不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2019.06.24 11:40

SEKAI HOTEL 地元企業と連携し地域活性化 全国展開へ
 リノベーション事業を手がけるクジラ(大阪府大阪市)グループのSEKAI HOTEL(同)では、各拠点に地元企業とパートナーシップ契約を締結し、全国展開を本格的に乗り出した。
 同社が展開している「SEKAI HOTEL」は、商店街をはじめとする周辺地域との連携で、「まちごとホテル化」し、空き家解決、地域活性化を支援しようというもの。  パートナーとなる事業者はひとつのエリアの運営主体となり、「SEKAI HOTEL」のライセンスとノウハウを生かし地域の活性化を推進する。初期段階ではSEKAI HOTEL側からもスタッフを出向させ、海外向けのPRや土産などの商品開発はSEKAI HOTEL側が主体となって行い、ロイヤリティを徴収していくというモデルだ。PRもSEKAI HOTELと自治体で一つの地域・地方を2方向から展開していく。
 地方創生は数年前から「ひと」、「もの」、「かね」の東京一極集中を是正するために国家戦略としても指定され、企業や自治体によって全国各地で様々な施策が実施されてきた。中には成功例としてあげられる事例も存在するが、汎用性のある地方創生のプラットフォームと呼べるものはまだ多くはない。
同社では、これからの地方創生にはこの汎用性のあるプラットフォームが必要であると考え、 大阪府内の2拠点でSEKAI HOTELを運営してきた。   例えば2017年6月に開業した「Nishikujo」は13棟からなる最大収容人数は80名で年間利用客は約7000人、一方、「Fuse」は2018年9月開業、施設数は5棟、最大収容人数は48名で2019年1月までの利用客は465人といった実績を持つ。
 今回はこうした実績を踏まえ、「地域の資産となる事業を立ち上げるために地方銀行・地元中小企業を中心としたヒト・モノ・カネを集約し、パートナーシップ事業を進めるものです」(矢野浩一社長)という。
 「地域のステークホルダーである自治体はPRや地元有力者の紹介、資金面は金融機関、遊休地の提供は地元資産家、インターシップは大学、新たな商品開発は地元企業として連携を図っていきます。現在は神奈川、富山、滋賀、愛媛、福岡など様々な地域を検討しています」(矢野社長)。 2022年には80名から120名規模の施設を全国で20か所まで拡大、海外にも進出していく考えだ。

スペースエージェントが楽天Gと民泊事業で提携
 スペースエージェント(東京都渋谷区)はこのほど、楽天LIFULL STAY(東京都千代田区)と、民泊の運営希望者に向けたサービスで提携することを発表した。
 これにより両社は、スペースエージェントが運営する民泊可能物件に特化した不動産ポータルサイト「民泊物件.com」で、楽天LIFULL STAYが一定の条件を満たした物件に対して運用代行を請け負うことをセットにした掲載を始めて行くことで、民泊の運営希望者による事業参入を促していく。
 民泊新法の施行以降、民泊事業者による届出件数と民泊利用者は堅調に増加している。しかし、民泊関連のサービスを提供する事業者にとって、民泊に適した物件選定や運営ノウハウの不足を補うことが課題となっている。今回の提携により、「民泊物件.com」のサイト上で楽天LIFULL STAYが設ける一定の条件を満たした物件について、楽天LIFULL STAYが同物件の運用代行業者として掲載されることになる。 事業者が同物件を選択し、運用代行を希望する場合には、「民泊物件.com」を通じて楽天LIFULL STAYと詳細条件を調整した上で、同社に運用代行を委託することができる。これにより、民泊運営希望者に対して物件探しから運用代行の選定までをワンストップで提供し、事業者のニーズに合った民泊物件の供給を可能にするとともに、より民泊運営に参入しやすい環境を提供していく。
 スペースエージェントは、国内最大級の民泊可能物件に特化した不動産ポータルサイト「民泊物件.com」や民泊専門のインテリアコーディネート・リノベーション事業を通じて民泊に関連する不動産開発や仲介、運用事業における幅広い情報を有する。一方、楽天LIFULL STAYは、不動産オーナーを対象にした所有物件の民泊運営代行やブランディングなどのサービスの提供、日本最大級の民泊・宿泊予約サイト「Vacation STAY」の運営などを通じて民泊事業運営における豊富な実績を蓄積している。

杉乃井ホテルが大規模リニューアル開始
 オリックス不動産(東京都港区)は、同社が運営する「別府 杉乃井ホテル」(大分県別府市)の大規模リニューアルに着手する。
 今回のリニューアルでは、2つの新しい客室棟の建設や、3棟ある既存の客室棟のうち「Hana館」の建て替えなどを行う計画。2025年の工事完了を目指し、施設のインフラ関連工事から順次着手する予定だ。 
 オリックス不動産は、2002年に「杉乃井ホテル(現別府 杉乃井ホテル)」を取得し、オリックスグループが有する金融ノウハウを生かした財務体質の改善のほか、別府湾を望む大展望露天風呂「棚湯」や地域の魅力を取り入れたバイキング形式のレストランへの改装などのリニューアルを継続的に行ってきた。
 現在、オリックス不動産の旅館・ホテル運営事業ブランド「ORIX HOTELS & RESORTS」の「温泉リゾート」カテゴリーの宿泊施設として、国内外の利用者に好評を得ている。
 「別府 杉乃井ホテル」は、1944年に開業した別府を代表する老舗ホテル。JR別府駅より車で10分に位置し、客室数は、本館369室、Hana館215室、中館63室の合計647室。大展望露天風呂「棚湯」ほか1カ所、料飲施設6店舗などを併設する。昭和の高度経済成長期に旅行や余暇のニーズが増えたことに伴い、徐々に規模を拡大し、西日本の人々を中心に大型リゾートとして親しまれてきた。
 同社のブランド「ORIX HOTELS & RESORTS」は、オリックス不動産が運営する宿泊施設のうち、他の事業者に運営を委託していない国内12施設を対象とした旅館・ホテル運営事業のブランド。

