不動産トピックス

クローズアップ 契約・リーガルサービス編

2019.05.13 17:13

 不動産ビジネスのあらゆる場面で遭遇する「契約」。これがもとで相手方とのトラブルに発展してしまうこともあるだけに、契約書の作成や契約の段取りは専門家の知見を交えて確実に行う必要がある。

「もしも」に備えるセカンドオピニオン 月3万円から
 杉並法務・税務オフィス(東京都杉並区)は、賃貸経営や売買、相続といった不動産に関連する領域と得意とし、現在は弁護士が2名、税理士が1名在籍している。東京23区を中心に賃貸ビルを所有するオーナーを顧客の対象とし、2008年の事務所開設から実績を積み重ねている。所属弁護士の佐々木祐太氏は、直近で相談の多い事例としてオフィスの無断転貸に関するトラブルを挙げる。
 弁護士へのトラブル相談は、高額な費用負担を強いるのではないかというイメージが存在する。一方で佐々木氏は「弁護士に相談するタイミングが遅くなればなるほどトラブルはこじれ、裁判が必要となる段階まで問題は大きくなってしまいます。『トラブルが起きたら弁護士に相談する』のではなく、『トラブルを未然に防ぐために弁護士に相談する』ことが重要です。当事務所は顧問契約を結んでいるクライアント以外でも、セカンドオピニオンの立ち位置からリーガルチェックのサービスを提供しています。また、不動産オーナー向けの顧問サービスを月額3万円から提供しており、日々の不動産経営に関する相談を何度でも受け付けています」と話す。様々なトラブルリスクが介在する不動産経営では、こうした専門家のサポートが必須であるといえるだろう。

契約書の作成から管理まで マネジメントシステムに新サービス
 契約書の作成から管理までを一括サポートするクラウドサービス「Holmes」を運営するリーガルテック領域のスタートアップのHolmes(東京都千代田区)は先月24日、新サービス「Holmes Project Cloud」の提供を6月より開始すると発表した。
 Holmesでは従来のシステムを「Holmes Contract Cloud」とし、それに紐づいた新たなソリューションが「Holmes Project Cloud」となる。「Homes Project Cloud」は、事業活動に必要なあらゆる契約をプロジェクト単位で設計し最適化する契約マネジメントシステム。事業の流れに合わせ、文書や関連情報を管理。進捗やタスクを把握しながら、シームレスに契約業務を行うことが可能である。

弁護士ドットコムとサイバートラストが提携 電子契約の普及促進を目指す
 日本初のウェブ完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」を提供する弁護士ドットコム(東京都港区)とサイバートラスト(東京都港区)は、より安心して利用できる電子契約の普及推進を目的に業務提携を行うと発表した。
 「クラウドサイン」は、契約書の作成から締結、保管までをウェブ上で行うことができるクラウド契約サービス。従来、書面で契約を締結する際に発生していた郵送代や紙、インク代などのコストを削減することができ、契約締結を簡単かつスピーディに行うことができる特長を持つ。弁護士ドットコムによれば、導入企業数はサービス開始から3年で4万社を突破し、累計契約締結数は50万件を超えている。また、「クラウドサイン」では合意したデータに対して電子署名ならびに日本データ通信協会による「認定タイムスタンプ」を付与し、契約が存在していた事実と改ざんがないことを立証している。
 同社では、サイバートラストの「ⅰTrust電子署名用証明書」と「ⅰTrustリモート署名サービス」を採用することにより、「クラウドサイン」利用者のさらなる安心と利便性向上を実現するとしている。なお、実装は2019年中を予定している。

誰でも簡単に無料で遺言書作成のウェブサービス提供開始
 Documentary Technologies(大阪市中央区)は、遺言書を作成するための案を自動生成するプログラムを稼働するウェブプラットフォーム「遺言書ドットコム」について、8日からベータ版サービスの提供を開始した。
 日本では、遺言書を準備しているという割合が欧米諸国と比較して、まだ少ないといわれている。同社が提供する「遺言書ドットコム」は、遺言書を作ろうと思った際に、試しに遺言書を作成することができるというのが特長である。従来、遺言書を作成するには関連書籍を参考に作成するか、法律事務所や公証役場に相談するしかなかった。「遺言書ドットコム」では遺言に必要な財産の情報と被相続人・相続人の情報、財産の振り分けを設定するだけで簡単に遺言書案が無料で作成することができ、誰でも簡単に遺言書が作成できるというもの。会員登録を行えば、作成途中でも保存が可能で、登録された情報を変更し遺言書案を出力することも可能である。




週刊不動産経営編集部  YouTube