不動産トピックス
クローズアップ 省人化編
2019.05.20 11:10
人口減少が長期的なトレンドとなるなかで、不動産業界でも人手不足への対応が課題となっている。そのなかで無人化、省人化への取り組みが進む。ここでは宿泊施設や不動産仲介店舗の取り組みに注目する。
構造計画研究所がセミナー開催 宿泊施設の無人運営実現に向けたソリューション紹介
今月15日、構造計画研究所(東京都中野区)は「ホテル運営の最新トレンド 完全無人化を徹底解説」と題したセミナーを開催した。
2018年の訪日観光客数が3000万人を突破したなか、宿泊施設への需要は大きい。不動産業界でも大手デベロッパーのホテル運営への参戦から、ホテルへのコンバージョン事例や、民泊などこの分野への参入意欲は高い。一方で人口減少が長期のトレンドとなるなかで、「無人化」、「省人化」は大きな課題となっている。
今回のセミナーでは構造計画研究所が展開するスマートロック「RemoteLOCK」やエアホスト(川崎市宮前区)の予約サイトとの連動やチェックイン・チェックアウト業務、部屋の割り当て、料金設定、ベッドメイキングなどの手配ができる「Airhost PMS」の紹介が行われた。
構造計画研究所RemoteLOCKエバンジェリストの池田修一氏によると「昨年6月の住宅宿泊事業法制定により違法民泊が軒並み撤退を余儀なくされたことで一時期、民泊物件が減ったが、足もとのAirbnbの登録物件は4万1000件まで回復している」と話す。引き続き、民泊を代表格とする宿泊施設事業への参入意欲の高さを物語る。その運営の主流としては大型施設ではなく中小規模施設(10室~50室)の複数展開だ。
「ここで問題となるのが省人化です。今では訪日観光客が地方にも足を伸ばしていることで、多くのエリアで宿泊施設は有望となっています。しかし働き手を確保することができないために、困難を強いられている事例も少なくありません」
実例も語られた。セミナーにはコナリゾート(静岡県沼津市)の「KONA STAY伊豆長岡」支配人が登壇。「人材不足でエリア内の旅館営業を辞められる方は多い。当社でも常駐スタッフは最小限にしている。それが実現できているのは自動化のツールだ」と語った。
次に登壇したAirhostの尾畠隆志氏は自社の「AirhostPMS」について紹介。足もとでは9000室で導入しているという。無人運営で懸念されるチェックイン時の帆人確認も、タブレットなどのビデオ通話で確認することが可能だ。「最近はOTAだけでなく自社サイトを製作しての集客を図りたいという要望も増えている。近い段階でそのような要望に応える新サービスも展開していく」と話した。
いずれの業界でも抱える人材不足。増える訪日観光客需要を逃さないためにも、宿泊施設の省人化運営は不可欠のようだ。
イーストリーフ 無人不動産仲介店舗を両国にオープン
不動産仲介を行うイーストリーフ(東京都中央区)は4月25日「イーストリーフ両国店」をリニューアルオープン。独自の「不動産無人検索システム」を導入し、無人型の店舗としての運営を始めた。
店舗内は2つのブースに分かれていて、各ブースに椅子が4つ設置されている。家族やカップルでも自分のペースで物件検索ができるようになっているという。物件の詳細や実際に現地を見たいなどの要望などがでてくることも想定して、ビデオチャットも可能だ。その場で同社スタッフと会話をすることができる。安心・安全にも配慮して店内にはカメラも導入している。
不動産仲介業界でも無人店舗の試みが広がっていくか。注目が集まる。
キャッシュレス無人コンビニ 日鉄興和不動産のマンションに
キャッシュレス無人コンビニ「600」を展開する600(東京都中央区)は日鉄興和不動産(東京都港区)が建設中の分譲マンション「リビオレゾン板橋本町ステーションサイド」(2019年7月竣工予定、総戸数95戸)の共用設備として、「600」を設置する。「600」が不動産施設に設置することはこれが初めての取り組みとなる。