不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2019.06.17 17:29
ナインアワーズが九州に初進出 商業施設地下1階にオープン
ナインアワーズ(東京都千代田区)は、「ナインアワーズ中洲川端駅」を福岡市博多区下川端町の「博多リバレインモール by TAKASHIMAYA」に8月9日にオープンさせる。ナインアワーズにとっては初の九州地区出店になる。
不動産投資等を手掛けるビーロット(東京都港区)との協業によるもので、同施設は、福岡随一の繁華街であり、ビジネス・観光の中心である地下鉄「中洲川端駅」直結。羽田、成田に次ぐ発着数を誇り、国内外の玄関となる福岡空港、九州内から大阪、東京へアクセスするJR博多駅、博多、天神に構える高速バスターミナルへ乗り換え無しで利用でき、福岡を通過する旅行者にとっては、非常に利便性の高い場所に位置する。
延床面積は868・021㎡、客室は男性61室、女性66室の合計127室。価格は4900円から。事業主はビーロット、ナインアワーズが運営を担当する。
利便性の高い商業施設の地下1階への出店にあたり、空間デザインは「ナインアワーズなんば駅」に続き、成瀬・猪熊建築設計事務所が担当する。「限られた空間において、機能のレイアウトや組み合わせ、導線を再構築することで、利用者にとっての快適性、効率性をより高くする空間を追求します」(同社)。
成瀬・猪熊建築設計事務所は、猪熊純氏と成瀬友梨氏が2007年に設立。「人々がシェアする場をデザイン」することをコンセプトに、シェアハウス、イノベーションセンター、コミュニティスペース、商業施設からアートスペースまで、全く新しい価値を生み出す空間を企画・設計している。
今回の施設は、商業施設の中で店舗や飲食店と並ぶという極めて特殊な立地になる。店舗空間は、特有の表層的な設えと低めの階高で、施設の大きさや重さを全く感じさせないように工夫されている。しかし8・3m×8・7mのグリッド状に巨大なRCの柱が並び、迫力ある躯体が巨大な施設を支えている。そこでこの躯体を、他の店舗のように隠すのではなく、活かし際立たせることで、空間に個性を与えることにした。
内装を剥ぎ取り、荒々しいコンクリートの柱を露出させる一方、新設の壁などは、既存躯体のグリッドと角度をずらすことにした。結果、今回の空間は、新旧が対比された空間となった。
「ナインアワーズ」は、都心部で機能的かつ高品質なトランジットサービスという独自のカテゴリーを目指している。
Airbnb 日本でビジネス状況報告
世界最大級のバケーションレンタル事業会社Airbnb Japn(エアビーアンドビー 本社・米国カリフォルニア州)では6日、民泊新法施行から1年を受けて、同社は日本でのビジネスについて最新動向を発表した。
それによると、国内の民泊登録数が5万軒にまで回復したという。来日した共同創業者兼CSOのネイサン・ブレチャージク氏が公表した。同社を利用して旅行したゲスト数は、この1年間で全国約580万人。登録件数は約7万3000室、うち民泊登録件数は5万件。新法による影響で、所謂違法民泊が淘汰され、一時は2万軒台まで落ち込んだ。しかし、シェアリングエコノミーの浸透と、インバウンド需要の拡大も追い風となり、急速な回復となった。
「この1年間によって、コンプライアンスが高まり、健全な状態になった。長期的には政府の支援も必要になるかと考えているが、今後も850万軒もの空き家対策や、地域活性化に貢献していきたい」(ブレチャージク氏)。
ラグビーワールドカップ、東京オリンピック、大阪万博といった大規模イベントを控える中、同社は現在、各自治体との連携も積極的に行っている。同日、東京・新宿区と連携協定を締結、住宅宿泊事業等の適正な運営と健全な発展を目指していくという。
協定によって、民泊ホストと地域との相互理解の構築や、ホストへの法令順守の啓発、ホストとゲストへの防災情報の提供、新宿区の観光・地域イベントの情報提供等を進めていく。同社では既に釜石市、千葉市、大分市、熊本市とも連携している。
ワシントンホテルが名古屋と仙台に新店舗
ワシントンホテル(愛知県名古屋市)は、仙台市若林区新寺一丁目と、名古屋市中村区名駅南一丁目の各計画地で、新たにホテルを建設する。「R&Bホテル」はこの2店舗の開業後、全国で25店舗になる。
仙台市に建設するホテルは全195室の「R&Bホテル仙台駅東口(仮称)」で、JR仙台駅から徒歩約8分に位置、敷地面積676・83㎡、延床面積3522・61㎡、鉄骨造・地上10階建て。
仙台市は東北地方唯一の政令指定都市であり、自然豊かな「杜の都」としても知られている。仙台市をはじめとする東北地方は、2018年には外国人延べ宿泊者客が過去最高の120万人を突破するなどインバウンドも増加している。