ウェブサイトで民泊運営収益化をサポート
 世界最大級のバケーションレンタルサイト「ホームアウェイ」は、煩雑な民泊許可申請をシンプルかつ、容易に実現するクラウドサービス「MIRANOVA」を運営するジーテック(東京都港区)、日本最大級の不動産売却査定サイト「イエイ」を運営しているセカイエ(東京都港区)と、民泊領域での協業を開始した。 
 今回の協業に基づき、民泊運営での収益シミュレーションや民泊免許取得、運営・マーケティング活動をサポートするWEBサイト「民泊JAPAN」を6月11日より開設した。3社が、空き家を含め個人で所有する不動産の有効活用を目的として、物件のバケーションレンタル活用をサポートする。
 ホームアウェイは、世界190カ国、200万件以上のバラエティーに富んだ物件をオンラインで予約できるプラットフォームを運用・提供。一棟貸しに特化した物件を多く取り扱っていることが特徴だ。ジーテックは、煩雑で多くの書類が必要な行政手続で、行政とテクノロジーの融合を軸としたデジタルソリューションを提供している。中でもクラウドサービスの「MIRANOVA」は、宿泊事業の形態や物件に合わせて、ホテル・旅館業許可・住宅宿泊事業法に基づく申請・特区民泊の申請等の手続きを支援するサービスが好評を博している。セカイエは、インターネットサービスを通して、ユーザー目線で「情報格差」をなくすことを目的とし、見積もりを複数社より一括して売却の金額を最適化する不動産査定サイト「イエイ」を展開している。
 2018年6月の民泊新法施行以降、民泊物件数は堅調に増加する一方で、複雑な民泊許可申請や収入確保に関する物件オーナーの懸念が未だ残っている。このような懸念を少しでも払拭し民泊運営に関心を持ってもらうとともに、空き家を含めた個人で所有する不動産の有効活用を促進するために「民泊JAPAN」を開設することとなった。
 「ホームアウェイ」は民泊新法成立から1年を迎えるにあたり、ますます増加するインバウンドのニーズに応えていくため取り扱い物件数を増やす強化をしていきたいという。

「ザ・ロイヤルパーク」新ブランド
 三菱地所グループのロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ(東京都千代田区)は、インバウンド含めた多様な宿泊ニーズに応えるため、プレミアム宿泊主体型ホテル「THEシリーズ」のフラッグシップブランド「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック(The Royal Park Hotel Iconic)」を新たに立ち上げた。
 同ブランドはTHEシリーズのコンセプトである「SELF―V」のうち、Sophisticated(洗練された空間と心地よい接遇)をより重視したもの。キーワードは、「The art of time ~美しい時間(とき)を。 ~」で、アイコニックで過ごす時間(とき)がゲストにとってより美しいものになるように、ロビーや客室の設え、ゲストに寄り添うスタッフのおもてなしから生まれる心地良さを提供していきたいという。
 2020年春開業予定の「(仮称)ザ ロイヤルパークホテル 大阪御堂筋」、2024年度開業予定の「名古屋栄計画」で展開する。また、2003年開業の「ザ ロイヤルパークホテル 東京汐留」は2020年春にアイコニックへリブランドする計画だ。
 ロイヤルパークホテルズは、仙台、東京・日本橋、横浜にて展開するフルサービス型ホテルのクオリティをそのままに宿泊機能に特化したプレミアム宿泊主体型ホテル「THEシリーズ」を2011年より展開。「街と、もてなす。」「SELF-V」をコンセプトに、全国9拠点で運営している。

「川崎駅西口再開発」にホテル
 首都圏を中心にホテルを展開する日本ホテル(東京都豊島区)は、「川崎駅西口開発計画」の一環として「ホテルメトロポリタン 川崎」のオープンを予定している。
 同ホテルは、鉄骨造地上16階建て、客室数はダブルタイプ202室、ツインタイプ102室の合計304室。客室の広さは23㎡以上で、全室バス・トイレ・洗面台がそれぞれ独立した造りになっている。
 ダブルタイプは、スタイリッシュなグレーを基調としたシックな内装。ライティングデスクは省き、ゆったりとしたソファを配置した。ツインタイプは、シックなブルーを基調とした内装。ダブルルーム同様、ライティングデスクは省き、ゆったりとした居室空間が特徴だ。 
 付帯施設は、オールデイダイニング、ミーティングルーム、ランドリーラウンジ等。エリア最大級の客室数を持つホテルとして、JR「川崎」駅より徒歩2分という立地の良さに加えて、羽田空港からも近い位置にある。




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