・モルディブ担当 最高執行責任者のパトリック・バセット氏は話す。「昨年のプルマン東京田町の順調な開業に続き、今回、『京都悠洛ホテル Mギャラリー』がオープンし、日本でのラグジュアリーブランドの実績に弾みがついています。京都には17ものユネスコ世界遺産があり、日本伝統の神髄があると考えられています。すばらしい寺院、美しい庭園、繊細な伝統工芸は有名で、訪れる人たちは近代都市の良さと歴史的価値の両方に触れることができます」。
 同ホテルは、日本初上陸となる「Mギャラリー」ブランドとなる。「Mギャラリー」は現在、世界中にブティックホテルとして101軒を展開しており、さらに48軒が開業予定。それぞれのホテルには独自の特徴とストーリーを展開しているのが特徴。趣が全く異なるため、その場所でしか味わえない体験を提供する。
 今後同社では、Mギャラリー・カンヌや香港など、新たなホテルを開業し、事業を拡大する予定だ。  フランス・パリを拠点とするアコーグループは、世界100カ国で4800を超えるホテル・リゾート・レジデンスや高級レンタルホームを展開している。

タカラレーベンが名古屋に新店舗
 マンション事業を展開しているタカラレーベン(東京都千代田区)は、ホテル初進出となる愛知県名古屋市で「アリエッタホテル名古屋」を4月25日にオープンさせた。
 同ホテルは名古屋市営地下鉄「栄」駅より徒歩約8分に位置。幅広い宿泊客に対応できる7タイプ全139室を用意する。全室にはフローリング床・バスタブ・シャワーブースを配置する。1階カフェスペースには無料の焼きたてパン、コーヒー、ジュース等の軽朝食を提供する。
 同社は、昨年11月にオープンした「アリエッタホテル博多」(福岡県福岡市)に続きホテルオペレーターであるルネッサンスより土地を購入し、同社の「アリエッタ」ブランドでホテルを新築した。
   ルネッサンスグループでは「ニューヨーク・マンハッタンにある隠れ家ホテル」や「イタリアのそよ風」をイメージした空間デザインなど、デザイン性の優れたビジネスホテルを展開している。




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