不動産トピックス
今週の一冊
2019.05.13 17:15
まちづくりの在り方を根本から見直す
コンパクトシティを考える
編著:浅見泰司、中川雅之
発行日:2018年10月31日
発行所:プログレス
価格:2300円(税別)
「コンパクトシティ」には徹底的な議論が必要だ。都市政策の案のひとつである「コンパクトシティ」という言葉はいまだ一部だけで使われ始めた「まちづくり」の業界用語という域を出ていない。議論の前に「コンパクトシティ」とは何かを一般に広めるべきではあるが、その時間も惜しまれるほど都市政策の見直しは喫緊の課題だ。
少子高齢化が今後さらに進むことはほぼ確実なのだから、既存のまちづくりでは特に地方ではいずれ立ち行かなくなるのは明白だ。
空き家は増え続ける一方で国の対策は遅々として進んでいない。都市部をコンパクトにし、人の住むエリアをなるべくまとめて郊外化を抑制し、公共投資を抑える方法はマイナスと捉える向きもあるだろう。しかも、「コンパクトシティの最終形がどのような都市構造になるのかが明確ではない」という。
本書は雑誌「Evaluarion」の企画「コンパクトシティを考える」の掲載原稿の一部を加筆修正し、かつ新たな原稿も募って所収したもの。何故コンパクトシティ化が必要なのか、交通施策と不動産ビジネス、環境問題、公共施設配置の在り方など多面からの論点が一挙に理解できる一冊だ。