同社は仙台駅の西側にも201室の「R&Bホテル仙台広瀬通駅前」を運営しており、仙台駅エリアで2店舗目となる。
一方、名古屋市に建設する全237室の「R&Bホテル名古屋駅前(仮称)」は、JR名古屋駅から徒歩約7分に位置、敷地面積942・50㎡、延床面積4530・59㎡、鉄骨造・地上14階建て。
名古屋市では2026年アジア競技大会開催決定、2027年リニア中央新幹線開業を控え工事も始まりつつあり、名古屋駅周辺の再開発や商業施設開業が予定され、更なる集客が見込まれている。
名古屋駅エリアでは、6月25日開業予定の262室の「R&Bホテル名古屋新幹線口」続き、2店舗目となる。
両ホテルでは、40インチの壁掛けテレビの設置、スマホでの支払い可能、客室空調は好みの室温設定が可能な「個別空調」タイプ、浴室には好みの湯温設定が可能な「サーモスタット式混合水栓」の設置などを新たに加えた。
渡邊倉庫 簡宿含めた複合スペースをオープン
渡邊倉庫(東京都港区)では、コワーキングスペース・シェアオフィス・簡易宿泊所・ミニスタジオを備えた複合スペース「リブポート浜松町」を8月にオープンする。
同施設はJR「浜松町」駅から徒歩1分に位置。「WORK&STAY」というメイン機能を中心に、スタートアップやフリーランス、地方の事業者や貿易事業者など、様々な利用者にとってのビジネス拠点となることを目指していきたいという。10月には品川のWビル2階に「リブポート品川」をオープンする予定だ。
2階はキャビンタイプの簡易宿泊施設、3階はフリーアドレスのコワーキングスペース、4階から7階は個室タイプのシェアオフィスや会議室、地下1階は撮影ができるミニスタジオや倉庫を設置する。1階と地下1階の一部には飲食店舗が入る予定。
3階のワーキングスペースは、様々な利用者が共同の作業スペースとして利用可能なフリーアドレス型のワークスペース。貿易ビジネスなどに精通したコミュニティマネージャーが管理する予定で、ビジネス相談も可能。ソファスペースやテレフォンブース、ロッカーを備え、イベント場所としても利用できる。
4階から7階の固定席・個室&プレミアムルームは、専用のワークスペースが必要な人向けに、固定席のほか1人から4人用の個室を用意する。
2階の簡易宿泊施設は、会員であれば誰でも利用できるキャビンタイプの簡易宿泊施設。シャワーブースの他、長期滞在に便利なランドリーコーナー、ドライヤーを設置した洗面台の他に女性に嬉しいパウダーコーナーも用意した。
箕面観光ホテル露天風呂をリニューアル
大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ(東京都中央区)が運営する箕面観光ホテル(大阪府箕面市)新たにに天空露天風呂「月見ノ湯」、箕面温泉スパーガーデンに「畳風呂」を設置した。
「月見ノ湯」は、これまでの「天空ノ檜湯」に屋根とガラス戸をなくすことで、昼は目の前にフォレストビユーが広がり、夜は星空と大阪の街並みを見下ろせるものとなった。
内風呂も「畳風呂」にリニューアル。「風呂」と「畳」という日本人が愛する2つの文化を融合したもので、畳ならではの程よいクッション性と温かさで心身休まるひとときを提供する。
無人コンパクトホテル全国70店へ
無人コンパクトホテル「mizuka(ミズカ)」を運営するHosty(ホスティ 福岡県福岡市)はこのほど、KDDI Open Innovation Fund 3号やセプテーニ・ホールディングスなどを引受先とした第三者割当増資等により、総額3・3億円の資金調達を完了した。同社は「無人コンパクトホテル」の運営を通じて、インバウンド市場で新たなホテル体験の創出を目指していく。
同施設は訪日外国人のグループ旅行に注力したもので、交通アクセスが良く需要の高い立地に、設計や内装家具デザインのパッケージ化などによる最短2カ月でのスピード開業と高いデザイン性を特徴としたもの。
同社は、昨年旅館業法が改正されたことで可能となった無人でのホテル運営にいち早く取り組んできた。低コストオペレーションが可能な宿泊施設として、現在12施設119部屋を運営している。
同社は今回を含めてこれまで合計7・98億円の資金調達を実施しており、2019年4月からはKDDIと業務提携を開始。2019年中に東京へ進出し、2020年5月には全国で約70拠点とするなど、加速度的に多店舗展開を進めてゆく計画だ。
今後は、テクノロジーを最大限活用しながらホテル運営のIoT化に注力していく。ホテルのUXをアップデートすることで予約からチェックアウトまでシームレスな宿泊体験を実現させていくほか、ホテルを展開する地域の飲食店やツアー、レンタカーなどへの送客を支援しながら「街全体をホテル化」することを目指す。