不動産トピックス
クローズアップ 災害時対応編
2019.06.10 13:52
災害はいつ起きるかわからない。だからこそ災害への備えは日頃から入念に行う必要がある。その反面、いつ起きるかわからないだけに対策が遅れがちになるというもの。いざという時に適切な行動がとれるよう、再確認が必要だ。
防災安全協会 自動車搭載型非常用袋を開発
大規模災害が発生すると、オフィスビルなどでは水道・電気・ガスのライフラインが供給停止となるため、水・食糧の確保はもちろんのこと、トイレの確保も重要となる。このため、水・食糧、簡易トイレ、そして暖を取るための毛布類が必要最低限の防災備蓄といえる。これに加え、ラジオなどの外界からの情報を収集する手段や、一時対応としての救護用品、バールなどの工具類も心強い存在となるだろう。
また、大規模災害が事業所内ではなく移動中に起きた場合はどのように対応すべきか。東日本大震災で多くの人が経験したのは、発生直後にコンビニエンスストア等に周辺の住民やワーカーらが殺到し、店内から品物が消えてしまったことだ。水や食糧の確保は災害発生後の優先順位が高い項目であるが、移動中の馴染みの薄い土地で災害が起きれば、周辺の店舗事情も分からず水や食糧の確保は容易ではない。
こうした中、防災安全協会(東京都世田谷区)では、自動車に搭載する非常袋の販売を開始。見慣れない土地で災害が起こった場合も、慌てずに一時対応を可能とする防災備蓄品の販売を通じて、あらゆる場面にも対応できる防災意識の向上につながる啓蒙活動に努めている。
「東日本大震災が起きたことにより、事業者単位での防災対策の徹底や、個人レベルでの防災意識の向上が、いかに重要であるかが改めて認識されたものと思います。災害は『いつ来るか分からない』と考えずに、『いつ来ても大丈夫』という考え方のもと、万全の対策を講じることが、施設の運営・管理者及び事業経営者には求められています」(理事長 斎藤実氏)
ワンテック 建物入口に置くだけの止水板 水圧で密着「水をもって水を制す」
いわゆるゲリラ豪雨などの多発により、ビルにおいても急な増水や浸水への備えが必要とされている。ワンテック(神奈川県横須賀市)の「ビーバーW1」は、置くだけで水の浸入を防ぐことができる止水板だ。
一般的な止水板は、建物に穿たれた溝などに板をはめるタイプがほとんど。建物側にも工事が必要で、費用もかさむ場合が多い。
「ビーバーW1」は、建物の入り口などに置くだけで機能を発揮する。見た目は90度に曲げられたアルミ板。これを建物入り口に合わせて設置し、水を入れたペットボトルなどの重しを置く。水深が上がると水圧で「ビーバーW1」と建物が押しつけられて密着し、水密性が高まる仕組み。波がなければおよそ水深45cm以下までの浸水に対応できる。
軽量小型で置き場所を選ばず、女性でも簡単に持ち運び・設置が可能。同社では、迅速な対応が要求される都市型水害などにおいて特に威力を発揮する災害対策品と位置づける。ビルやマンションのほか、工場や店舗、住宅など建物の用途を選ばず設置でき、現在はパチンコ店などでの採用実績がある。
製品は横幅が900mmと1800mmの2種類をラインアップ。いずれも幅が合う出入り口であれば、どんな建物でも設置可能だ。
製品は現在のところ2種類だが、ワンテックではラインアップの拡充やサイズオーダーの展開も検討していきたいとしている。
藤倉コンポジット 水だけでスマホ2台をフル充電 非常用モバイル充電器を発売
藤倉コンポジット(東京都江東区)では、塩水を注入するだけで発電する非常用マグネシウム空気電池「WattSatt」を2016年より発売。企業や官公庁などに災害時備蓄品として好評を得ている。今回、同社は「WattSatt」と同様に使用できる小型マグネシウム空気電池「アクアチャージ」の発売を5月29日より開始した。
「アクアチャージ」は、水を用意するだけですぐに充電が可能となる非常用モバイル充電器で、市販のモバイルバッテリーや乾電池式充電器のような保管時の電池容量低下や液漏れが発生することがなく、長期保存が可能となっている。未使用状態であれば、同社では5年間品質を保証している。また、モバイル以外のUSB機器にも使用が可能となっており、スマートフォンは約2台がフル充電可能、タブレットなども充電可能である。保管時の重量は約500gと、小型・軽量で誰でも持ち運びが容易な点も大きな特長である。